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第十一話 帰っちゃうよ!

「ふう、何というか………こんなに人を不快にさせる者たちを雇っていたとは………情けない。王妃だけの責任ではないな。たぶん他にも下位貴族を面白く思わない使用人が複数いるのであろう。それに、初犯でもないのであろう? どうにも手慣れていたようだ。下位貴族が高位貴族に何も言えないとわかっていてこのような愚行を繰り返ししていたのであろう」


 陛下がイライラと呆れを滲ませて言葉を発した。

 結局侍女ズは私達下位貴族だけではなく、高位貴族の代表たる王家をも馬鹿にした行為を行っていたということになる。


「まずこの者たちを見張りをつけて部屋に閉じ込めておけ。平民の使用人だと協力者の可能性もあるから、高位貴族の使用人を見張りにつけよ。あと、ベルンハルト子爵が到着したことが伝わらなかった問題も、協力者がいるはずだ。必ず見つけ、その者も閉じ込めておけ! 」


 陛下が部屋の外に控えていた護衛を呼んでそう伝えた。

 侍女ズは護衛達に抱えられるように部屋を出て行く………その際、最後まで何かの間違いだ!と叫んでいた。

 どの辺りが間違いなのか問いただしてみたいところだが、その役目は私の仕事ではない。

 是非ともきっちりシメていただきたいものだ。


 なんかドッと疲れたな〜

 さて、そろそろ帰ろうか。

 そう思って、父と母を見てみたら私以上に消耗していた………尻尾に元気がない。


「本当に申し訳なかった、呼びつけておいてこのようなことに………」


「ベルンハルト子爵家の方達を不快にさせてしまって本当にごめんなさい」


 陛下と王妃様がそう言って頭を下げようとした。

 監督不足かもしれないけど陛下達に頭を下げさせちゃダメだよね。


「へ、陛下、お、王妃様、我らにあ、頭など下げないで下さい! 陛下方に悪意などないのはわかっております。確かにあの侍女達の態度は褒められたものではないですが、それで陛下方が我らに頭を下げる必要は全くありません」


 あ、父が頑張って陛下に訴えてくれた。

 相変わらず吃ってはいるけど、それでもきっちり言えるところはスゴイ! 父カッコいい!

 心の中で拍手をしておく。


「そ、そうか………いや、不甲斐ないところを何度も見せてしまっているな。だが、ベルンハルト子爵のその心遣い有り難く感じている。すまない………違うな、ベルンハルト子爵ありがとう! 」


 陛下が笑顔で父にお礼を言った。

 父もちょっと震えているけど嬉しそうだ。

 じゃあ、ひと段落ついたんでフローラちゃんは帰りたいと思います!

 そう思った私は陛下方に礼をして


「それでは、騒ぎも落ち着いたようなのでこれで失礼します」


 私の言葉に一瞬固まった陛下方、しかしすぐに持ち直したのか


「ま、待て、待て、待て、まだ何も話していないし、何ももてなしが出来ていないではないか! 」

「そ、そうですよ! まだフローラちゃんを全然堪能……いえ、まだお礼も出来ていないわ! 」

「待ってくれ! 俺の天使! まだ何も話せていない………い、いろいろ準備していたんだ! もうちょっといてくれ! 」


 三人がスゴイ勢いで話し出した。

 若干被ってたから何を言っているのかわからなかったところもあるが、どうやら引き止められたようである。

 でもな〜、私は平気だけど父と母が心労がピークだよね〜。

 私は心配そうに父と母の方を見て陛下方に訴えた。


「あの、お気持ちは嬉しいのですがあんなことがありましたし、お父様とお母様の体調が心配なので今日は帰らせていただいても良いですか? 」


 ここぞとばかりにお目目をウルウルさせて、両手を組んでお願いしてみた。


「「「うっ! 」」」


 陛下方三人は同時に心臓を押さえてうつむいた。

 殿下は何故か鼻も押さえている………。


「こ、これは………スゴイ破壊力だ」

「まあ!まあ!まあ! す、スゴイ、か、可愛すぎるわ! 胸がドキドキしすぎて痛い………」

「うっ、天使が天使すぎるぅ〜〜。気を抜くと血が…………落ち着け俺、あれだ、騎士団の訓練風景でも思い出せば落ち着くはず………」


 ふっ、勝った。

 これがフローラちゃんの秘密兵器だ。

 あんなペンダントよりもよっぽど貴重だろう。


「そ、そうか、確かにあんなことがあって疲れただろう。こちらの気遣いが足らなかった。一緒に茶を楽しめなかったことは残念だが、また城に来てくれ」


 陛下がそう言うと、王妃様と殿下も非常に残念そうなお顔で頷いた。


「では私たちはこれで失礼いたします」


 私たちは陛下方に挨拶をして城をあとにした。

 ふう、何しに城に行ったかよく分からなかったよ。

 当分行きたくないな〜と思っていたら、次の日には何故かスゴイ量の贈り物が届いた。

 どうやら昨日の侍女ズの事件に対するお詫びと、あの献上したペンダントのお礼だそうな。

 殿下からは私が作ったペンダントよりも豪勢なペンダントが届いた。

 …………私はそっと鍵のかかる机の引き出しにしまっておいた、これは流石に着けられないよ。

 六歳児に渡すものじゃない、絶対違う!


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