裏方仕事
早くあの女性陣の元に駆け付けねばと焦る気持ちを抑えながら、ル―カスは五人目の暴漢を屠っていた。
想定通り、ル―カスを足止めしていた間に暴漢達は女性達を追っており、女性達の人相風体の分からないル―カスは彼女達を狙う男達を追跡していたのである。
正義はどこにあるか、は、現状を見てル―カスが決めた。
蹄鉄屋の若者の望みにも叶う、ごろつきを排除することにしたのである。
そうして彼は身を潜めながらごろつきのそばに現れては、彼等を殺すという事を繰り返しているが、それが実に簡単なのは、男達が組織だった行動を取っていたからである。
彼らは扇状に広がりつつ女性達に迫っており、先鋒が飛び出し脅かす事で女性達が後退し、男達が扇状に潜伏して作り上げた袋小路へと追い込むつもりなのだ。
恐らく村の若者が口にした通り、ごろつき達は領主の妻の兄だという傭兵に戦術などを仕込まれているのであろう。
男達は女達が逃げられない様に散開しており、その散開の仕方が用兵の基本そのままで、だからこそ彼には動きと位置が予測でき、また、多勢に無勢に陥いるどころか気付かれない様に各個撃破が出来るのである。
「もう少し急がないと。そろそろ最初の一撃が彼女達に行くなぁ。」
遠目で眺めただけなので女性達の顔立ちもわからないが、倒れた仲間を筏のような簡易ソリに乗せて運ぶ姿に、彼は勝手に感動してしまっていたのだ。
頬に雫を感じ、手でそっと頬を触れば自分の両目が涙を流していたことを知った。
歩けない、動けない、とル―カスの足を掴む仲間へ、何度ルーカスは彼等の望み通りに止めを刺して来たのだろうと、彼こそ仲間をあのようにソリに乗せて運びたかったのだと、彼の涙はその後悔を思い出した涙なのである。
あの姿こそ、自分の思う希望の姿であるのならば、彼はあの二人を命を懸けて救わねばならないだろう。
彼はそう決意し、実行し、さらなる敵の居所へと密かに動き出していた。
最初に司令塔らしき二名は駆除した。
左舷の壁の内三名は屠ってあるので、後二名で左舷はお終い。
彼女達が嵌る袋小路の片壁は無くなり、司令塔がいない右舷は混乱を期すだけだ。




