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君の心は凪いでいる。

亜人と呼ばれる種族がいっぱいいるという現代の話です。風呂敷がどこまで広がるかは分かりませんがうまい感じにたためたらいいですね。

 亜人。この世界における純粋な人間以外の人に近い種の総称だ。獣人を代表し吸血鬼やエルフなどが存在しており外見的特徴以外は人間と同じ場合が多い。そしてとりわけ多くの亜人が在籍しておりこの俺、唯見晴翔(ただみはると)も通っている高校がこの進生学園だ。

「...…ハル君おはよう…」

「ああ、ソフィアおはよう。」

 彼女は俺の幼馴染の宮凪(みやなぎ)・フュター・ソフィア。エルフの祖母を持つ人間とエルフのクォーター。一般的にエルフの血を継いでいる場合は金髪や白髪が多いのだがソフィアは珍しく夜空のように美しい長い黒髪を持っている。そして俺はそんなソフィアに恋をしている、のだが…

「今日なんか課題あったっけ?」

「…今日は無かった…と思う…」

「そっか、ありがとう。」

と、まぁこんな感じで幼馴染であるにも関わらず会話が弾まないったらありゃしない。俺自身がコミュニケーション弱者であるというのは否定できないがここまで会話が弾まないのはそれ以外にも理由がある。それは彼女がエルフの血を継いでいるからである。正確にはエルフの血を継いでいるからというよりエルフの原種返りを起こしているから、なのであるが。原種返りとは亜人にまれにみられるもので現代となっては淘汰されたかつての亜人種の特性が世代を超えて発現するというものだ。

ソフィアのかかりつけ医によると

「ソフィアちゃんの場合原種返りによる肉体面の変化は少ないけれど精神面というか本能のほうはかなり影響を受けているみたいだね」とのこと。エルフは元来長命な種族であるため人と深くかかわろうとしない。そういうところが原種返りとして発現したのだろう。

(そういうクールな部分も好きとはいえこうも興味を示されないとなるとなかなか精神的に堪えるな…)

などとひとり落ち込んでいると

「よぉ!まーたくだらねぇことで一喜一憂してんのか?」

と朝だというのにとびぬけて明るい声が耳に入ってきた。

「くだらないとは失礼な、俺だっていろいろ考えてるんだよ。それになんでお前は朝からそんなに元気なんだ…」

「元気だけが俺の取り柄だからな!」

「さいで。」

この朝から元気なうえデリカシーのない男は犬伏 景(いぬぶせ けい)犬の獣人だ。獣人というもののこいつの場合は犬耳と尻尾があるというだけの比較的人間に近いほうの獣人だが。

「大体よぉソフィアちゃんが人に対して興味が薄いことなんか今に分かったことじゃないだろ?そんなので一喜一憂してるんだから俺から言わせればくだらないの一言に尽きるね。」

「うっせぇてめぇはいいよなしっかり恋が実ってよ。」

「おうともさ!今日だって昼弁当作ってきてくれるんだよ。」

悔しいがこいつはここまでノンデリなくせしてしっかり自分は片思いを実らせている。世の中全く不条理なものだ。とまぁいつも通り心の中で景を毒づいていたのだが

「ソフィアちゃーん君の幼馴染君がまたうだうだしてるから相手してやって~」

(こいつやりやがった!)

「おま、なに考えてやがる!」

「別にぃ?悩めるわが親友のために機会を与えただけだけど?」

(マジ後ではったおす)

「ハル君駄目だよ、犬伏君を困らせちゃ。」

「別に困らせてるとかそういうわけでは…」

「ならいいけど…」

そうこうしているうちに担任が教室へ入ってきた。

「SHR始めるぞー席付けー。」

「じゃあ、また後でね。」

「ああ、後で。」

こうしていつも通りの学校生活が始まった。

これは俺自身がこの恋にしっかりと折り合いをつけて納得するまでの物語だ。それが仮にうまくいく結果ではなかったとしても。

まぁまずプロローグということでざっくりとした人物紹介にとどまっていると思います。別に次回以降も新しく登場人物が出ないわけではないですけどね。割と更新頻度は高くなるとは思います。兎にも角にも等身大の恋する男子高校生とその周りを描けたらいいなとは思っていますのでもしいいなと思ったら引き続き読んでいただけると幸いです。

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