ホーホケキョ、うぐいすさまへ
ねぇ、弥生の終わりだったわ
貴方の声を聴いたのは。
ねぇ、紅梅も白梅も早くに咲いてたでしょう?
ねぇ、春が駆け足で来たのよ
ねぇ、おかしな冬だったの
寒さがまとめて、一度に来たの
家中冷凍庫の中になってたのよ
防寒してたのに
枯れてしまったゼラニュウム
並ぶ様植えてる、クロッカスの列
ポツリポツリとだったの、寂しいわね
ねぇ、卯月の走りにね、寒かったわね
ねぇ、貴方はこりゃ駄目だとなったの?
ねぇ、それから暑いほどの気温になったのよ
ねぇ、山桜も何時もより早く咲いたの
咲いたけど、いきなり寒くなったの
桜が散った後で雪が降ったの
撒いた野菜の種は、芽が出ない
皐月が来たわ
寒い空気と共に
雪の様なスモモの花も
既に終わっている。
鶯は
何処に行ったのだろう
何時もなら山笑う 今
ほーほけ、ホホホケと
練習するのよ
水無月の頃に
ホーホケキョとなって、谷渡り
ケキョ……。澄んだ声
弥生の終わりの朝
一度、聴いただけ。