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虚像の王子  作者: 進藤
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仮面のスター

眩しいライトがセット全体を包み込み、蒼井あおい れんはカメラの前で微笑んでいた。端正な顔立ちに長身、その完璧なビジュアルだけで観客を魅了する彼は、わずかデビューから数か月で芸能界の新星として注目を集めていた。



 「カット!いいね、蓮くん、今日も最高の出来だよ!」



 監督の声に、蓮はお決まりの笑顔で軽く頭を下げた。けれど、その内心は冷め切っていた。



 「また同じ撮影か……退屈だな」



 周囲の誰もが彼を絶賛し、業界でも「次世代のスター」などと期待されるが、蓮自身はそれほど演技に興味があるわけでもなかった。自分が見た目だけで評価されていることを知っている。それでも、いつも通りの表情を作り、スタッフや共演者たちには誠実な態度を装うのだ。



 撮影が終わり、現場を出ようとすると、マネージャーの桜井さくらい 詩織しおりがそっと近づいてきた。



 「蓮くん、今日はこのあと雑誌のインタビューが入ってるわよ。次の現場も押しているから、移動は急ぎましょう」



詩織の真面目な声に、蓮は小さくため息をつきながらも頷く。「分かったよ、詩織さん。いつもありがとうね」



 にこやかに感謝の言葉を口にする蓮を、詩織は少し疑いの目で見つめていた。彼女は彼がどんなに軽い性格で、仕事にそこまでの情熱がないことを知っていたからだ。それでも、詩織はマネージャーとして彼を支え続ける立場にいた。

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