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第二話 陛下と話したよ!

 ガン見してた陛下も、陛下の周りの大人たちもちょっと時間が経つと、ハッと気がついたように周りを見渡して、それから陛下が口を開いた。


「ご、ごほん。今日はみなよく来てくれた。この場は上位貴族の影響がどのくらいのものか感じてもらうのが目的ではあったが、それもこれで終いだ。あとはゆっくりこの場の者たちと友好を深めてくれ。特に今日初めて上位貴族に接した子供達は疲れたことだろう。茶と菓子で少しでもリラックスしてくれたら嬉しい。では、私はこれで……」


 そう言うと陛下はお連れの方を引き連れてその場を後にしたのだが、最後にガッツリ私のことを見ていきましたよぅ。

 何ですか? そんなに私のことが気になっちゃいますか? やっぱり子リスなんて愛くるしさの塊だもんね。

 ………とはいえ、他にもカワイイお子様たちがわんさかいるのは事実。

 何故に私だけをガン見するのか。

 不思議だから父に聞こう、と思って隣の父を見上げれば、父はこれまたまん丸お目目をより丸くして私のことを見ていた。

 おぅ、父よ、貴方もか………。

 一体何が起きてるんだ。


「あの〜、お父様? 私、何かしてしまったんでしょうか? 」


 私の声にようやく父が起動した。

 そして私を抱きしめ


「おお〜、私の可愛いフローラ! 君は、あの威圧感を感じなかったのかい? 」


 うん? 威圧感とな?

 確かに陛下からは威厳は感じたけど、別に威圧感などは感じなかったけどな〜

 なんならあの驚いた顔とその時のピン!とした尻尾が可愛かったけど………まあ、それは言わない方がいいか。


「威圧感………ですか? ごめんなさい、お父様。よくわからないです」


 私は父を困った表情で見つめた。

 ごめん、父よ、本当にわからないんだ。

 だから、せめてこの愛くるしい子リスのうるうる困ったフェイスで許しておくれ。


「ああ〜、フローラ!君は何も悪くないよ。………ただ、陛下のあの表情、態度を見る限りこのまま帰るのは難しいのかもしれないが………」


 あれ? もしかして私ってば陛下から呼び出しですか?

 それって、私の可愛さにやられたってわけじゃないよね〜、どうしましょう?



 なんて脳内で遊んでいたら、誰かが近づいて来た。


「失礼致します。ベルンハルト子爵、陛下がお会いしたいとのことです。もちろんお嬢様もご一緒に」


 ………ごめんね、父。

 呼び出されちゃったね、そんな諦めの表情しないでよ。


 私たちは侍従に連れられ陛下の元へと向かった。

 私は父と手を繋いでいるのだが、たぶん陛下のいる場所に近づくにつれ父の様子がおかしくなっているような気が………


「あの、お父様………大丈夫ですか? 震えているようなんですが、もしかして寒気とか? 」


「あ、あぁ、大丈夫だよ、フローラ。これはどうしようもないことだから………でも、フローラはなんとも無いんだね」


 そう言うと父は困ったような、微妙な表情で私を見た。

 うーん、今までのみんなの状態を見るに、陛下に会うとみんな震えちゃうってことなのかな?

 でも、私は何ともない。

 これは、確実に前世のせいか!?

 自分が周りと違うとわかりちょっと焦っていたが、そうこうするうちに陛下のところに着いてしまった。




「陛下、ベルンハルト子爵と御息女をお連れいたしました」


 私と父は陛下の前へと案内された。

 場所はたぶんさっきいた庭の真ん中にあった魔法の壁の反対側。

 ただ、陛下の後ろにもさっきの魔法の壁のようなものを感じる、さっきあったものとは別のものだ。

 何かを隠しているのか?


「うむ、呼び立ててすまないな。………ふむ、やはり私を前にしても大丈夫………なのか? 」


 陛下は私を見て不思議そうな顔をしている。

 大丈夫なのか?って言われたら大丈夫としか言えないが、隣の父はちょっと大丈夫じゃなさそうだ。

 さすがに陛下の前では手を繋いでないが、近くにはいるから父が若干震えているのには気づいている。

 ここは私が頑張らなければ。


「陛下、はじめまして。フローラ・ベルンハルトと申します。父は少し体調がすぐれないようで申し訳ありません。心配していただいてありがたいですが、私は特に問題ないので大丈夫です」


 貴族の挨拶としてまずいかもしれないが、父もなんか大変そうだし、それになんか陛下側の方も混乱中だからなんとかなるだろう。

 前世よりもこちらの貴族は格式にうるさくない、それに子供ということで今回は大目に見てくれ!

 父も心配だし。


「おぉ、普通に挨拶している………。こんなに近くなのに………」


 なんか、感動された。


「フ、フローラ嬢、その、もし大丈夫なら、も、もう少しこちらに近寄ってもらっても大丈夫か? 」


 陛下が少し緊張しながら私に問いかけてきた。

 まあ、近づくのは大丈夫ですよー。

 私はにっこり微笑んで陛下に近づいた。


「うぉ! こ、こんなに近くに………不躾だと思うのだが………も、もしフローラ嬢が嫌じゃなければ、そ、その頭を撫でてみても大丈夫かい? い、嫌ならいいんだ! 本当に断ってくれても不敬だなんてけっして言わないから! 」


 父と同じくらいの年齢の陛下が慌てているのが少し面白い。

 でも、さすがにここで笑うのは失礼だと思うのでおとなしく頭を差し出した。

 別に触られるの嫌じゃないから、どうぞ。


 私が頭を差し出した時、なんか魔法の壁の向こう側が揺れていたような感じがした。

 けど、それもすぐになくなった。

 あの壁の向こうに何があるのかな?

 けっこう人がいるような気はしているんだけど。

 まあ、それよりも今は陛下だ。

 さあ、思う存分この可愛い子リスちゃんの毛並みを堪能して下さい!


「ほ、本当に良いのか? 無理してないか? そ、そうか、大丈夫なのか………で、ではい、いくぞ! 」


 言葉の勢いとは反対に陛下はゆっくりと私の頭を撫ではじめた。

 お、なかなかいい感じ!

 陛下撫でるの上手いっすね。

 私はおとなしく陛下に撫でられていた。


「…………ふう。ありがとう、フローラ嬢。こんなに感動したのはいつ以来かな」


 陛下は非常に満足そうにそう言った。


「いえ、こんなことぐらいいつでも大丈夫です」


 私の言葉に陛下と、存在感を消していた父も驚きの表情を浮かべている。

 もうそろそろ私も勘付いているが、この今世は上位貴族と下位貴族との間に越えられない壁があるのでは?

 そんな風に考えている私に陛下が


「も、もし良かったら我が子に会ってみないか? 」


 我が子?

 ………おう、もしかして王子か姫ですか?



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