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第三話 陛下の家族に会ったよ!

 王子と姫………それは前世では鬼門だった。

 彼らは私に会いたいとやってきたが


「うお! なんだこの巨大な女は?! 本当にこれが英雄なのか? 」

「ひい! これ以上寄らないで下さいまし! お、恐ろしい、その顔を見せないでちょうだい! 」


 マジで何なの?

 自分たちで寄ってきておいて死にたいの?

 いくらメンタル鋼鉄でも苛立ってはくるんだけど。

 そしてしがない下級貴族の私には、正直そんな礼儀知らずの王族に使う気遣いなど持ち合わせていない。

 よって………



 ドゴーーーーーーーン!!!



「ああ、申し訳ございません。殿下方のすぐ後ろに蜂がいるのが見えましたので排除させていただきました。大丈夫ですよ、蜂は跡形もなく消えましたから」


 まあ、跡形もなくというか最初からそんなもんいないけどな。

 ちょっとイラついた私の気合の一撃で殿下方の後方の壁をぶち抜いておいた。

 不敬? そんなもん知らん。

 こんなことで呼び出された鬱憤は晴らさねば。

 何故ならS級の魔獣が出現したとの報告が入り、急遽私が向かうところでのこの騒ぎだからな。

 どっかのバカがご機嫌取りにこんな忙しい時にこんなアホな場を設けたのだ。

 そいつ、魔獣の餌にしても許されるんじゃないだろうか?



 なんてことがありました。

 なので王子と姫というのに少々苦手意識がある。

 でも、陛下のお子様だったら大丈夫かな? 陛下、子育て失敗したりしてませんよね?



「今、こちらに連れて来るから少し待っててくれ。私には子供が三人いてな、長男が十二歳、次男が八歳、長女が五歳になる。今はひとまず長男だけ連れて来るように言ったから………もしかしたら、やはり怖いと思うかもしれない。その時は素直にすぐに言ってくれ! それで罰したりなどは絶対せぬから」


 おぅ………陛下すごい勢いですね。

 大丈夫ですよ〜、前世の馬鹿王子よりもひどいのじゃなければフローラちゃんはちゃーんと接待できますからね。

 陛下には安心させるようににっこり頷いておいた。



「 陛下、お連れいたしました」


 侍従の言葉にそちらを振り向けば………あれ?お子様 、三人ともいますけど?

 なんなら、たぶん王妃様? ではなかろうかと思う御方もおりますが………。

 私が不思議に思っていると、陛下が深ーーーーーいため息をついた。


「ふーーーーぅ。………何故皆で来た? いや、気持ちはわかるがフローラ嬢に負担がかかるだろう? おい、なんでそんな目で見るんだ………な! 私は別に独り占めしているわけではないぞ! これは確かめるためにだな………ちっ、来てしまったのはしょうがない。紹介するからこちらへ」


 何やら不穏な空気だが、どうやら紹介いただけるようだ。


「ごほん、ではまず王妃のカリーナだ。そして長男のリース、次男のユアン、長女のミランダだ」


 四人はこちらをジッと見つめてくる。

 これはもしや私の挨拶待ち?


「は、はじめまして。フローラ・ベルンハルトと申します」


 どうやら正解だったようだ。

 陛下が大きく頷いている。

 四人ともジッと見つめてくるのは変わらないけど、その中でもリース殿下の視線が殊の外強い。

 これは負けてられない………という謎の負けん気の強さを発揮して私はリース殿下のことをジッと見つめ続けた。

 その結果………ヨシ! 勝った。

 私が見つめていたらリース殿下が顔を下に向けたのだ。

 しかも両手は震えている。

 おそらく幼女の視線に負けたことが悔しいのであろう、すまんね殿下、私変なところで負けず嫌いなのよ。


 そんな中、すっかり忘れられていたけど父は私の後ろでなんとか踏ん張っている。

 本当は今すぐにでも逃げたいと感じているはず………でも父は私のためにここに居てくれているのだ。

 今世の父はなんて良い人なんだろう………前世の家族は私は強いから何をしても大丈夫という考えのもと、小さい頃から魔物の群れに放り込みやがったのに。

 私、父ともちろん母のことも必ず守るからね!


「ま、ま、ま、まあ!まあ!まあ!!! な、なんて可愛いのぅ! 」


 突然の大声に身体がビクッとなった。

 いや、普通に大声突然出されたらビックリするから。


「こら! カリーナ! フローラ嬢が驚いているだろう! 落ち着け、そしてその手を下げろ」


 その手………というのは今まさに私に向けて両手を広げ抱き付こうとしている手かしら?


「だ、だってこんなことってありますか?!陛下! 先程陛下だって頭を撫でていたではないですか?! ズルいですわ、一人だけ」


「な! あれは、あれだ………その、ほら確認の為だ、本当に大丈夫なのかどうかの………」


 陛下は少々気まずそうな顔をして王妃様から顔をそらした。


「ほら! やはりただ触りたいだけではないですか! 」


 陛下と王妃様が言い争っている間にトコトコという足音が私の近くに寄って来た。

 それに気付いて見てみれば、先程紹介された姫様が私の目の前に来ている。

 私よりも一つ下の五歳ということだが、私よりも大きい。

 まあ、種族的にしょうがないよね。

 私は子リス、姫は………黒豹かな?

 陛下は獅子だが、王妃様は黒豹の獣人のようだし。

 姫は黒いお耳が可愛いし、尻尾も肌触りが良さそう。

 顔立ちは王妃様似でクールそうなお顔だ。


 そんな姫様は私のところまで来たと思ったら、ヒョイっと私を抱き上げた。

 おぅ、私よりは大きいとはいえ、抱き上げるなんて力持ちだね。


「ミ、ミランダ! 何をしているんだ!?」

「ミランダ! ダメよ、急に抱き上げちゃ!」


 陛下と王妃様が慌てて姫様を止めようとしている。

 いや、王妃様もさっき抱き付こうとしてたけどね………。

 そんな二人が止めようと私達に近づく前に、サッと一陣の風が吹き抜け、気付いた時には私は…………さっきまで見つめ合っていたリース殿下の腕の中。

 なんと!! 前世憧れていたお姫様抱っこをされているではないですか!?

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