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第十六話 抱きつかれたよ!

 私は殿下に案内されて部屋の中へと足を踏み入れた。


「きゃーーーーー! なんて可愛いのぉ〜〜〜〜〜! 」


 何かが凄い勢いで近づいて来た。

 ムギューーーー!

 なんか抱き込まれたーーー!


「叔父上!! 何をしているんですか?! 早くフローラ嬢から離れて下さい!! 」


 殿下が必死に声をかけているが全然離れてくれない。

 ………なんか良い匂いがするんですが………完全に女性ものの香水。

 私のことを抱きしめている人は、殿下が叔父上と呼んでいるから男性なんだよね?


「イ・ヤ・よ。やっと会えたんだもの。この間のお茶会の時は下位貴族と高位貴族の間の壁を魔法で作るのに忙しかったから私は会えなかったんだもの! 良いわよね〜リースは〜、知っているのよ、ワタシ。あなた、この間フローラちゃんに初対面でお姫様抱っこかましたんですって? なのに私のことは止めるの?今、私が抱きしめるくらい許されるはずよ! 」


 そう言うと王弟?殿は、より私を抱きしめた。

 …………うむ、やはりこの人は男性だな。

 抱きしめられ胸に顔を押し付けるような形になっているが、その胸が………硬いです。

 私は頑張って胸から顔を離し、王弟殿の顔を見てみた。

 …………?

 男性…………え、本当に?

 めちゃくちゃ綺麗なお姉さんなんですが………まあ、少し体格は良いような気はするけど。

 王弟殿の顔を見ていたら目が合った。


「あら! 本当にお目目がクリクリで愛らしいわ〜。初めまして、可愛いお嬢さん。私の名前はエリザベス、親しみを込めて『エリー』って呼んでね! 」


「何をトチ狂ったことを言っているんですか………エイドリアン叔父上」


「イヤーーーーーー!その名前で呼ばないでって、いつも言っているでしょう! 」


 一言で言うとカオスです。

 父は諦めてハジの方で私たちの様子をうかがっている。

 たぶん私が怖がっていないから止めに入らないみたい、うんそれで良い、下手に関わると飛び火するから。

 モケゾウは………気配を探ると部屋の隅っこにいるみたい。

 うーん、なんかモケゾウの他にも気配があるな。

 ………そして、こっちの騒ぎもそろそろ止めないと。


「あの〜、初めまして………エリザベス様。私はベルンハルト子爵家のフローラと申します。今日は私の魔力を調べるとのことでお邪魔させていただきました」


 私は王弟殿に抱っこされながらも挨拶してみた………王弟殿の名前は空気を呼んでエリザベス様で。


「まあ!まあ! とっても可愛らしいご挨拶をありがとう! そして名前を呼んでくれて嬉しいわ、でも親しみを込めて『エリー』って呼んでちょうだいね! 」


 綺麗なお姉さんにウインクされてしまった。

 え! 本当にこの方王弟殿なんですか?

 着ている服とかもあまり見ていなかったけど、しっかりドレス着てますけど!しかも似合ってますけど!


「本当に、そろそろフローラ嬢を離しましょうか? エイドリアン叔父上………」


「も、もう! そんなに怖い目で見ないでよリース! 私だって可愛いものに飢えているんだから。………はい、これでいいかしら? ごめんなさいね、フローラちゃん。ちょっと興奮し過ぎてしまったわ。そして………ベルンハルト子爵、お嬢さんにいきなり抱きついてしまってごめんなさい。あまりの可愛さに我を忘れてしまったわ」


「い、いえ、フローラも怖がっているわけではなかったので……はい、大丈夫です」


 いきなり話しかけられた父は安定の震えるモードだ。

 やっぱり慣れないよね。


 ようやく私を離した王弟殿………いや、エリー様で良いか。

 エリー様に殿下がため息をつきながら話しかけた。


「叔父上、いろいろ言いたいことがありすぎて困っていますが、とりあえずフローラ嬢にベタベタ触れるのは禁止です! 」


 ………殿下、初めに注意するところがソコっていうのは間違ってますよ。


「何よ、リースだって触ってるじゃない。ここまで来るのに手を繋いでいたでしょう? 」


「あ、あれはエスコートするのに触ってただけです………」


「まあいいわ。じゃあ、あらためて。今日はフローラちゃんの魔力を調べさせてもらいたかったの。フローラちゃんも知っているとは思うけど、本来下位貴族の子供は高位貴族を本能的に恐れるの。それは小さい子供では自分でコントロール出来ないものなの。だから、もしかしたらフローラちゃんの魔力に何か違うところがあって、それが理由で高位貴族を恐れないと思って調べてみたかったの」


「それで、叔父上。その魔力をどうやって調べるんですか? 」


「もう!リースったら私のことは叔父上じゃなくて、エリーお姉様と呼んでちょうだいっていつも言っているでしょう!………で、どうやって調べるかって? それはもちろん私の精霊で調べるのよ」


 …………精霊………ですか。

 さっき確かモケゾウが部屋の隅っこにいたよね。

 んでもって、モケゾウ以外の気配があったよね………アレって………も、モケゾウさん! ちょ、ちょっとエリー様の精霊に何もしてないよね?!



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[良い点] モケゾウ「もぐもぐ」
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