第五十話 モケゾウの友達が来たよ!
さて、無事騎士様達も救出したし、お土産も確保した………んで、どうやって帰ろうか。
っていうか、ここは具体的にどこなんだろう?
『モケ〜、主ってば勢いで飛び込んだモケから、帰りのこと考えていなかったモケね? 』
うっ、めっちゃ図星だ。
でも、反省はしても後悔はしていない。
来なかったら騎士様達が全滅していた可能性大だもん。
『モケ、わかっているモケ。主が見捨てるなんて選択肢取るわけないモケ。だからここからは僕の友達に任せるモケ』
「うん? モケゾウの友達? また部下の子達呼ぶの? 」
『違うモケ。ちょっと系統が違う友達だモケ〜』
モケゾウの友達ってどんな感じだろう?
ちょっと想像出来ない。
『っちょ、隊長の友達って、まさか、アイツでありますか?! 』
何故かフランが嫌そうにそう言った。
「フランも友達なの? 」
『違うであります!! アイツはむしろ私の敵………いっつも、いっつもバカにして』
何やらフランが荒れている。
一体どんな友達なんだろう?
『モケ〜、じゃあ、呼ぶモケ〜。きっとすぐ来てくれるモケよ〜』
そうモケゾウが言うと空に何かの魔法を打ち出した。
それから数分、遠くの空から何か凄いスピードでこちらに近付いてくる。
『………来やがったであります』
物凄く嫌そうにフランがそう言った。
それと同時に空から何かが地面に激突、土煙が上がった。
土煙が落ち着くとそこには…………っへ? ヌイグルミ?
『トナ〜〜〜、モケゾウくん久しぶり〜』
モケゾウよりちょっと大きいヌイグルミ………たぶんトナカイ? が元気にしゃべっている。
真っ赤なお鼻で、可愛い短い尻尾がグリングリン動いている。
『モケ〜、久しぶりモケねトナトナ』
どうやらあの子はトナトナと言うらしい。
『ところでこんなところでどうしたの〜? あれ? モケゾウくんだけじゃなくて部下の子達と人間もいるトナ。ヤッホ〜、マサムネくん、カッパくん、それからピンクさん! 』
『このバカトナ! 何回言えばわかるでありますか! 私の名前はフランソワ、呼び名はフランであります! 』
『あははは〜、相変わらずピンクさんは騒がしいトナ〜。前よりも縮んだんじゃない? 』
トナトナと呼ばれたトナカイのヌイグルミと、フランが激しい舌戦を繰り広げている。
フランは本当に嫌そうにしているけど、トナトナは………アレはかなりフランのこと気に入っているね。
『んで、何で僕を呼んだの〜? 』
モケゾウがどうしてこの場所にいるのかを説明している。
『トナ〜、人間の世界は意味がわかんないトナ〜。いきなりこの森に飛ばすとかってそのお姫様って頭大丈夫? そのお姫様、とっととグルグル縛って、ポイポイ捨てた方が良いトナよ〜』
うん、トナトナの言う通りだね。
そう簡単にいけば良いんだけどさ。
『モケ、戻ったら何とかするモケから大丈夫。だから、トナトナの力で運んでほしいモケ』
『なるほど〜、だから僕を呼んだんだね〜。うん、良いよ。久しぶりにピンクさんで………いや、ピンクさんと遊んだしそのお姫様ポイポイするの楽しそうだから、運んであげる〜』
ピンクさんで………のくだりでフランが激怒していたけど、トナトナは全然気にしていない。
フラン、完全にトナトナに遊ばれているよ。
「えーっと、トナトナ? はじめまして、私フローラって言います。モケゾウ、フラン、カッパ、マサムネと契約しています。よろしくね」
『……………トナーーーーーーー! 君がモケゾウくんのご主人様なの?! ええーーーー! だって君、ムキムキしてないよね? 鋼鉄のボディーでもないよね? 片手でドリアン潰せないよね? 』
ムキムキと鋼鉄のボディーは、まあ、前世のことだと思うんだけど、ドリアンはどういう事?
私がジトーッとした目でモケゾウを見たら、モケゾウったら吹いたことのない口笛を吹くフリして遠くを見てた。
あとでオハナシしようね? モケゾウ。
「まあ、いろいろあってモケゾウ達の主人やってます。ところで、どうやって私達のこと運んでくれるつもりだったのかな? 騎士様達も一緒に連れて行ってほしいんだけど」
『トナ〜、大丈夫だよ〜、このぐらいだったら問題なし! じゃあ、早速始めるからちょっと僕から離れてトナ〜』
そう言われたから私達はトナトナから離れた。
私達が離れたのを確認してからトナトナは何か呪文のような言葉を呟いた。
それと同時にトナトナの周りに急激に風が吹き、竜巻のような状態に。
少し経つと竜巻が収まり、そこには巨大な何かがいた。
『ほほ〜い、大きくなったトナ〜。んじゃ、あとはみんなが乗れる箱も用意しないとね〜』
ヌイグルミから巨大なトナカイになったトナトナが何かを呟くと、目の前にここに居る全員が入れそうな木で出来た箱のようなものが現れた。
『トナ〜準備オーケーだよ〜。ほら、乗った乗った! 』
私達は何が起こるかわからないまま箱の中に座ってみた。
全員とお土産を乗せてもまだ余裕がある。
『よ〜し、全員乗ったね? じゃあ、空の散歩にレッツゴ〜』
そう言うとトナトナは私達が乗った箱を魔法で作ったロープみたいので自分に括り付け、勢いよく空に駆け出した。
箱も魔法がかかったように重さを感じさせず浮いている。
えーーー?! トナカイって空飛ぶの?!
聞いてなかったけどトナトナって何者?




