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最終話『最後の決闘』

 街で偶然試合の知らせを聞き、グスターヴはそのままそれに参加。


 勝利して子爵に奏上して冤罪であるということを主張し、同時に必ず参加するであろうディディエとの決着をつけようと試みる。



『グスタ、良いですか?いまのあなたと私ならばディディエという男など容易に倒せます。油断なきよう』


「若様ー!頑張ってください!!」


 一回戦、二回戦、三回戦。

得意な長剣を手に、どんどんと勝ち進んでいくグスターヴ。


 竜の力により強化された下級剣術は二段階上の性能を発揮し、ついに決勝にてディディエと相対することになるのだった。



「ほう、生きていたのか……グスタ!!」


「あぁ、ディディエ。君からすべてを取り戻すために地獄の底から這い上がってきた」


 ディディエの武器は双剣。

互いに武器を構え、そして舞台である練兵場の乾いた赤土の中心でぶつかり合う!



「グスタァァァ!貴様は俺にないものをすべて持っていた!自身を愛す親、忠誠深い部下、そして約束された地位、温かい暮らし!没落貴族と罵られたオレになぜそれがない!」


「ぐっ!なんでこんな力……ッ」

『この男……まさか剣聖の加護を───』


 鬼神のような顔でグスターヴに対して決死で斬りかかり、上、下、左、右。ありとあらゆる四方八方から切りかかっては、刃引きされた双剣であろうともその命を刈り取ろうと食らいつく!!



『グスターヴ、私の力を一時的にあなたの魂に纏わせます。しかしおそらくあなたの今の体では持って10秒……その間に、片をつけなさい』


「あぁ、わかったッ!!」


 歯を食いしばり、魂に力が宿る。

一時的に大きな鼓動が響き、過度な負荷でグスターヴの視界が真っ赤に染まる!!



「ここで終わりだ!グスタァァァァァッ!!」


「もう、終わらせはしない!!」


 ディディエの止めの一撃。

それに対してグスターヴは竜の力を全身全霊に込めた一撃を、そのまま繰り出す!



「オォオオオオオオ!!」

 

「グスタ、貴様のどこにこんな力が……ぁ、ガァァァァ!!」


 衝撃波が空気中に跳ねるように弾け、そのままディディエが練兵場の木柵を突き抜けて背後の城壁へと激しい音を立てぶつかる!


「ば、馬鹿な……こんな、こんな……」

残り3秒。

グスターヴは恐ろしい加速で剣をまっすぐに構え……突きの姿勢でディディエへとまっすぐに突撃。


「小細工なしだと……舐めるなよ……落ちこぼれェ!!」


 ディディエはそれに対して血反吐を吐きながら、片方の小剣を投げナイフのように投げる。


 ゴンッ!

グスターヴの頭にそれはぶつかるが、歯を食いしばって彼は止まらずに突っ込む。



「グスタァァァァッ!」

「ディディエェェェェッ!!」


 交差する長剣と小剣。

そして最後に届いたのは──────。




「勝者、ヘンリー!!」


 自身の偽名が叫ばれ目の前で失神したディディエを見下ろしながら、グスターヴは気絶しそうなほどに負荷のかかった体を持ち上げる。


 そして遠目に城のテラスからこちらを見下ろす子爵の顔を見て、奮い立たせる。


(まだ、終わっていない。復讐は果たしたけれど……まだ、全て終わりじゃない)


 だからこそ、進まなければならない。

これからも俺の道は続く、だからこそ。


「行こう、リオン」

『えぇ、あなたの人生……これからも見せてもらいましょう』


 子爵のもとへと歩きだす。

たとえその道が茨であろうと。

皆様のお陰でここまで無事に走り抜けられました。最後までご覧いただきありがとうございました!もしよければ他の拙作も見て頂けたら幸いです!

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