第八十五話 ドラゴンブレスも防げるって!
「まあ天使がいるわ、あなた」
「ああ、本当だ。なんて可愛らしいんだうちの子は! 」
絶賛褒められ中のフローラちゃんです。
ただ今、通う予定の学校の制服を試着しています。
そうしたら両親が、久しぶりにテンションが高くなって………。
私を抱き上げてクルクル回ってます。
『モケ〜防御力低そうだけど大丈夫モケ? 』
「モケゾウ、学校に防御力は普通必要ないと思うよ? 」
『モケ? 必要ないモケか〜』
これはアレだね。
前世、見た目より防御力重視で衣装を選んでいた弊害だね。
私だってヒラヒラしたカワイイ物を身につけたかったけど、私の見た目と時代がそれを許さなかった。
私が少しでもそんな物を持とうものなら、口うるさいバカどもがそれを理由に攻撃してくるからだ。
私をバカにするのは別に構わないが、私の大切な部下までバカにしてくる性根が腐った奴らが多かった。
ほんとろくでもないのが多かった。
だがしかし今はいくらでもカワイイ物を着れるし持てる。
『主様、似合っているでありますよ! 』
『カパ! 』
『うむ』
『ましゅた〜、かわい〜』
褒めてくれたみんなを撫で回す。
もちろん私のことを考えて、防御力なんて言い出したモケゾウも撫で回した。
ちなみにヴォルは、新作のスイーツ制作のために調理場にこもっている。
もともと聖女であるリズについていたキラとドラは、ここ最近はリズの近くにいるようにとお願いしている。
その方があの子達も嬉しそうだからね。
契約の変更もそろそろかな? と私は思っているんだけど、モケゾウ達がまだまだ修行が足りないと言って変更には至っていない。
「そういえば、モケゾウ達も学校について来るんだよね? 姿消してついて来るの? 」
『モケ〜もちろんついていくモケ。僕は隊長だから毎日いくモケよ〜。あとは日替わりでついていくモケ。キラとドラは聖女にくっついているように言っているモケ。前よりは使えるようになっているモケから、もし聖女が襲われてもきっと、たぶん、大丈夫………モケよ? 』
それは、本当に大丈夫なの?
『だいたい、主がガッチガチに術式を付与したハンカチいっぱいあげてるモケから、心配なんかする必要どこにもないモケ。たぶん、ドラゴンのブレスもイケると思うモケ〜』
「いやいや、流石にハンカチでドラゴンブレスは防げないでしょ? もっと大きいものに術式入れないと。………膝掛けとかに入れてみる? 」
『主〜、これ以上聖女にポイポイ物あげるのやめた方が良いモケよ〜』
「え?なんで? やっぱりまだリズが許せない? 」
『違うモケ〜。どっちかと言うと聖女の為に言っているモケ〜。主の術式付与した物は大概国宝級になるモケ〜。そんなのただでもらうモケから、聖女胃が痛くなっているってキラとドラが言っていたモケ〜』
「え? 本当に? ただの術式付与だから気にしなくて良いのに………」
『………主は自分の作った物の価値をもっとちゃんと知った方が良いと思うモケよ? 』
「えっと………ごめんなさい」
何故かモケゾウにお小言を頂いてしまった。
でも、本当に普通に術式付与なんだけどな〜。
なんて考えてたらモケゾウが私をジーっと見ていた。
いや、大丈夫よ? そんなにはポイポイあげないから、ね?
そして、あっという間に登校初日になった。
「ほら、ちびっ子忘れ物はないか? ハンカチとちり紙は持ったか? あと筆入れだろ、あとメモできるようにノートも入れてあるよな? ああ、それから一番大事なものだ! このヴォルガノフ様が作った新作スイーツだ。持ち運びに便利なようにしてあるからな。あんまり強い衝撃を与えると砕けるからそこは気をつけるんだぞ! それから、あとはなんだ? 靴の紐はきっちり結べているか? ほどけると転んで危険だからなしっかり結ぶんだぞ。それから………」
バシッ!!
ヴォルの後ろからマサムネが強烈な一撃を入れてヴォルが倒れた。
え? それ大丈夫?
『安心しろ、峰打ちだ』
いやいや、完全に目を回しているよ!
倒れたヴォルをマサムネとトナトナが運んで行ってしまった。
『話が長いモケ』
まあ、そうだけどさ。
そしてちょっと不思議に思ったけど、ヴォルは予知使わないのかな?
少し使い所が難しい能力だけどさ。
そしてようやく出発しようと思い馬車に乗り込もうとしたところで、うちの前に一台の馬車が止まった。
降りてきたのは………殿下だ。
「フローラ嬢。おはようございます。朝早くからいきなり押しかけてしまって申し訳ありません。しかしどうしても登校初日の特別な日にお目にかかりたく思い来てしまいました」
朝からキラキラ王子様だな〜。
抵抗する間も無く私とリズは、殿下の馬車に乗ることになった。
あー、いきなり初日に殿下と登校って確実に目をつけられると思う




