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虚像の王子  作者: 進藤
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仮面の裏側

 移動車の中でスマートフォンをいじる蓮は、ネットニュースの一つを眺めていた。それは彼のデビュー以来の活躍を称える記事で、彼を「次代を担う俳優」と絶賛していた。



 「はは……俺が『次代のスター』ね」



 蓮は内心で笑いながらも、その記事に感じる違和感を拭えなかった。自分が評価されているのは演技力ではなく、単に顔やスタイルの良さだけ。ファンも彼を実力で応援しているわけではなく、ただのアイドルとして見ている。彼自身もそのことを理解しながらも、周囲の評価に甘んじているのだ。



 移動の途中で詩織がふと話しかけてきた。「蓮くん、次の映画のオファーが来ているんだけど、今回は少しシリアスな役柄みたいよ。しっかりした感情表現が求められる作品だから、準備は早めに始めたほうがいいと思う」



 「へえ、シリアスな役か……」蓮は曖昧な返事をしながらも、気が乗らない様子だった。「どうせ顔でなんとかなるって、詩織さんも知ってるでしょ?」



 詩織は軽い笑顔を浮かべる蓮を見つめ、小さくため息をついた。「蓮くん、いつかその考えが仇になるかもしれないわ。俳優として本物の力を見せないと、ファンや業界も離れてしまうことがあるのよ」



 彼女の忠告を聞いた蓮は、心底どうでもいいというように肩をすくめる。「詩織さんって心配性だよね。でも、ありがとう。気をつけるよ」



 言葉では礼を言いつつも、蓮は内心で笑っていた。自分は見た目さえ良ければ評価されるという思い込みが、彼の内面をどんどん空虚にしていたのだ。

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