表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/14

#3 闇の根源/眷属作成

Side:Aruto


 ムシバミが黒い掌から出した、黒色の丸い宝石。

 それは艷やかで、且つ妖しい輝きを放っていた。

「何なんだよ、それ」

 僕が問うと、ムシバミは不適に笑いながら答える。

「コイツはオニキス。或斗、お前に与える力の源…。闇の根源だ」

「闇の…根源……?」

「あァそうだ。気に入らねェ奴を消したい、潰したい、ぶっ壊したい…。この力さえあれば、お前の望むことは全て叶うだろうよ」

「全て…叶う……?」

「あァ。最もそれが強力な程、相応のエネルギーが必要になってくるがなァ。……おっ、丁度いい」

 ムシバミはなんとベランダの扉をすり抜け、僕の部屋に侵入した。

 そして、机に置いてあったスマホを手に取る。

「いちいち説明するのも面倒くせェ。こうすりゃ解りやすいだろ」

 ムシバミはそう言うと、スマホの画面にオニキスを押し付ける。

 すると突然、オニキスが黒煙を上げた。

 そして、まるで泥沼に沈んでいくかのように、僕のスマホの中に入っていったんだ。

「あぁ!何するんだ!?」

 僕は慌ててスマホを奪取した。

 その反応が可笑しかったのか、ムシバミはまたゲラゲラと笑った。

 まるで、わざとスマホを奪わせたかのように。

「クハハハ!安心しろ、壊しちゃいない。そいつは今まで通り操作できる。ただ、加えただけだ」

「加えた…?」

「スマホをよく見てみろ」

「……?」

 意味が解らず、僕はスマホを操作した。

「……ッ!!?」

 SNSやゲーム等のアプリが並ぶ、いつもと変わらない筈の画面。

 その中に1つ、見覚えのないアプリが追加されていた。

 アプリの名称は『トコヤミ』。

 アイコンには、妖しい光を放つオニキスが描かれていた。

「トコ…ヤミ……?」

「クハハハ。最近のガキはアプリゲームが好きなんだろ?だからそれ風にしてやったぜ。早速起動させてみるといい」

 僕はアイコンをタップし、『トコヤミ』を起動させた。

 画面の中で黒い煙が上がり、その中から『トコヤミ』のタイトルが浮かび上がった。

 もう一度タップするとそのタイトル画面が消え、何かのメニュー画面へと切り替わる。

 『眷属作成』、『強化』、『融合』…と記された画面。

 それから、右上に『100p』と表示されていた。

「本当にゲームみたいだな……」

「これを上手いこと使いこなせれば、お前の望むがままだ。使い方くらいは教えてやるからよぉ、耳の穴かっぽじって聞けよ?クハハ!」

 ムシバミは楽しげに笑って続けた。

「まずは『眷属作成』。その名の通り、お前のスマホで映した物を眷属化させることができる」

「眷属化……!?」

「次に『強化』。これも字の通りだ。或斗、お前自身を強化する機能だ」

「僕自身を、強化……!?」

「最後に『融合』。これは作った眷属同士を融合させ、より強い眷属を作り出す機能だ」

「融合……!?」

「とまぁ、メニュー画面の説明はこれくらいだ」

「いや待て待て!」

 僕はムシバミに待ったを掛ける。

 こんなこといきなり説明されても、理解が追いつかない。

「そんな説明されても解らないんだが!?」

「俺様も一発で理解できると思ってねーよw」

「ならもっと詳しく___!!」

「やっぱ面倒くせぇ〜wどれでもいいから使ってみろよ。ものは試しっていうだろうが。ただし、ポイントに注意しとけ」

「ポイント?……もしかして、これか?」

 僕は右上の『100p』を指差す。

 ムシバミがゆるりとスマホを覗き込んだ。

「そうそう、それだ。『眷属作成』も『強化』も『融合』も、何をするにもポイントが要る」

「……『トコヤミ』で何かするには、このポイントの範囲内ってことか?」

「そういうこった。使ったポイントは戻ってこねェからなァ。考えて使えよ?」

 ムシバミはニヤニヤと笑いながら言う。

 さっきから馬鹿にしたような態度取りやがって。

 そもそもこの『トコヤミ』で、本当に僕の望むがままになるのか。

 確かにこのムシバミといい、スマホに入ったオニキスといい、さっきから超常的なことしか起こってないが……。

 まぁ、とにかく使ってみるか。

 ものは試しっていう考え方には同意だな。

 ムシバミの説明的に、『融合』はまだ使えないだろう。

 だったら『眷属作成』か『強化』だな。

 僕はとりあえず、『強化』を押してみる。

 その先に現れた画面に、僕をデフォルメしたようなキャラクターが映っていた。

 それから、『自身を強化しますか?』という質問文に、『Lv.1→Lv2.』の表記と、『強化する』のボタン。

 さらに『強化する』の文字の下には、少し小さく『100p使用』と書かれていた。

「……1回の強化だけで、この100pは無くなってしまうのか?」

「そういうことだ。ちなみにレベルが上がる度に、必要なポイントは増えてくからよく考えろよ?」

 胡散臭い割には何でも答えてくれるな、ムシバミは。

 とはいえ、この1回の強化だけで100p使い切ってしまうのはどうなんだ。

 僕がLv.1から2になったところで、何か変わるのか。

 いや、変わるには変わるかもしれないが、おそらく微妙な変化だろう。

 目に見えない変化になるってんなら、それに使うのは気が引ける。

 だったら『眷属作成』にしよう。

 僕的にも、こっちの方が気になる。

 メニュー画面に戻ると、僕は『眷属作成』を押した。

 すると、現れたのはカメラ機能だった。

 スマホの画面に、僕の部屋全体が映し出される。

「これは、どうしたらいいんだ?」

 質問というよりは、ほぼ独り言のような言い方になってしまった。

 だが、それでもムシバミは答えてくれる。

「眷属は身の回りの物にポイントを注ぎ込んで作る。物によっては異常な量のポイントが要求されるがなァ。とりあえず、スマホに映った物を指で突いてみろ。……お〜?これなんかどうだ?」

 ムシバミは、小さめの本棚の上を指差した。

 その先にあったのは、『覆面アサシン ヴォルフ』のソフビ人形。

 『覆面アサシン』は毎週日曜の朝に放送されている特撮ドラマで、『ヴォルフ』はそれに出てくる戦士だ。

 黒色に白毛が入った狼のマスクに、黒のインナーとロングコートを身に纏っている。

 両手両足の狼らしい鋭い爪に、フサフサの尻尾。

 このデザインが気に入り、ソフビを部屋に飾るようになった

 僕はヴォルフをスマホで映し、タップした。

 すると赤い枠線がヴォルフを取り囲み、『眷属を作成する』のボタンが現れた。

 さらにその下に『10p使用→Lv.1』の表示が現れ、左側に『−』、右側に『+』が表示されている。

 試しに『+』を押すと、『20p使用→Lv.2』に切り替わる。

 さらにもう一度押すと、『30p使用→Lv.3』。

 なんとなく勝手が解った。

「ポイントを使う程眷属が強くなるってことか?10p毎に、レベルが1上がる」

「クハハ!その通りだ!解ってきたじゃねェか!ちなみに、今ンところ作った後からレベルを加算したりできねェからなァ。考えて作れよォ?」

 ムシバミは相変わらずだ。

 顔には口しか無いのに、細い醜悪な目を想像できる。

 それより、どうするか。

 今の持ちポイントは100。

 ヴォルフは最大でLv.10にできるが……。

 迷ったところで、他に使い道が思いつかない。

「……とりあえず、全部使ってみるか」

 1回強化した僕より、ヴォルフの方が強い。

 ていうか、ヴォルフには強くあってほしい。

 どうせ最初の1回目だ。

 やってみなければ解らない。

 僕は『+』を押しまくって100p使用の状態にし、『眷属を作成する』を押した。

 その途端、ヴォルフ人形が浮かび上がった。

 かと思うと、人形は黒い煙を纏い始め、それがだんだん大きくなっていく。

「なっ…何だよこれ……!?」

「決まってんだろ?眷属ができてンだよォ」

 ムシバミがそう言ったところで、急に黒煙が霧散した。

 その中から現れたのは、狼の顔をした大男。

 ムシバミと同じくらいの背丈をしたそいつは、黒のインナーにロングコートを身に纏っていて、手足には鋭い爪が生えている。

 そして黒と白の毛が混ざった、フサフサの尻尾。

「……ヴォルフ?」

 間違いない。

 目の前に居るコイツは、ヴォルフ人形が変化したもの。

 ただ、僕が知っているヴォルフとは少し違って、頭に1本の角が生え、手足の周りの毛量が増している。

 身長だって、本来よりデカい。

 これは眷属作成の影響なのだろうか。

 まぁ、それはそれでカッコいいが。

「おぉ〜。最初にしてはいい出来じゃねェか」

 あのムシバミも、感嘆の声を上げる。

 不思議と悪い気はしないな。

「カッコいい…じゃなくて、コイツが僕の眷属になるのか?」

「そういうこった。コイツは今この瞬間からお前の手足。お前の思うがままに動かせる」

 僕は改めてヴォルフの顔を見る。

 すると、ヴォルフも視線を返してきた。

 何なのだろう、この安心感は。

 ヴォルフなら、本当に何でもやってくれそうだ。

「ヴォルフ、これからよろしくな」

 そう言うと、ヴォルフは深々と頷いた。

「クハハ!さて、眷属もできたことだし、早速行くかァ!」

 ヴォルフに見惚れていると、ムシバミが豪快に笑いながらベランダに出た。

 本当にコイツは訳が解らない。

「ちょっと待て!行くってどこに!?」

「クハハハ!眷属の実力を見たいだろ!だったら外が一番だ!……それと、ポイントの稼ぎ方を教えてやるよ」

 ムシバミの口が、また醜く歪んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ