閑話 モケゾウの一日
モケ〜、主と再会してから僕の一日は毎日充実しているモケ〜。
まず、朝は必ず僕が主を起こすモケ。
とりあえず今日も主が無事かを確認するモケ〜。
主の寝床に乗っかってと………
モケ〜、今日も主はスヤスヤ気持ちよさそうに眠っているモケ、良かったモケ。
こんなに気持ちよさそうに寝ているのに起こすのはかわいそうモケど、やっぱり健康の為にも規則正しい生活は大事だモケ。
ーーーー結局十五分くらいフローラの顔を見つめているモケゾウ。
っモケ! 危なくこのままずっと見ているところだったモケ。
さすが主、こんな罠を仕掛けてくるなんて………。
『………隊長、もうそろそろ見て見ぬ振りも疲れてきたであります。サクッと私が起こすでありますか? 』
そんなおかしいことを言ってくる部下はサクッと無視して、そろそろ主を起こさないとだモケ。
モケ〜、前に主の顔の真ん前にいたら驚かせたモケから、ちょっと離れてモケ〜。
『主〜、起きてモケ〜、今日もいい天気だモケよ〜。ワイバーンあたりを落とすにはちょうど良い天気モケよ〜。それとも悪さしている盗賊団とか探して、どつき回すモケ〜』
「…………おはよ、モケゾウ。残念ながらワイバーン落とさないし、盗賊団も今のところどつき回す予定はないよ。…………モケゾウは運動不足なのかな? 」
『モケ〜、予定はないモケか〜。それから別に運動不足ではないモケよ〜。ちゃんと定期的に不良精霊を教育的指導しているモケから。今日は何するモケ? 』
主はまだ小さいから自由に外に行けないモケ〜。
不便だけど、主がいれば良いから問題ないモケね。
主は午前中はお勉強で忙しいモケから僕はその間にいろいろ、細々、やることやっているモケ〜。
モケ〜、ちゃんと主には結界かけているモケよ〜。
『んで、今日は何をするでありますか? 』
部下のフランが聞いてきたモケ。
『モケ〜、今日は面倒くさいモケど、精霊王に頼まれていた件を片付けるモケ〜』
『え? そ、それってこの間頼まれていたやつでありますか? 』
『そうモケよ〜』
『いや………いやいやいや、アレって私たち二人でやるにはチョーーーっと、頭数足りないでありますよね?!』
『そうモケか? 』
『ぜーーーーーーったい足りないであります!! 』
フランがブツブツずっと文句言ってくるモケ。
とりあえず拳をシュシュっと鳴らしたら固まったモケ。
モケ〜、でも確かに主が勉強している午前中で終わらせるにはちょっと時間が足りないモケね〜。
『モケ〜、じゃあ、あと何人か呼ぶから午前中で終わらせるモケよ〜』
午前中に終わらせるって言う部分にフランが文句を言ってくるけど無視だモケ。
それよりとっとと召喚しないとだモケ〜。
誰が良いモケかね〜。
ちょちょちょいっと召喚陣を作ってモケ〜。
『モケモケモケ〜〜〜』
召喚陣に手を突っ込んで目的のモノを探すモケ〜……………モケ! 捕まえたモケ!
そのまま召喚陣から勢いよく手を引っこ抜いたら
『カパーーーーー!!』
『誰だ! 俺の首を引っ張ったのは! 切る!! 』
とりあえず捕まえやすかった部下二人を連れてきたモケ〜。
カパーーーーーと言っているのが緑色で名前は『カッパ』、切るって言っている黒いのが『マサムネ』、どっちもフランと一緒で僕の部下だモケ〜。
『モケ〜、じゃあ、あと三時間ぐらいしかないからキビキビいくモケよ〜』
『カパ?!』
『待て、流石に説明を求む!』
『モケ〜? うーん、じゃあフラン二人に説明よろしくモケ〜』
『えーーー! なんで私でありますか………』
拳をシュシュっと………
『はい!! 喜んでーーーーー!!』
ーーーーー三時間後
『死ぬかと思ったであります………』
『カパ………』
『絶対いつか切る………』
三人ともひっくり返っているモケ。
まだまだ修行が足りないモケね〜。
「モケゾウ〜、フラン〜、お勉強終わったから一緒にお茶でも飲もうよー」
モケ〜、主が部屋に戻ってきたモケ〜。
「…………アレ? なんか色違いのモケゾウが増えているんだけど………脱皮? 」
『モケ〜、僕は脱皮はしないモケよ〜。これはフランと一緒で僕の部下モケ、主、契約するモケか〜? 』
「え? うーん契約はこの子たちに聞かないとわからないけど、ひとまず魔力が足りてなさそうだから分けてあげようか? あ、うんフランそんな悲しそうな目で見なくてもちゃんとあげるから………ほら、みんなもどうぞ」
モケ〜、初めて主の魔力を分けられた二人は………
『カパーーーーー! お、美味しいカパーーーーー! 』
『美味! こ、こんなの味わったことがない! 』
『カッパが「カパ」以外を喋ったでありますーーー! 』
みんなうるさいモケ。
もちろん二人も主の魔力の前では無力、速攻で契約していたモケ。
どうやら今まで「カパ」しか言えなかったカッパは主の魔力の影響で話せるようになってしまったモケ。
まあ、こんな感じでちょっとずつ主を守れるヤツを増やすモケ〜。
これで、ちょっと主にちょっかいかけてきたヤツに僕が夜出かけていっても安全度が上がるモケね。
主が寝たあとの時間も結構忙しいモケ〜、主のことを狙っているアホがこの屋敷に忍びこもうと何回か来ているモケ。
なんだかんだでカッパもマサムネも主のことを気に入ったモケから、全力でアホをボコボコにするのに協力的だモケ。
いっぱいアホを捕まえて、今度お城にお土産に持っていくのも良いかもだモケね〜。
ーーーその後、城の門前にグルグル巻きになった、見るからに怪しい風貌のやつが何回か投げ捨てられていたとかないとか。




