第十四話 また呼ばれたよ!
うーーーん、もう朝か。
そろそろ起きないとね、私は目を開けたのだが………一面、青色。
そしてつぶらな瞳………。
「きょえーーーーーー!!」
『モケーーー!! ど、どうしたモケ?! 敵襲モケ? 今すぐやるモケか! 』
「ち、違うわよ!! モケゾウにビックリしたの! 」
なんで起きたらどアップでモケゾウが??
ビックリし過ぎて叫んじゃったよ。
確か昨日寝る前にモケゾウが『結界張ったモケ〜』とか言ってたから、叫び声は部屋からもれてないと思うけど………。
『モケ? 僕にビックリしたモケか? 僕は本当に主が息しているかを確認してたモケよ。もう、突然離れ離れになるのはごめんだモケ』
ああ、なるほどモケゾウは心配してくれていたのか………。
前世でどんな風にモケゾウと別れているのかわからないけど、きっととっても悲しませたんだ。
「ゴメンね、モケゾウ。心配してくれてありがとう。あのね、でも朝起きてすぐに目の前にいられると凄くビックリするの、せめてもうちょっと離れて確認してもらってもいい? 」
『モケ〜、そうモケか………。わかったモケ。バレないようにするモケね! 』
………うん、まあいいか。
それでモケゾウが安心するなら。
「え? またお城に行くのですか? 」
父が小さく頷いている。
若干しかめっ面だし。
「ああ、この間のこともあるしあまり行きたくはないと思うのだが、今回は陛下からの招待というのは同じなのだが、どうやら魔術師長殿がフローラに会ってみたいと言っているようなんだ。陛下からの手紙では、フローラが高位貴族を怖がらないのは何か魔力と関係ないか確認したいとか……」
魔力は関係ないと思うけど………たぶん前世が原因だし。
「そうですか………。行かないといけないですものね。でも、またお父様にご迷惑がかかってしまいます………ごめんなさい」
「フローラ! 君が悪いわけじゃないだろう! 不甲斐ない父でこちらこそすまない、陛下の誘いを断ることが出来ずに……」
「それこそお父様のせいではありませんわ。それに今回はモケゾウもいます。きっと守ってくれますわ。そうよねモケゾウ? 」
安定の私の胸元にいるモケゾウは元気よく手を挙げて
『モケ〜〜、安心するモケ〜、主は僕が絶対守るモケよ〜。それに主の父上と母上も守るモケ〜』
「おお! それは心強いですな! どうかよろしくお願いします! 」
こうして私と父、そしてモケゾウがお城に行くことになった。
一応モケゾウは上級精霊だから隠れてついてきてもらう。
父にこの国の精霊事情を確認したところ、上級精霊を使役している人は公表しているのが二、三人、もしかしたら他にもいるかもしれないが、下位貴族には情報があまり流れてこないようだ。
なので、いきなりこんな下位貴族の幼女が上級精霊と契約したことがバレると面倒くさいことになるので、モケゾウには姿を消してもらった。
『モケ〜、ここがお城だモケね? …………モケ〜〜、精霊の気配がするモケ。僕より強いのはいないみたいだから大丈夫モケよ、僕が食物連鎖の頂点だモケ! 』
いや、食物連鎖って。
モケゾウは何を目指しているのかな?
「モケゾウ、今から中に入るから姿消してね」
『モケ〜、かしこまりだモケ。でも、主に害なすものが現れたら………その時は僕の拳がうなるモケ! 』
どんだけ拳に自信を持っているんだ………精霊なんだから魔法で勝負しようよ。
それから私たちは城内へ案内された。
………なんか案内してくれる人が凄い緊張しているようなんだが。
大丈夫だよ、常識知らずな行動を取らない限りは侍女ズのようなことはないから。
案内された場所はこの間とは違う部屋。
確かにあの部屋は豪華だけど、いい思い出ないもんね。
「ベルンハルト子爵並びに御令嬢をお連れいたしました」
案内してくれた人が部屋の前に控える護衛に声をかけた。
すると護衛が中に入り、入室の許可を得る。
………そうだよね、普通こんな感じで案内されるよね。
前回がどれだけ非常識だったのかが浮き彫りになる。
「おお、ベルンハルト子爵、フローラ嬢よく来てくれた! 前回は本当にすまなかったな。あの者たちと、それ以外の協力者も全て処分したから安心してくれ」
処分ですか………。
一体どんなことになったのか………まあ、自業自得だからな。
私は聖人君子ではないから自分に悪意を持つ者には容赦はしないよ。
「は、はい、ありがとうございます。と、ところで本日は、魔術師長が用事があるとか………」
あまり長居をしたくない父と私。
父はすぐに今日の要件について口にした。
「ああ、そうだな。本当なら今度こそフローラ嬢とお茶を楽しみたかったのだが、あいつが早くフローラ嬢に会わせろとうるさくてな。魔術師長は………フローラ嬢は知らないと思うが私の弟なのだよ。私とは年が離れているから今二十一歳。歴代最年少の魔術師長だ。ただな、あいつは優秀なんだがちょっと面倒くさくて………い、いや、うん、大丈夫、フローラ嬢に危害を加えることはないから。本当は私が案内したいのだが、宰相が仕事をしろとうるさくてな………。なので案内は、そこでフローラ嬢を一心不乱に見ている我が息子に頼んである。………おい、リース、そろそろ起動してくれ」
…………うん、気付いていた。
部屋に入ってからずっとこちらを熱い眼差しで見つめてくる人に。
だから、殿下、私焦げます。
それを見たモケゾウが私にだけ聞こえる声で
『モケ〜、なんかうっとしい気配がするモケ。主、アレ邪魔モケ』
モケゾウ、それは一応、心の中に留めといて。