夜
試合でまた負けました。
あれから1時間ほど経って、俺はホテルの自室に帰ってきた。時間が経つにつれて試合の記憶は薄れていくが痛みはなかなか収まらない。試合の後は晩御飯を食べながら自分の試合を映像で振り返る事を日課としているのだがやはり、俺の試合は他と比べて面白みが欠けている。客の声援も小さい。
「どこが違うのかなぁ。」
最近では俺よりもデビューが遅いヤツがベルトを巻いたりして、なおさら焦る要因になる。
ヒールじゃなければと思ったりもするが、どうしても辞めることが出来ない。でも、理由は分からない。
「はァ...」
でも、ここで悩んでいても仕方ないし明日も試合がある。
俺は晩飯を片付けて、シャワーを浴びてストレッチをしてからベットに入った。
「そうえば、明日の相手は誰だっけ?」
対戦カードを見ると、3vs3の6人タッグマッチだった。俺はユニットのメンバーと組んでいる。相手は...
そこに居たのはこの団体トップのベルトを持ったチャンピオンのだった。それと同時に俺は悟った。「あした、俺がフォールされるな。」とはいえ、試合が終わるまで何がある分からない。
俺は明日に備えてぐっすり寝た。