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夢にあった夢

水路一面に浮かぶゴンドラ。

ケットシーはどこ!?


探しても見つからない。

何故!?異世界なら、異世界なら!


猫すらいない。猫っぽい人は結構見かける。


「こっちです!」

ケットシーはいないけど、ポメラニアンならいました。とってもファンタジー。


「さあどうぞ」

「あれ?俺たちだけ?」

「はい。貸切にしました。同じ舟に同乗や近くに乗って聴くのだとせっかくの歌が聴こえないことも多いので」

「ciao amico!」


たくましいナポリタンマスティフなおじさまの低い太い声。ウンディーネが見当たらない。


異世界、どこ「何かお探しですか?」

「あ、ううん。なんでもない。なんか、どうすればいいのか、落ち着かなくて」

「あ、真ん中あたりなら揺れにくいですよ。こっちです」


差し出される肉球。異世界、だね。うん。

とりあえず座って、揺れに身を任せてみる。


「あ"ー」


手を広げ、船側に体重を預けて、首を上げる。空は真っ蒼。そのまま首を後ろにすれば、逆さまなリアルト橋。生きているディズニーランドがそこにあった。


「意味わかんない」

「え?」

「いや、なんでもない」


カナル・グランデの幻想的な風景に、低く奏でられる音楽がマッチしていて、ゲームの世界に迷い込んだ気がする。


「ルノワールとかのヴェネツィアの絵とか写真とかより写実的ではないのに、絵の世界そのものなんですよね、風景」

「言われてみるとそうだね。写真より写実的な感じ。なんかその時、その時間を切り取るというのか、風景とか街を切り取ったのかもね」

「詩的ですね」

「あ、いや。綺麗だってだけなんだけどね」


ちょっと恥ずかしい。

ゴンドラは思ったより早いし、他のゴンドラとの距離が近い。観光客がいっぱいな道の下の水路を通していく。


水音に、ゆらゆらと揺れて、低く雄大な歌声。目に映るは青い空。暖かい日差しは白い肌を容赦なく焦がし、ちりちりした感覚と遠く細波と人が紡ぐノイズが混じって、何も考えられなくなる。


あー、いい天気

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