第七話 お城に行くよ!
そういえば前世と同じく今世も魔法がある。
私は前世は基本己の武力で英雄まで登りつめたが、魔法が出来なかったわけではない。
言うと似合わないと言われたが、攻撃魔法よりも補助魔法の方が得意だったし、何なら細かい作業も好んでいたから、魔導具、付与術の類いも嗜んでいた。
しかし、何度も言うが、周りからはそんな細々した術は望まれない。
一撃必殺の派手な技を求められる。
そんなん、魔法じゃなくても出来るわ! 拳に気合を詰め込んで放出! 兵士五十人くらい吹き飛ばせる。
私が得意な魔法は求められないから、家で一人、黙々と作業していた………ただの趣味だ。
魔法で花を出したり、可愛いアクセサリーを付与術タップリで作ったり、腕の一つや二つはやせるようなクッキー作ったり、微笑ましい魔法だ。
なんでそんなことを考え出したかと言うと、今度お城に行かなくてはいけない今の状態で、無策で行って良いものかと思い始め、何か役立つ魔法は使えないかと試しているところだ。
常識的に考えて、いくら下位貴族が高位貴族に可愛がられているからといって、子爵家の令嬢が王家の皆さんに可愛がられるとか、面白く思わない人もいるのではなかろうか?
確かお城には平民も勤めている。
その人から見たら、自分たちが仕えている王族がたかが子爵家の令嬢にメロメロの状態は不快ではないのかな。
直接的に何かしてくるとは考えたくないけど、前世でもお城はドロドロ、グチャグチャの人間関係があちらこちらで見受けられた。
例えば、馬鹿王子が男爵家の令嬢を贔屓して、婚約者候補の高位貴族のお嬢さんを証拠もないのに断罪しようとしてみたり。
アホ姫が、婚約者とラブラブの隣国の王太子に横恋慕し、その婚約者の浮気を訴えて、かき回したり。
あれ?前世の王家馬鹿ばっかりじゃん。
まあ、とりあえず前世でも作ったことがある魔導具を製作しよう。
父におねだりして魔石を準備してもらった。
これをチョチョイと弄って、ペンダント型の魔導具作ってみました!
っていうか、身体?精神? は覚えているものだね、普通に作れてしまったよ。
念の為にこれを当日身に着けていきますか、私は別に良いけど父や母に何かあったらと思うと………前世のように暴れることはしないと思うが、正直子供だからこそ力を抑えられない可能性もある。
あっという間に約束の一週間がたった。
今日はこれからお城に行く。
両親のことを思うと一人で行った方が良いと思うのだが、それを許す両親な訳がなかった。
「ああ、フローラ! 一人で行くなんて! 私達のことを心配してくれたんだね。大丈夫だよ、震えるのはしょうがないが、フローラのことは絶対に守るから! 」
二人とも固い決意で臨むらしい。
物凄く有り難いけど、震える両親を見るのは私の良心が痛む。
とっとと行って早めに帰ってこよう。
お城に到着しましたよ。
この間は庭でお会いしたけど、今日は普通に室内に案内された。
しかしこの部屋すごいなぁ〜、豪華絢爛ってこういうのを言うんだろうな。
はっきり言って子爵家ぐらいの身分の者が使っちゃいけないと思うのですよ。
なんて考えは私だけのものではなかったようですな。
「本来であればこの部屋は、王族の方々や他国の王族の方々をもてなす由緒正しい特別な部屋なのです。間違っても、子爵家の方々がお使いになれる部屋ではございません」
おお〜、いっそ清々しい程の勢いで言い切ったよ、この人。
どうやら平民のようですな、でもお城で働くぐらいだから身元も礼儀もしっかりしているはずなのでは?
しかも、こんな場所を任されるぐらいだから信用されているのではないだろうか。
なんて、ちょっと現実逃避気味に思考していたら
「はっきり言って今回の対応は異例中の異例です。伯爵家や侯爵家の方でさえこの部屋を使用されたことはありません。こう言ってはなんですが、どうして皆様のような子爵家の方をこの部屋に通すのか不思議でしょうがありません」
そう言うとその侍女は他の侍女とともに部屋の外へと出て行った。
す、すご〜〜い、お茶も出さないでやんの。
父と母も呆然としている。
あんなん働いているってお城ってやっぱりドロドロのグチャグチャだわ。
いくら殿下や姫様可愛くても関わりたくない!
私は可愛いお友達も出来たから、父や母と平和にのんびり可愛いモノを愛でて過ごしたい!
前世のようなデンジャラスな出来事はいらんのですよ。
「さ、さっきの侍女はなんだったんだろうな? 」
「獣人ではないようですから平民だと思いますが………あのような物言いはさすがにないですわ」
父も母も怒りよりは呆れている。
そりゃそうだ、いくら子爵とはいえ平民よりは上だし。
それより身分云々の前に、お城に勤めているものとして有り得ない。
それとも今世はこれが普通なのか?