1.転生
「……ま、まずい……ケーキは甘くなくちゃ?」
バタンっ!
まぶたを開け、ふと自分の手を見て――息をのんだ。
ちっちゃい、手…。
昨日、私ことルーテシアは4歳の誕生日を家族に祝ってもらったのだか、楽しみにしていたケーキがあまりにもマズく前世を思い出し混乱したまま気を失い自室のベットで目を覚ましたところだ。
激務で心身ともにすり減らし、さらに徹夜続き食事時間も削りに削って迎えた誕生日にやっとの思いで手に入れた高級店のケーキと共に階段で足を滑らした。苺とキラキラと光る生クリームが宙に舞う光景が最後である。
「……転生した……?」言葉にした途端、頭の奥がチクチクと痛んだ。閉ざされた扉が軋むように、ルーテシアとして生まれてからの病弱でベットの上で1日を過ごし屋敷からでない引きこもり生活の記憶とここがやりこんでいた乙女ゲームのモブキャラ、ソルティ子爵の家だということに気がついた。
(いや…生まれ変わり?ルーテシアとしての記憶もややあるから前世の記憶を持ったまま生まれ変わったのかな。でも、この家の創りにとソルティ子爵の顔面を見ればここは乙女ゲーム魔法学園ソラの世界で間違いない)