世間を嗤う
今日も今日とて人間は忙しない。
笑って嘆いて浮かれて沈む。
それを一匹の猫又が、水煙草燻らし高みの見物。
「今日はどんな馬鹿が見れるかねぃ」
嫌味な笑みを浮かべて人間観察。
目に付いたのは痴話喧嘩。浮気をした、していないと大騒ぎ。
「やれ、これは愉快な事で。人間様は1人の相手に依存するかと思えば、1度に複数の女に気をやる事も出来るのかえ。変に器用な事だねぃ」
かんらかんらと嗤いながら眺めるうちに、女は男の元を離れて行った。
「あの性分は変わりゃせんだろうね。また違う女に手を出しては、同じ轍を踏むだけさね。」
残された男の顔には、うすら笑みが浮かんでいた。
「今日の味は、吸えたモンじゃないねぃ。明日はマシな味になる馬鹿が居ればいいんだがねぃ」
猫又は表情を変えず、すぅっと煙を吐き出して消えてしまった。
人間はいつまで経っても馬鹿ばかり。
それを肴に、明日も水煙草を味わおう。
かんらかんらと嗤いながら...
初投稿です。
世間を冷ややかに眺める猫又の話でした。