キツネに会いました。
「っはぁ、っはぁ、っ…………」
走った。
走って走って…………。
迷子になった。
いや、あの施設から離れる予定だったし、好都合と言ったら好都合なんだけど…………。
自分自身がこんなに遠くまで走れるとは思ってなかったから。
…………でも。
これからどうしよう。
野宿するわけにはいかないし…………。
…………あそこにあるのってなに?
なんか赤い柱が交わってるんだけど。
あ、鳥居ってやつ?
あまり見たことないから何かと思った。
まぁ、いいや。
どうせ何もないし、行ってもなにも変わらないでしょ。
…………へぇ、ここが神社、ねぇ。
石の階段。そこらへんは雑草だらけだし。
なんか……思ったより地味…………。
と。その時。
フミャオ!
肩が反応してビクンと跳ねる。
な、何?
猫の鳴き声(?)がした方を見ると。
フミャァァウ!
ヴヴヴヴっ!
動物二匹が取っ組み合っていた。
一匹は猫。
もう一匹は…………猫、じゃなないな。
しっぽは小麦色でぶわりと膨れ上がっているし、耳は同じ小麦色で、こちらも猫と比べると一回り大きい。
なんだ?この生き物は?
…………キツネ…………か?
いや、ここ都会っていえば都会だよ?
そんなところにキツネなんて。
ヴヴヴう。
フミィァオ!
喧嘩エスカレートしてない?
今にも鋭い爪でひっかきそうな勢いで喧嘩をする猫とキツネ(?)
ちょっと、待ちなさい待ちなさい。
そんなんじゃどっちかが怪我しちゃうでしょ?
私はそろそろと近づいて叫んだ。
「こ、こらー-!」
…………もっと効率的な止め方はないのか私…………。
でも私も焦ってたからこんなのしかできない…………。
と思っていたら。
タタッ。
猫がしっぽを悔しそうに揺らして、どこかへ行ってしまった。
猫はどこかへいってしまったけど、キツネは大丈夫かな………。
私が、ふ。と視線を下に下げたら。
きらきらキラー!
そんな音が聞こえそうなぐらいに目を輝かせて、キツネが見つめていた。