私が巫女?!そりゃあないってば!
わけわかんないことがたくさん起こってるけどまぁ、しゃべってることは今放置しておいて…………。
「…………。えぇと、キツネちゃんでいいのかな?
私、巫女さまじゃないから。ね?」
日本語しゃべっているなら日本語も通じるはずだ!
すると、キツネはフルフルと首をふって。
毛深いから首が動いたとはわかんないけど…………。
「そんなわけなです!だって、巫女さまは瞳が黄色ですもの!」
そうわめいてぴっ。と、もふもふの胴体の中から前足を出した。
それも、もふもふで見てるだけで癒される。
あー。もう。いちいちかわいい。
だめだ。思考がもふもふにとらわれる。
私の瞳は黄色ですよ。そうですけど。
「黄色だけど…………。巫女やったことないの。巫女の経験ないんだよ。」
「えぇ!巫女さま、たった十五年で忘れちゃったんですか?」
たった十五年って…………。
「私、十三歳だから、十五年前の世界にはいないよ?」
「十三歳なのは容姿だけでしょう?十五年前はいたはずです。だって百年生きているんですから!」
ひゃ、百年だと⁈
それに、容姿だけが十三歳⁈
キツネの言う巫女さまはどんな人なんだ?
…………いや、百年生きてるうちで、もう人間じゃないのか…………?
「とにかく巫女さま、早く神社に戻ってきてください。」
キツネは大きな瞳をきりりと真っ直ぐ私に向けた。
「じゃないと…………。」
じゃないと…………?
私もつられて真っ直ぐキツネを見つめると、キツネは、はっ。と息を吞んだ。
息を吞んだ…………とは、わからないけど、たぶん息を吞んでたと思う。
だって実際とがった口先を高速で開けて閉じただけだから。
「…………どうかしたの?」
キツネはふさふさのしっぽを、とげとげの針山みたいにして口を開いた。
「さっきの猫が、妖怪になってます…………。」
よ、妖怪ぃ⁈