街角ピエロ
見覚えある方もいるかまされません。
何せ今回書いたのは自分が好きな涙の理由を自分なりに書いたからです。
ある日、僕は彼女に出会った……
それはとても美しい女性で、肌は雪の様に白く、黒色の長い髪をしている。
名前はエレナというらしく、彼女は目が見えないと言うのです。
「それなら僕が眼を治してあげるよ」
これが初めての出会いだった。
いつもの様に僕はピエロの化粧をし、パントマイムを街角で披露している。
お客様を笑顔にすることが、生きがいとなっていた僕。
来る日も、来る日も、笑わせ続ける……
そんなある時、花売りをする1人の彼女を見かけ、僕は彼女に一目惚れをしてしまう。
僕はその日以来彼女に会いに行くかのように、その場で芸をするようになった。
月日が流れ、エレナと会話をするようになったある日、彼女から「貴方の顔が見てみたい」と言われる。
エレナとの約束を果たすため、僕は必死に朝早くから夜遅くまで働き金を稼ぐ。
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やっとの思いで手術費用を集め、そのお金を使い手術に挑む事になった、エレナ。
「心配しなくても大丈夫。僕がそばにいるよ」
そう言い残し、エレナは手術室えと運ばれていく……
刻々と時間が過ぎ、手術室のランプが消える。
無事に終えたエレナは病室えと運び込まれた。
それからはいつもの様に仕事を終えると、彼女のいる病室にお見舞いに行くのが僕の日課。
「やあ、調子はどうだい?」
「絶好調よ…… 早く包帯が外したいわ」
彼女は僕が看病をしてくれていたおかげで、順調に眼が回復しているんだと話してくれる。
そんな毎日を送ると、ついに包帯が外せる許可が担当医から報告を受けた。
翌日、看護師によって包帯が外される……
光り輝く朝日が、暗闇に包まれた私の眼に飛び込んできた。
私はとても嬉しく、早く彼とこの喜びを分かち合いたい気持ち。
「貴方はとっても綺麗なのよ。見てごらんなさい」と看護師から手鏡を渡される。
恐る恐る鏡を覗き込む………
そこには大人びた、綺麗な瞳の女性が写り込む。
「これが、私?」
私は少し微笑んだ。
ーーガラガラ
と病室の扉が開く。
「あなたが、ロイズさんなんですね」
汚れた作業着の貧しそうな男性が眼に写っていた。
「ついに、見えるようになったんだね!」
「本当にありがとう。あなたにはとても感謝してます」
と僕に泣きながらお礼をしてくれた。
僕達は手繋ぎ、とても喜びあう。
そして僕は退院した彼女と2人で暮らす家に向かう中、彼女は野に咲く花を見、夕日を新鮮な気持ちで、感激しながら見ている。
彼女のそんな姿を見ていると愛おしさを感じずにはいられない。
「汚い部屋だけど」
そう言い、軋むドアを開けエレナを家に招き入れる。
彼女が家に入ると、キョロキョロと部屋を見渡す……
そこは薄暗く、何もないジメジメした部屋だ。
彼女の顔を覗き込むと、エレナの眼に失望の影が走ったのを見逃さなかった……
僕はいつもの化粧をし、いつもの街角でパントマイムをする。
「あっ!ピエロさんが帰ってきた」
あの頃と変わらず芸をしていると、お客様の少年が「ピエロさんが泣いてる!」と言い、子供達がざわつきだす……
ピエロの左目にはキラリと光る涙の雫が描かれていた。
少年の前で何も語らず、おどけて見せる。
「何だ、いつものピエロさんと変わらないや」と少年達は安心した。
今日もピエロは街角に立つ……
風の日、雨の日、来る日も来る日も、街角に立ち続ける。
消えることのない涙を流しながら……
ご愛読ありがとうございます。
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