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虚像の王子  作者: 進藤
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初めての試練

 蓮がオファーを受けたシリアスな役は、これまでの仕事とは全く違った。映画の撮影現場に入ると、監督の岸田が厳しい目で彼を見つめた。



 「蒼井くん、この役は君にとっては大きな挑戦になると思う。キャラクターの心の痛みや苦悩をしっかりと表現してもらうから、その準備をしてもらいたい」



 岸田の指示に、蓮は簡単に「はい、頑張ります」と答えたものの、実際にはどう演じていいのか分からなかった。蓮にとって演技は顔と雰囲気でどうにかなるものだと考えていたが、今回ばかりはそうもいかないようだ。



 撮影が進むにつれ、監督やスタッフからの厳しい指摘が飛び交った。「もっと感情を出せ!」「それじゃ心の痛みが伝わらない!」何度も何度も繰り返すうちに、蓮の表情は次第に焦りで曇り始めた。



 詩織がそっと彼に近づき、優しく肩に手を置いた。



「蓮くん、もっと自分の内面に向き合ってみるといいかもしれないわ。あなたがどんな経験をしてきたか、どんな感情を抱いてきたか。それを思い出すことで、役と向き合えるかもしれない」



 蓮は考え込むように、遠くを見つめた。これまで人前で感情を出すこともなく、ただ表面的なものに頼ってきた自分が、初めて「本物の演技」を求められていることに戸惑いを覚えた。



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