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第十八話 私も知らなかったよ!

『モケモケ〜、僕が主の精霊のモケゾウだモケ。そいつは僕の主にイタズラしようとしていたから、教育的指導をしたモケ』


 突然のモケゾウの出現にエリー様と殿下が驚いている。


「えっと、君はフローラちゃんに付いてる精霊なの? うちのキャロラインに教育的指導って、いやまあキャロラインがイタズラするのが悪いからそれは良いんだけど、これでもうちの子、上級精霊よ? なのに教育的指導出来ちゃったんだ………」


 あら、キャロラインは上級精霊だったんだ……。

 同じ上級精霊でもモケゾウの方が強かったのかな?

 いつのまにかモケゾウがスゴイ子になっているんだけど。


『モケ〜、僕が上級になってからそれなりに時間が経っているモケよ。経験の差がモノをいうモケ』


 お、またなんかカッコいいセリフ言ってる。


「そ、そうなのね。それでモケゾウ君………あ、モケゾウ君って呼んでも良いかしら? 」


 エリー様の言葉にモケゾウが頷いている。


「ありがとう。じゃあ、改めまして……モケゾウ君はフローラちゃんを守っているのよね? だからフローラちゃんは高位貴族のことを怖がらないのかしら? 」


『モケ〜、それはわからないモケ。主の魔力は心地イイモケ、きっと主が持っている力、モケ。でも、その力を悪用しようとするヤツがいたら僕が成敗するモケ。伊達に上級やってないモケ。あと、そのイタズラ精霊、あまり好き放題にさせないようにするモケ。確かに精霊は自分のことを尊重してくれるモノに好意を持つモケ、だけどもう契約しているならキッチリ教育するモケ。そんなんだといつまでも次の試験受からないモケ』


 おお〜、モケゾウがめっちゃ説教している。

 いいのかな、王弟殿に。

 それこそ私の監督不足では?


「そ、そうね。私も甘やかしている自覚はあったんだけど可愛くって………。だけどそれじゃあ、キャロラインのためにならないわよね。………うん、ありがとうモケゾウ君! ところで試験って、もう上級受かってるんじゃないの? 」


『モケ? 知らないモケか? 上級の後も試験は続くモケ。上級の中でもランクがあるモケよ。イタズラ精霊は上級の中でも下っ端、僕はもうすぐ特級モケ』


 ………私も初めて知ったんですけど。

 そしてモケゾウさん、あなた私が死んでるうちにどんだけ鍛えたの?


「は、初めて知ったわ。 もともとこの国で精霊と契約しているものも少ないし、いたとしても中級が良いところ。上級は私を含めて五人ぐらいかしら。そうなるとモケゾウ君はかなりの規格外ね。まあ、フローラちゃんが高位貴族を怖がらない理由の一端ではあるのかもしれないわね。そうなると、陛下にも報告しなくちゃ」


 モケゾウのこと陛下にも言うの?


「あのねフローラちゃん、高位貴族を怖がらないフローラちゃんは今、高位貴族に狙われているわ。たぶんお嫁さんに欲しいって言ってくる家があるはずよ。もちろん法律で無理強いは出来ないようになっているけど、絶対ないとは言い切れない。それぐらいフローラちゃんは魅力的なの。でも、ここでモケゾウ君のことを高位貴族に言っておけば無理にコトを起こそうとする者は減るわ………ゼロとは言えないのが辛いけどね。逆にモケゾウ君を手に入れようなんて考える馬鹿もいるかもしれないけど………」


 モケゾウが無言で高速パンチを繰り出している。

 やる気に満ち溢れているわ。


「……うん、そっちの心配は正直あまりしてないわ。うちのキャロラインが瞬殺ならね」


 あ、はい、なんかすみません、うちのモケゾウが。

 ところで、殿下がさっきから無言で、何か考え事をしているのか難しい顔をしている。

 そりゃそうだよね、こんな小娘が上級精霊従えちゃってるんだから。


「とにかく、陛下に報告しちゃいましょう。こういうのは早い方がいいもの。そうと決まればこれから一緒に陛下のところに行きましょう! 」


 エリー様の勢いのままに私たちは陛下の元へと向かった。

 まあ、部屋の外に出たらジャングルは健在で、そのことを知らなかったエリー様が犯人のキャロラインを叱りつけていた。

 何故か怒られてるキャロラインが少し嬉しそうだったけど、モケゾウが言うには『そういうもんだモケ〜』だそうだ。




 ーーー


 フローラ嬢に求婚者が現れる………。

 それはそうだ、あんなに魅力的なんだから溢れるように現れるだろう。

 いくら法律で守られていようと、中には魅力に負けて強引な方法をとるヤツだっていないとは言い切れない。

 あの柔らかそうな髪も、手触りの良さそうな尻尾も他の奴に触らせるなんて無理だ。

 なら、どうすれば良い?

 俺の婚約者選びも始まってしまう。


 ………そうだ! 仮初めの婚約者に俺がなるというのはどうだろう?

 まだ小さいフローラ嬢を守るため、王族の俺が仮の婚約者になると言えば父も承諾するのではないだろうか。

 王族と下位貴族の結婚は今のままでは難しいかもしれないが、フローラ嬢が成人するまでにその土壌を作れば………そのまま結婚も夢じゃない!

 となれば、早く父に願い出ねば。


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[良い点] ストーカーになりかけているのでは?ボブは訝しんだ
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