表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
子リス転生 〜 前世で英雄の私は可愛いを極める〜  作者: メイリ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/123

第六十四話 笑いのツボは?

 モケゾウの、拳シュッシュで壁に埋もれている魔族。

 もしかしたらヤっちゃった? と思った瞬間、壁の中からその魔族が這い出してきた。



「だ、誰だ! この私に攻撃してきた馬鹿は?! 絶対に許さぬぞ! アリにして踏み潰してやろうか、それともナメクジにして塩を振ってやろうか! 」


 怒っているんだろうけど、結構言っていることは小さい。

 ナメクジにして塩って………あ、うちの子達も笑ってるわ。

 特にマサムネはツボに入ったのか、ゴロゴロ転がりながら笑っている。


「ぐぬぬぬ! そこの転がっている精霊! なんて失礼なやつなんだ! それにお前たちも全員、なんでそんなに笑っているのだ! そこは恐れ怯えるところだろう?! この、魔族の中の魔族の、この私が、今からお前たちを退治すると言っているのだぞ! 」



 そう言われましても………。

 マサムネなんか、あの魔族の言葉がいちいちツボらしくて、さっきから転がるのが止まらない。

 何故かカッパが巻き込まれて、一緒に転がっているし。



『別にお前なんて怖くないモケ〜。それより、うちの部下をよくも酷い目にあわせたモケね。覚悟は出来ているモケ? 』



 笑うのをやめてモケゾウが、あのおかしい魔族にそう言った。


「うん? 今、面白い言葉が聞こえたな。もしかしてこの私を倒そうと考えているのか? この魔族の中の魔族、ヴォルガノフ・ヴァンプ様を?! お前たちが束になってかかってこようが、私を倒すことなど出来ぬよ。私は完全完璧な能力の持ち主だからな」


 ついさっき、モケゾウによって壁にめり込まれていたのはなんだったんだろう?




『ねえねえ、主ちゃん! あの魔族ってバカなのかな? きっとバカだよね? バカじゃないとあんなこと言わないよね?』


 トナトナが比較的大きめな声で、バカバカ言っている。

 もちろんその声は魔族にも聞こえたようで………。


「おい! なんだそこのトナカイは?! 私のことをバカ呼ばわりしたな………。決めた! そこのトナカイは捕まえて鍋にしてやる! 少々小さいが我慢してやろう」


 その言葉にトナトナがまた言った。


『主ちゃん! 凄いよ! あの魔族、本物のバカだよ! 』


 なんでかはわからないけど、トナトナが楽しそうだ。

 キラキラした目であの魔族を見ている。

 しかしあの魔族、なんであそこまで自信満々なんだろう?

 何か変な能力でも持っているのかな?



「どいつもこいつもこの偉大なる魔族の中の魔族、ヴォルガノフ様を舐めきりおって! お前たちはな、私に勝つことなど絶対に出来ないのだ! 何故か知りたいか? 知りたくてしょうがないよな? ふん、特別にこの私が説明してやろう! 」


 うん?

 別に知りたいわけじゃないのに、勝手にベラベラと話し始めたぞ。

 その姿に、一度は止まっていたマサムネが、痙攣するように笑い始めた。

 もしかして、こうやって戦力を削ぎにきているのか?


『主〜、たぶん違うモケ〜。アレは本当に、ただの、バカだモケ〜』


 私の心の言葉に、モケゾウが答える。

 いつも思うんだけど、なんでわかるのかな。


『主はすぐに顔に出るモケ。わかりやすいモケ〜』


 ぐぬぬぬ、それで良いのか、貴族令嬢の私。

 そして、あそこで高らかに自分の能力を説明する魔族………良いのか? それで。




「ふっふっふっ! 聞いて泣き叫ぶが良い! 私の能力は『未来視』だ! お前たちがどんな攻撃をしてくるか、そんなものは私にかかれば丸裸なのだよ。これがどんなに凄いことかわかるか? お前たちの攻撃は、この魔族の中の魔族、ヴォルガノフ様に全て防がれるのだ! どうだ? 恐ろしいだろう? どんなに攻撃しようとも、自分たちの攻撃が一発も当たらんのは? 」


「いや、さっき普通にモケゾウの攻撃で、壁にハマっていたけど………」


 私の一言に魔族は赤くなっている。


「あ、あ、アレは! 油断していただけだ! だが今度は違う! 私はお前たちを完全に敵と認定したからな。お前たちは、手も足も出せず、この私に倒される未来しかないのだよ!………ところで、なんでそこにちびっ子がいるのだ?………ふん! そんなちびっ子を倒してもなんの足しにもならん。おい、そこのリスのちびっ子、お前、ここからとっとと出てけ。しょうがないからその手を繋いでる、黒豹のちょっと育っている子供も出て行って良いぞ。ほら、早く出てけ、巻き込まれるぞ」


 あれ?

 なんか急に心配されたんですけど。

 どうやら殿下と私を、ここから脱出させようとしているらしい。

 私と殿下は顔を見合わせた。


「変な魔族ですね? 」

「そうですね、何故か私たちを逃そうとしているようですが」


 私たちが小声でそう話していると。


「ほら、いいからここから早く出ろ! ………もしかして、怖くて動けんのか? うーん………おい! そこの護衛っぽいやつ! お前、そこのちびっ子どもを抱えて出てけ! 今からここでは戦闘が始まるんだぞ! 」



 この魔族………やっぱりちょっとおかしい。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] やばい。子供にやさしい魔族! ちょっと絆されてきちゃったぞ!? アホの子だし、ちゃんとリードつけて管理できたら飼ってい〜い?(おい
[良い点] 本当に……どーしませう! またまた魅力が滲みハミ出まくりの魔族さんが登場!o((*^▽^*))o 多少お馬鹿でも、子供に親切で優しく、紳士的なら私は好きです認めます!\(^o^)/ NOタ…
[良い点] 魔族さん、やっぱりアレな人だったーーー!! モケゾウがドア押し込んでトラップ解除するのを予知できなかったんだからだめだめモケよ! でもなんか子供好きでいい人っぽいモケね? [気になる点]…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ