相次ぐ失踪事件④
結羅はベランダに出て星空を見上げた。狭い空には、ところどころ星が光っている。
(あそこからは綺麗な星が見れただろうな)
幻夜と見るはずだった星空を思い浮かべる。
(幻夜もどこかで見てるかな)
結羅はあれからずっと幻夜のことを考えていた。思えば今日はいろいろなことがあったのに、と思う。
(そういえば太悟兄ちゃん、調査はどうなったのかな。もう帰ってるかな?)
しばらく開いていなかったスマホを見ても、メッセージは来ていない。
(明日のお祝い、どうしよう。太悟兄ちゃんにとりあえず都合を聞いてみよう)
結羅は太悟にメッセージを送る。
それから夕飯を食べ、シャワーを浴びて布団に入った。しばらく今日の幻夜とのやり取りを思い出して悶々としていたが、いつの間にか寝付いていた。
朝早くに目覚めて、早速窓を開けると春の陽光が眩しかった。花の香りと共に、涼しい風が部屋に入って来る。
(良い天気)
窓を開けっ放したまま、しばらく外を眺める。電線と建物のみの殺風景な景色を見ながら、昨日支狼の着ていた服を沙苗に返していないことと、太悟に会わせる件を支狼に話していないことを気にする。幻夜とのことは、頭がリセットしたように少し和らいでいる感じがした。
(支狼、服汚してないかな。当然洗濯はしてないよね)
受け取って洗濯してから沙苗に返そうと考える。
今日は支狼に服を返してもらって、あわよくば月曜の件の話をつけてから太悟と合流しようと計画する。
(そうだ! 太悟兄ちゃんの都合どうかな?)
返信を見ようと、部屋に入りスマホを開く。結羅は思わず「あれ?」と漏らす。
太悟から返信が来ていないどころか、既読にすらなっていない。
(おかしいな。返信は来てなくても既読は大体すぐにつくのに)
結羅は少し胸騒ぎを覚えた。一晩返信がない時もあるが、既読すらついていないことは滅多にない。というか結羅の記憶では今まで一度もない。
(スマホを失くしたのかな。それとも……)
大学へ行くと行ってから連絡を取っていない。それ以外の場所にいる場合、返信が来ない限り探しようがない。
(大学に行ってみよう)
結羅は早速準備すると、すぐに家を出た。念の為太悟の部屋のインターホンを押してみる。三回押して、数分間待っていたが全く物音がしない。
(いないみたい……。やっぱり昨日帰ってないんだ……)
結羅の胸騒ぎは強くなる。やはり何かあったと考える。急ぎ足で駅に向かう。支狼に会う件はもう頭になかった。電車に乗り、十数分後大学のある駅に着く。
扉が開くと、ホームに飛び降りるようにして改札の階まで階段を駆け上がる。
(何事もありませんように! 太悟兄ちゃん、無事でいて!)
駅から出ると、真っ直ぐに大学へ向かって走った。焦りからか、勢いよく坂道を走っても息が切れない。
すぐに大学に着く。
構内にはすんなり入れたが、研究棟などの建物の入り口には全て鍵がかかっていて中に入れないようになっている。
(そっか、今日は休みだもんね)
結羅は本当に太悟が大学にいるのか確信がないので不安だった。
(太悟兄ちゃん、どこにいるの?)
大学の構内をくまなく探すが、太悟の姿はもちろん、ほぼ人に会うことがない。たまに犬の散歩をしている人や、ベンチに座っている人を見かけるが、明らかに大学関係者には見えない。この大学は一般の人でも自由に出入りすることが出来るので、地域の人たちの憩いの場にもなっているのだ。一応会う人に聞いてみたが収穫はなかった。
結羅は途方に暮れる。太悟の身に何かあった場合、すぐに見つけなければ命が危ないかもしれない。事件の調査をしていて連絡がつかなくなったので、危険な状態である可能性は低くない。生真面目な太悟と連絡が長時間取れなくなることは珍しいことを結羅は知っている。
(かと言って私が行ってもどうにもならないかもしれないけど……でもどういう状況なのかとにかく知らないと!)
幻夜の顔がふと思い浮かんだ。
(幻夜なら助けてくれるかもしれない! でも今どこにいるのか分からない)
そして、次に詩織の顔が浮かぶ。
(そうだ! 詩織ちゃんなら妖魔の気配を探せるかも!)
早速詩織に太悟が危険な状況に置かれているかもしれないことをメッセージにして送る。気まずくなっていることはひとまず考えないようにした。
すぐに詩織から返信が来た。場所を伝えると、数十分後に結羅の元に駆けつけてくれた。
「詩織ちゃん! ありがとう!」
結羅は心強い気持ちで詩織を迎えた。
「太悟さんが危ないって、どういう状況なの!?」
結羅は詩織に太悟が失踪事件の調査をしに大学へ来たことや、昨日から連絡が取れていないことなどを説明した。
「まずは大学の中で妖魔の気配を探ってみる。もし何もなければ、他のところへ行ってみよう!」
詩織は早速結羅と一緒に大学構内を歩いて回る。鍵が閉まっている建物の周囲も丁寧に回った。やがて詩織がある場所で立ち止まる。
「何かこの辺り、嫌な感じがする」
そこは藪の近くだった。
「ここ……? ……何もなさそうだけど……。あ! この辺り、人が通ったような道が出来てる!」
結羅が藪の中に獣道のようなものを見つけて、二人は顔を見合わせる。
「行ってみよう!」
藪を抜けたところに廃校舎を見つけ、詩織はウッと呻いた。
「なに……ここ……妖魔の殺気が強すぎる。怖い……気持ち悪い……」
そして藪の中に吐いてしまう。
「詩織ちゃん!! 大丈夫!? そんなに強い気配なの!?」
結羅には何も感じられない。
「うん……太悟さんがもしここにいるなら、一刻も早く助けないと……」
詩織は胸のお守りをギュッと強く握りしめる。
「詩織ちゃん……。詩織ちゃんはここから離れて。ここからは私一人で行く」
「え!? そんなの無茶だよ! 二人で行こう! 御札を使えば戦えるかも!」
結羅は首を振って真剣な顔で詩織を見た。
「もし太悟兄ちゃんが対抗出来ないような妖魔なら、御札が効くかな……。それとね、私……本当は人間じゃないんだ」
「…………!」
詩織は目を見開いて結羅を見る。
「自分でも何でそうなのか詳しいことは分からないんだけど、御札の近くにいると体が拒否反応を示すの。だから詩織ちゃんに近づくなって、太悟兄ちゃんに言われたの。周囲の人の話とか、いろいろ考えて、自分は妖魔なんだってほぼ確信してる」
「……それで! ……そういうことだったんだ」
詩織は驚きながらも納得して話を聞いていた。
「それでも、一人で行くのは危ないよ。この殺気は、今まで私が出会ってきた妖魔の中で一番強いものだよ」
結羅は詩織の言葉を聞いて、震える手をギュッと握って言う。
「御札が効くかも分からないのに、詩織ちゃんを危険な目に合わせられないよ。私一人で何かを出来る自信なんてないけど、詩織ちゃんを死なせられない。もし御札が効かなくて私達が中に入れば、間違いなく詩織ちゃんが狙われるよ!」
詩織は結羅の言葉に体を固くしたが、納得出来ないというように反論する。
「そうかもしれない。でも太悟さんは私を二回も助けてくれた。御札までくれた。恩返しがしたいの」
「詩織ちゃんはここを探し当ててくれた。それで十分だよ! 本当に感謝してる。もし自分が助けた詩織ちゃんが、逆に自分を助けるために死んでしまったら、太悟兄ちゃんは一生苦しむことになってしまうよ」
詩織は目を見開く。そしてすぐに結羅に言う。
「それは結羅ちゃんこそだよ……。太悟さんにとって、結羅ちゃんは特別なんだから。結羅ちゃんに何かあったら……太悟さんはきっと耐えられないよ……」
結羅は目を閉じる。
その時、詩織が短い悲鳴をあげた。
「いや! 何!? 殺気が急に強くなった!」
そして両耳に手を当て、青ざめる。
結羅は走り出した。
「詩織ちゃん! 逃げて!」
建物の扉まで一気に走る。そして勢いよく扉を開けた。
「結羅ちゃん!!」
詩織は藪に座り込んだまま叫ぶ。
ゴーンという音と共に、結羅は建物の中に消えた。
分厚いすりガラスの扉は光を通していて、扉の近くは少し明るかった。しかし奥にはほとんど光が届いていない。扉の他に窓のようなものは何もなかった。あるのかもしれないが暗く閉ざされている。建物の外側から見た限り、一階は全ての窓が侵入を防ぐためか塞がれていた。
結羅は覚悟して入ったものの、身の毛のよだつような雰囲気に足に力が入らない。
妖魔にはすでに見つかっているだろう。姿を現さないのが逆に不気味だ、と思う。
足を踏み出すと、じゃりっと砂を踏むような音がする。
(太悟兄ちゃん……無事だよね)
結羅は恐る恐る奥に向かう。
すると唐突に女の声が聞こえてきた。
「なによ……。獲物が来たと思ったら女じゃない。しかも若い女……」
結羅は冷やっとして、声のする方を見たが、暗くて何も見えない。
「あたしはねぇ、女は食べないの。特に美しい女は。いたぶっていたぶって、最後に醜く殺すのよ」
結羅はゾッとした。おそらくこの妖魔は、結羅が出会ってきた妖魔とは全く違う。それは声を聞いただけで感じた。
結羅は幻夜や支狼、河童など、最初は恐ろしくても話せば理解し合える妖魔とばかり関わってきた。そのためどこかに甘い認識があった。
『お前は妖魔の恐さを分かってない』
太悟の言葉を思い出した。そのとおりだと思った。おそらくこの妖魔は、捕まれば言葉のとおりに殺す。そう確信した。
抵抗出来る力を持たないまま近づいてはいけない。それはこの妖魔に対しては絶対条件だった。今までが異例で、普通はそうなのかもしれない。
それでも、結羅は太悟を助けなければならなかった。飛び込むしかなかった。そうしなければ、絶対に後悔すると思った。
結羅は思い切って女に声をかける。
「ちょっと尋ねたいんだけど、珍しい石を持った男子学生を見なかった?」
相手は少し沈黙してから答える。
「見たわよ。あたしの獲物。深手を負って逃げ回ってるのを仕留めるところなの」
(深手!! 太悟兄ちゃん! でも生きてるのね!)
結羅は深手を心配するよりも、生きていることに安堵した。
「そう! じゃあ勝負しない!? 私とあなた、どちらが先に見つけるか」
声を張って、堂々と言い放つ。
相手はそれを聞いて、
「あなた正気? 自分の立場が分かってないようね。あなたは今からあたしに殺されるのよ?」
と言う。
「でも男子学生を仕留めるところなんでしょ? 楽しみの邪魔しちゃ悪いわ。彼は私にとっても獲物なの。勝負しましょうよ、きっと楽しいわよ」
「…………」
相手は何も言ってこない。沈黙が一番精神的に堪える。結羅は自分の心境を相手に推し量られないよう、細心の注意を払っている。余裕のある表情と態度で本心を見せないように。相手の力量が分からないのは向こうも同じ。弱みを見せてはいけない。
「……確かに妙な気配がするわね、あなた。何者? 勝負は乗らないわ。だってあたしの獲物だもの」
「自信がないの? そんなんじゃ、私が獲物をいただくわよ」
「…………本当は居場所は知ってるわよ。でも希望を摘んでしまわない方が、絶望感がひとしおでしょ?」
「なるほどね。ならあなたの方が有利だし、スリルが増して良いことずくめじゃない。まあ譲る気はないけど」
「ふん。あなたの前でじっくりと獲物を味わってやるわ。指をくわえて見ていなさいな」
そう言うとガサガサガサッとものすごい音を立てて動く音がした。
(何!? 一体どんな姿をしているの!?)
結羅は冷や汗をかいたが、表情には動揺を出さないように努める。
(太悟兄ちゃん、怪我はどの程度なんだろう……)
外から見た建物の形を結羅は把握していた。真ん中に正面扉があり、左右にそれぞれ教室がいくつかある。階段は外からでは分からなかったが、おそらく真ん中と左右にあるだろう。そして上は三階まであり、二階と三階の作りは一階と大体同じに見えた。建物の向かって左の端は途中まで取り壊されていた。
妖魔は結羅の入ってきた正面扉から見て左の通路の方に走っていったようだ。
結羅はあえて追いかけず、正面階段を探り探り上る。目は暗さに慣れてきて、少しは見えるようになった。
妖魔は太悟の居場所を知っていると言っていたが、おそらく知らないだろう。知っていたらとっくに仕留められているはずだ、と結羅は考える。つまり巧みに妖魔が探せない場所に隠れているということだ。妖魔が真っ先に向かう先に、おそらく太悟はいない。
以前太悟が結羅に言っていたことがある。神石の使い方についてだ。妖魔にダメージを食らわせたり消し去ったりする他に、妖魔からの自身への攻撃を軽減させたり、気配を断ったりすることが出来ると。
(妖魔が『深手』と言っていても、本当にそうではないかもしれない)
それを逆手に取って、深手を負った状態では行けないと相手が考える場所にいる可能性がある。つまり三階のどこかと結羅は考えた。
一気に三階まで上がる。
太悟が建物から逃げなかった理由は、おそらく他に生存者がいるからだろう。でもまずは太悟を見つけなければ、と思い三階の通路を用心深く歩く。三階は窓が塞がれていないので一階よりも随分明るかった。
(三階とはいっても広いし、そのどこにいるのかは分からないな)
早く見つけなければ、時間がたっぷりあるわけではない。
結羅はスマホを確認するが、電波は届いていないようだ。以前犬神の家へ行った時のことを思い出し、妖魔は電波を遮断することが出来るのかもしれないと思う。
「太悟兄ちゃん……?」
妖魔に聞こえるリスクはあるが、結羅は少しだけ声を出す。
(他の妖魔がいないとは限らない)
そうも思い、ゆっくりと用心深く通路を歩いていると、突然教室の扉が開き、腕を掴まれて中に引きずり込まれた。と同時に口を塞がれる。
「…………!!」
結羅が抵抗すると、
「しっ! 俺だ」
と馴染みのある声が頭上で聞こえる。
(太悟兄ちゃん!!)
見ると太悟の顔が近くにあった。結羅は安堵の涙を目に溜める。
「何故来た!? どうやってここまで辿り着いたんだ!?」
太悟は小声で結羅に詰め寄る。結羅は怒られることなどどうでもいいという顔で、太悟に抱きつく。
「!」
「太悟兄ちゃん! 太悟兄ちゃん! 本当に無事で良かった!」
「結羅……」
その時、ものすごい音と共に扉が破壊される。結羅たちのいる教室には、前方と後方の二か所に扉があるが、結羅たちは後方の扉の近くにいる。壊されたのは前方の扉だ。
「おかしいと思った……あんたあたしの獲物の居場所を知ってたのね……。でも感謝するわ。見つけてくれたんだもの。二人まとめて刻んでやるわ! その後男はあたしの胃袋に。女は玩具になるのよ!!」
結羅は初めて妖魔の全貌を見て、その異形さに驚愕する。一瞬固まっている間に、巨大な蜘蛛の足は結羅の目の前に迫る。
「危ない!!」
太悟は結羅を庇うように飛びつく。手には神石を持っている。
二人が地面に倒れた時、神石が結羅の体にわずかに触れてしまう。
「っ!!!! きゃあああああ!!」
バチバチバチッと全身に激しい電流が流れるように、結羅の体は痺れ、そのまま気絶する。
「!! 結羅っ!!!!」
太悟は動揺した一瞬の隙をつかれ、腕をはじかれて神石の数珠を遠くに飛ばされてしまう。
しまった! と思った時には、妖魔が目前に迫っていた。
「くっ!!」
木の札を取り出し、念を込めて妖魔に投げる。命中したが、一瞬時間を稼いだだけだった。しかしその隙に太悟は結羅を抱え、教室から飛び出す。無我夢中で廊下を走る。何本か骨が折れているようで体は痛みで悲鳴を上げているが、気にしていられない。後ろからまたもや扉を破壊する轟音が聞こえる。
近くに教室の扉よりは頑丈そうな扉が見えたので、迷わず太悟はその部屋に入り中から鍵をかけた。時間稼ぎにしかならないと分かっていたが、このままではどうしようもない。後ろから糸で絡め取られたら終わりだ。
中は校長室かというような作りだった。
結羅を古びたソファに寝かせる。すぐさま激しく扉を破壊しようとする音がする。
(どうする……)
太悟は絶体絶命のピンチであることを認識している。このままでは本当に二人とも死ぬ。
(結羅を隠して、妖魔を別の所へ誘導するしかない)
太悟は結羅を大きな机の下に寝かせた。向こう側からは見えない。気休めでしかないが、太悟が相手の気を引けばこちらに向かってくるはずだと考える。
その時、大きな音がして早くも頑丈な扉が破壊される。見ると扉は無惨にもボコボコにへこんで床に倒れている。取っ手ははじけ飛んでいた。
(早い……)
太悟は心を落ち着かせる暇もなく、再び妖魔と対峙することになる。
「オイタが過ぎたわね。大人しくすぐに捕まっていれば、すんなり殺してあげたのに。他の生徒たちのように」
「! 他の生徒を皆殺したのか!?」
「当たり前でしょ。捕まえてすぐにね」
「……!」
太悟は唇を噛み、妖魔を睨みつけた。
「その顔、これから死ぬのに威勢の良いこと」
部屋の入り口は妖魔が塞いでいるので簡単に出ることは出来なさそうだ。
太悟は覚悟を決めて木の札を三つ取り出す。
(これを使って強行突破する!)
その時、太悟の目の前に突然、気絶していたはずの結羅が後ろ姿を向けてふらりと立ち塞がる。
「結羅!?」
「太悟兄ちゃん……私はやっぱり、人間じゃなかったんだね」
「あんた……ほんと目障りね。その容姿も心底気に入らない」
妖魔の鋭い足の爪が結羅に向けて振り上げられた時、結羅の髪が一瞬で真っ青に変わるのを太悟は見た。
部屋の温度が急激に下がる。
かと思うと、パキパキパキッと何かが凍るような音が聞こえた。
結羅に向けて振り上げられた、妖魔の足から体にかけてが、徐々に光沢がかり固まっていくのが見えた。妖魔に向けて手をかざした結羅の青い髪がその勢いでなびいている。
「あんた……雪…………」
そう言い残して妖魔の頭の上までが完全に固まり、全身が氷の彫刻のように凍りついた。
異形の氷のアートは、その醜悪さすら芸術に変えるような、異様な魅力があった。
「結……羅……?」
太悟は目の前で起こったことを理解出来ないという顔で、目を見開いていた。
結羅は太悟の方に顔を向け、寂しそうに笑った。その瞳は髪と同じく真っ青だった。




