Ⅹ.会議室の青年
会議室の中には、既にかなりの人数が集まっていた。
きっと、処刑というワードに反応した人も多いのだろう。
キョロキョロしながら中に入ると、右手から俺たちと同い年くらいの青年が歩み寄ってきた。
「君たちで十七人目。
まだ時間まで6分あるから、奥で待機しててくれ。」
そう言って微笑む様は、皆から信頼されているリーダーのよう。
会議も、彼が司会進行を務めるのだろうか。
その様子が、安易に想像できてしまう。
言われた通り部屋の奥まで行くと、改めて室内を見渡した。
明らかに、ゲーム開始前よりは人が少ない。
「クロ、能力は使えるか?」
「使えねぇ。」
隣にいるクロは、誰かを探しているようだ。
アイリの腕の中にいるぬいぐるみも、力なくその身を預けている。
会議室の天井からはシャンデリアがぶら下がっていた。
ど真ん中にある机の中心には、なんだかよくわからない白い箱が置いてあった。
椅子も二十個用意されている。
いくらゲームの運営とは言え、いつの間に用意したのだろう。
あらかじめ用意していて、二十人になったときにこの部屋が開放される仕掛けになっていたのかもしれない。
そうなるとやはり、二階で部屋を探してよかった。
特にすることもないので、入口に目をやった。
俺たちで十七人目と言うことは、あと三人来るはずだ。
見たところ、リョウタとシロはまだ来ていないらしかった。
この場に集う年齢層は様々だ。
リョウタと同じくらいの子もいれば、俺たちより年上の人だっている。
それでもご老人がいないのは、最初の方に脱落してしまったからだろうか。
それとも、初めから参加していないのか。
「また会ったね、お兄さん。
……もう会えないと思ってたんだけど。」
初めて会ったときのように、背後から急に声が聞こえ、肩が震えた。
振り返れば、笑顔で俺を見上げるリョウタの姿が目に入る。
「久しぶり…ってほどでもないもんね。
うーん…なんて挨拶するのが正しいのかな。」
頭を抱えるリョウタを横目に、シロのことを捜してみた。
姿が見えないことに疑問を覚えると、リョウタの腰に差してある小刀が目に入った。
「…この部屋じゃ能力は無効化されるんじゃなかったのか?」
「あぁ、これ?よく気付いたね。
ボクもそう聞いたから、小刀に化けてもらったんだけど、人の姿に戻らないんだよね。
もしかしたら、使用中の能力は維持されるのかも。」
笑顔で語るリョウタには申し訳ないが、それだと無効化とは呼べないと思う。
でも、これで残りは一人。
あと2分で会議が始まる。
一番最後に来た奴が、一番疑われやすいだろう。
視線が自然と入口に集まる中、場に似合わない声が響いた。
「遅れましたぁ~!!間に合いました?
始まって…ないですね!!セーフ!!」
ダッシュで入ってきた女の子は、驚くほど幼い。
リョウタよりも全然年下だろう。
もしかすると、未就学児かもしれない。
栗色の髪の毛を、二つに結んだ女の子。
「大丈夫、間に合っているよ。」
「よかったですぅ~!」
少女はピンク色のフリルスカートを揺らしながら、例の青年に駆け寄った。
どことなくアイリに似ている気がする。
「時間になったし、会議を始めよう。
僕はアオイ。高校三年生だ。」
アオイと名乗った青年は、視線で次の人に自己紹介を促す。
どうやら、彼を始めに右回りで自己紹介をするらしい。
彼は、シロの存在に気が付いているのだろうか。
「マツリです!!6歳の女の子です!!
よろしくお願いします!!」
「ぼ、僕はタケル…です。
23歳…か、会社員を…して……います…。」
順番に、自己紹介をしていく。
名前を覚えられるかはまた別として、自己紹介をすれば情が移って殺し合いにならないのではないだろうか。
俺としては嬉しいことだが。
「私はカスミ。高校一年生。」
「カナです。カスミちゃんと同じく、高校一年生です。」
4分の1、自己紹介が終わったところで、アナウンスが入った。
《あーもう、自己紹介とかどうでもいいんで。
さっさと会議始めてくれる?》
アナウンス越しでも、その心情は読み取れた。
一刻も早く、犯人を見つけて欲しいのだろう。
そのアナウンスに、アオイは苦笑いを浮かべた。
「僕のせいで怒られちゃったね。
ごめんなさい…じゃあ座ろうか。」
沈黙に包まれる前にアオイが指示を出してくれたお陰で、暗い雰囲気にはならなかった。
アオイが座ると、一人、また一人と椅子に座っていく。
やがて俺たちも含めて全員が席に着くと、会議が進行した。
「…アナウンスで聞いたと思うけど、会議の最後には必ず一人吊らなければならない。
今から、最長3時間の会議で一人を決める。」
アオイの真剣な声音に、辛辣な空気がこの場を覆った。
残り19名




