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絵の中の迷路

「それじゃ。ありがとうございました」

「こちらこそ。またベニスに寄ったら気軽にきてね」


高級ヌッテラの作り方などを見学させてもらってしまう。いいのかな?ああいうのはノウハウだから、見てはいけないものを見た気がする。


「材料がないと作れませんし、採算が取れませんよ」

「そうなんだけどさ。この知識持ってお店開いたら、って」

「日本なら競合はいないからいいかもですね。ライバルはヌッテラです」

「あー、それ強いわー。俺、結構アレを朝食べるの好きだったんだよ」

「今は?」

「朝から食べれない。歳を取ると油が鼻についてダメ」


今は身体が若返っているからいいけど、一年後が不安。今から不安になったも意味がないのはわかるんだけど、不安になる。


「喫茶店とか確かにいいかも。ぼんやりさ。子どもが出ていったら、家売って、駅近くでかみさんとやろうかな」

「聚楽園駅前とか、誰もいないのでどうですか?」

「どこ?遊園地?誰もいないって、お客様すらいなそう?」


迷路みたいな石畳を抜けていく。

誰もいない路地や明かりが差し込まない通路に、鎧戸。木製っぽい赤い扉がとても美しく、気になってしまう。


「なんかさ、こういう街を歩くってほんと楽しいね」

「そうですね。同じ海近くでも香港とかよりは枯れたというか乾いた感じが俺は好きです」

「香港とかテレビでしか見たことがないけどそうなんだ?クーロンズゲートとかやった。なんかインモラルで奇妙な熱気がある感じ。俺の子どもの頃さ、バブルなんだけど、そんな感じ。電脳世界みたいな?」

「バブルは全く知らないんで、すっげー興味あるんですよ。あ、自慢話は抜きで」

「なに!?って言いたいけど、俺もバブルは学生で終わったから、自慢話はないなー」


たむくんと2人で表通りのドラックストアでスナック菓子とかを買い込み。


「ネットスーパーで買わないんですか?」

「あれだと地元の人が何買っているとかわからないじゃない?現地に行かないとわからないことも多いし。俺は知りたいって思ったら、まず飛び込むかな」

「そうなんですね」

「そうなんだよ。最近は解析とかさ、リモートで済まそうとすることも多いけどね。でも行ったことがない、はダメだと思うから、若い子には悪いけど、初めは対面で仕事をお願いするかな」

「リモート楽なんですよ」

「わかる。でも、やっぱ要所要所の確認は対面がいいかな。俺はそうしてる。あ、ほら、たむくんとこうして歩いてわかることってあるじゃない?」

「まあ、そうですね」

「たむくんの良さも会えばもっとよく伝わるよ?」

「え?そうですか?なら、今度から対面アポをお願いしてみようかな?」


少し伸びてきた影法師。

嬉しそうにしっぽがパタパタしてる。


うん。会ってみたら、君の良さはずっと伝わるよ。

俺はそう思う。

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