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#14 変わらない日常/カメラ

Side:Aruto


 あの夜の出来事から数時間後。

 僕は普通に登校していた。

 義務教育だから仕方なく。

 あんなことがあったってのに、日常ってのはいつも通り廻り出す。

 いや、蜂谷が今日は欠席している。

 取り巻きの小池と大久保は、僕の様子をビビリながら窺っていた。

 今日欠席しているのは、蜂谷ともう1人。

 姫路さんだ。

 欠席理由は、担任から聞いている。

 蜂谷が入院。

 姫路さんが体調不良。

 蜂谷の馬鹿は当然として、姫路さんは、まぁ、来られる訳ないよな。

 昨夜あんなことがあったんだから。




 学校生活をそれなりに満喫した僕は、アジトへ直行した。

 鞄を床に放り投げ、ソファに腰掛ける。

 Lv.1の雑魚共が、機嫌を伺うように僕を見てきた。

 ヴォルフは何もせず、ただソファの後ろに立っている。

 現在の眷属はコイツらだけ。

 Lv.1の眷属の約半分とダイカクを失った。

 姫路さんとあの赤女によって。

「クソが!!!」

 僕は床を強く踏みつける。

 Lv.1の奴らがビクリと震えた。

 すると、僕の影から赤黒いローブを着た巨漢が生えてくる。

 ムシバミだ。

「どうした或斗〜?ご機嫌斜めじゃねェか〜〜」

「黙れ!」

 相変わらずニヤつきながら、感情を逆撫でしてくる。

 悪神か何だか知らないが、腹が立つ。

 昨夜馬鹿共の粛清中に、姫路さんが現れた。

 傍に置いても良かったと思ってた。

 だが彼女は、僕を否定しやがったんだ。

 だから追い込んだ。

 そしたら変なてるてる坊主みたいな奴が、姫路さんに謎のコンパクトを渡した。

 その瞬間、姫路さんが変身。

 Lv.1の奴らを全員ぶっ殺した。

 しかしダイカクが、姫路さんをねじ伏せた。

 そのままアジトに連れ帰って矯正してやろうとしたところで、赤女が現れる。

 そして奴が、ダイカクを殺したんだ。

「クハハハ!お前が目を掛けていた女が敵に回ったな〜」

「黙れっつってんだろ!」

「だが、未だにあの女を諦められないんだろ〜?お前あの時メチャクチャチャンスあげてたもんな〜?」

「あぁもううるさいなァ!!」

 痛めつければ簡単に折れると思ってたのに…。

 姫路さんがあんなに強情だとは思わなかったんだよ。

「クハハ!苛つくのも解るが。現実問題、お前この先どうすんだ?」

「くっ……!!」

 正直今のところ劣勢だ。

 姫路さんはなんとかなる。

 だけど赤女がヤバい。

 あの時点で最強格だったダイカクが、真正面から破られたんだ。

 それに、青と緑と黄色の女共も厄介だ。

 さらにあと1人控えているらしい。

 認めたくないが、奴らは強い。

 今の戦力じゃ絶対に勝てない。

「くっそ!せめて奴らの正体が解れば…!!」

 僕は顔に手を置いて天を仰いだ。

 ……いや待て。

 そうか。

 奴らのことが解らないから、こんなに悩んでしまうんだ。

 戦力もそうだが、それ以上に足りないのは情報だ。

 確かに奴らの戦力は圧倒的だ。

 だが、無敵ではない。

 実際変身した姫路さんに、あれだけダメージを与えられた。

 それに赤女だって、ダイカクに力じゃ敵わなかったんだ。

 付け入る隙はある。

 弱みや秘密を押さえれば、奴らも思うように戦えない筈だ。

 僕は早速『トコヤミ』を開く。

 現在のポイントは740p。

 初めと比べれば貯まったが、貴重なポイントだ。

 慎重に使っていかねば。

 僕はソファから立ち上がった。

「まずは情報収集だ」

 スマホをポケットに仕舞い、アジトの入り口へ向かう。

「なるほど。悪くないんじゃねェか?」

 ムシバミはいつものニヤケ面でそう言うと、僕の影の中に入った。




 1時間程経った頃、僕はアジトに戻ってきた。

 中に入って、ソファに腰を下ろす。

 すると僕の背中に張り付いてた奴らが、床に飛び降りた。

 顔はカメラそのもので、体は尻尾の無いヤモリのようになっている。

 丁度手の甲に乗るくらいの大きさだ。

 そいつらが計5体。

 僕の目の前に、横一列に並んだ。

 ヴォルフと雑魚達が、物珍しそうに近寄ってくる。

 影からムシバミも顔を出した。

「おぉ〜。なんだァ?新しいペットか?顔がカメラになってやがる」

「まずは監視だろ」

 そう。コイツらはカメラを眷属化したものだ。

 町中ってのは、意外と監視カメラが多い。

 その中から5つ選び、10pずつ使って眷属にした。

 僕は『眷属一覧』を開き、カメラ達のうちの1体を適当にタップする。

 そこから、そいつが見ている景色が映し出されていた。

 画質はそこまで良くないが、充分だ。

「面白ェ奴らだなァ。で、コイツらどうすんだ?」

「早速働いてもらう。おい雑魚共」

 僕はカメラ達をまじまじと見つめる、Lv.1の奴らを呼んだ。




 作戦は至ってシンプルだ。

 雑魚とカメラには、2体1組で動いてもらう。

 そうして5チームに別れたコイツらを町中に散らす。

 雑魚にはいつも通り、馬鹿を粛清してもらう。

 そうしていれば女共が現れるから、カメラに尾行を開始させるというものだ。

 僕とムシバミは家の自室で、カメラが映す風景を観る。

 各地で全員が、馬鹿の粛清を開始した。

「さて。あとは掛かるのを待つだけだ」

「女共を誘き寄せ、カメラを尾けさせるとは考えたなァ。だがいいのかァ?1レベの奴らは100パー犠牲になるぞ?」

「別にいい。例え束になろうと女共に勝てないからな」

 戦闘するなら、またヴォルフみたいなのを作ればいい。

 雑魚共はあくまで雑用だ。

 例え束になっても、変身して間もない姫路さんにすら勝てないってことが解ったしな。

 まぁ、尊い犠牲ってことで。

 ちょっとでもポイントを稼いで眠ってくれ。

 僕達はスマホに映し出される映像を見続けた。

 最初に現れたのは、赤女。

 突然頭上から現れて、鉄パイプの奴が真っ二つにされた。

 鉄パイプの雑魚が消滅するのを確認すると、奴は素早くその場を後にした。

 誤算だったのは、奴が速すぎてカメラが追いつけなかったことだ。

 最先悪く不安になってしまったところで、次に現れたのは黄色女。

 電気を纏った飛び蹴りで、ドラム缶の雑魚の頭が吹き飛んだ。

 黄色女は消行くドラム缶を馬鹿にするように笑いながら、変身を解いてその場を後にした。

 歩いていたから、そのままカメラが尾行を開始した。

 その後、青女が金槌の雑魚を射殺し、緑女が植物を操ってスプレー缶の雑魚を絞殺した。

 無論この2人にもカメラが付く。

 そして残りの1体。

 石の雑魚の元に現れたのは、またしても赤女。

 奴は姿を見せるや否や、石を下から斬り上げて殺した。

 最後だったお陰か、赤女も変身を解いてその場から歩き出した。

 無事赤女にも監視が付く。

 こうして4人の女共に、カメラを尾行させることに成功した。

 当然と言うべきか、姫路さんが現れることはなかった。

 現れないと言えば、残りの1人も。

 いや、残りの1人はまだ存在しないんじゃないか。

 赤女がわざわざ2ヶ所に出向いてた訳だし。

 まだ所有者が居ないコンパクトを、てるてる坊主が持っているのかもしれない。

 何にせよ、敵の戦力も万全じゃない。

 潰すなら、未完成のうちに…だ。

 だが、焦り過ぎるのも禁物だ。

 赤、青、黄、緑…。

 まずはこのメスガキ共を丸裸にしようじゃないか。

 僕は『トコヤミ』を確認する。

 現在のポイントは750p。

 雑魚の最期の頑張りで、10p得した。

 1人1人、地獄を味わわせてやる。

 この僕を敵に回したことを、後悔するがいい。

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