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第二十一話 贈り物だよ!

 仮の婚約者の話が決まり、家に帰って母に話したら………倒れた。

 うん、そうだよね、そうなるよね。

 高確率でそうなると思っていたから、モケゾウに頼んで支えてもらった。

 モケゾウのことだからちゃんと支えてくれるとは思っていたけど、まさかモケゾウがあんなに大きくなれるなんて………今度モケゾウの上に乗せてもらおう。



「これからどうしようか? 私ってば魔力はあるみたいだけど、前世の感じで攻撃魔法とか使えるか試してないのよね〜。それに筋肉ダルマにはなりたくないけど、自分の身くらい守れるぐらいにはならないと」


 私は自分の部屋でモケゾウと二人でおしゃべり中。


『モケ〜、主の魔力は前世と同じだモケね〜。だから僕を呼び出すことができたモケ。今は体力はないから昔みたいな動きはまだ難しいモケど、技術は魂にイヤってほど刻まれているモケ。武器を持てば自然と動けるモケよ』


 わお、私ってば魂に技術染み付いてるんですか?


「じゃあ、護身用に私にあった武器持ってたら、ならず者の一人や二人ぐらいなら今でもいけそうね」


『………何言ってるモケ? 』


 モケゾウが何おかしいこと言ってるんだって顔で私を見てきた。


「え? もしかして一人を相手にするのも大変なぐらいだった? 」


『違うモケ………逆モケ。主に得意な武器持たせたら、今の主でも十人ぐらい軽くひねれるモケ〜』


「え、本当に? 」


『まじモケ』


 そ、そっか〜、ってアレ? ………私を守る名目で仮の婚約結んだけど、モケゾウもいて、私も自分の身は守れるって、婚約する意味あるのかな?

 ………うん、きっと父と母を守る意味もあるから………意味はある………はず。





 翌日、家に殿下からドレスと花が届いた。

 一緒にメッセージカードもついてて

『婚約してくれてありがとう。これから仲良くしていこうね』

 という感じで書かれていた。

 婚約してくれてありがとうって、こっちが言わなきゃいけないセリフでは?

 それにいきなりドレスまでもらってしまったけど、これは流石に貰いすぎだよ。

 返品するわけにはいかないから、何かお返し考えないとだよ。


『お返しモケか? なら、主の手作りの物がいいんじゃないモケか。主、昔っから小物作るの得意だったモケ〜、僕にも昔帽子作ってくれたモケ〜。あの帽子は凄かったモケね〜、物理ダメージ完全無効だったモケから』


 ああ、そういえば昔モケゾウに帽子作ったわ。

 前世のモケゾウはまだ進化前だったから、私の中ではひ弱で守るべき存在だった。

 その時私が持てる全ての技術をつぎ込んで帽子を作ったのだ、確かにあれはなかなかの出来だったよ。


「でも、いきなり私が作ったらおかしくないかしら? 」


『………今さらな気もするモケ、でも気になるなら僕が力を貸したことにすればいいモケよ』


「わかった。じゃあ、何を作ろうかな〜………あ、アレはどうかな? 昔モケゾウにも見せたことあったでしょう? 受けた攻撃魔法を三倍にして弾き返すハンカチ! 」


『モケ〜、主、さすがに僕だってそれはマズイってわかるモケ………。せめて威力を抑えるモケよ』


 モケゾウに呆れた目で見られた………地味にショックなんですけど。


「む〜、それだったら、なんか悪意のある魔法一回弾き返すは? 」


『………弾き返すの好きモケね、まあ、それぐらいなら僕が力貸したことにすればいいモケね』


「よーし、じゃあその付与をしたハンカチを作ろうっと。術式、刺繍で縫い付ければいいしね〜。そうと決まれば母に布と糸あるか聞いて来ようっと」


 


 私は無事、母から布と糸を受け取り刺繍に取り掛かった。

 チクチクと魔術を込めながら、術式を縫い付けていく。

 なんかこれだけだと味気ないから追加で………そうだ! 小さく黒豹を刺繍しよう。

 角の方に小さくだけど、でもワンポイントが可愛い!

 我ながら可愛いのが出来ちゃった。

 これを綺麗にラッピングして、父に頼んで殿下に届くようにお願いしよう。


 父はすぐにお城に届けてくれたらしい。

 殿下、喜んでくれるといいなぁ〜。





「ほう、これがフローラ嬢から贈られてきたものか? 」


 今、何故か私に送られてきたフローラ嬢からの贈り物を、家族の目の前で開けるよう言われている。


「………父上、何故私のフローラ嬢が送ってきてくれたものを、家族の目の前で開けねばならないのですか? 」


「そんなの、気になるからに決まっているでしょう? 」


 何当たり前のこと聞くんだって顔で言わないでもらえますか、母上。

 ついでに、なんで叔父上までいるのか………。


「まあ、良いではないか。みんなフローラ嬢が何を送ってきてくれたか興味があるんだから、さあ、一気に開けてみてくれ」


 本当はかなり嫌だがしょうがない、どっちにしろこの贈り物は私の物には変わりないし。


「わかりました、では開けてみます」


 私は綺麗にラッピングされているリボンを解き、箱を開けてみた。

 すると中には、綺麗に折りたたまれたハンカチが入っている。

 私はそれを、何よりも価値のあるものを触るように優しく広げた。


「まあ、綺麗な刺繍ね〜、それに角に黒豹が描かれているわ! ステキね! 」


 母上が食い入るように見つめている。

 ダメですよ、これは私の物なんですから。


「ほう、見事な刺繍だ。確かこれはフローラ嬢の手作りとのことだったな、あの年でこの出来栄えとは……」


 父上もその出来栄えにビックリしている。

 でも誰よりも反応したのが叔父上だった。


「ちょ、ちょ、ちょっとーーー! このハンカチ何よーーー! 信じられない! なんて複雑な術式縫い込んでるのよ………えーっと、多分防御系だと思うけど………ううーーん、これ古代文字で書かれているから専門の人じゃないと読み解けないわ………。たぶんモケゾウ君が手伝っているんだろうけど、これ一枚でかなりの価値があるわよ」


 確かに価値は計り知れない………なんたってフローラ嬢の手作りだぞ!

 私はこれを肌身離さず身につける!

 誰にも渡さないからな!

 父上、母上、ついでに叔父上、そんな目で見てもダメですよ、絶対に渡さないですからね!

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[良い点] 青のモケゾウの背に乗って~♪
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