88話 後悔後を絶たず
白兎亭の自分が宿泊している部屋に戻り、早速チートツールを起動する。
覚悟を決めて自分のステータスをさらにいじる為だ。
ステータスが変化すると、体調が洒落にならないレベルで悪くなるので、ステータスを変更するのは正直なところ恐怖感が強い。
毎日少しづつならとも考えやった時期もあるが、ただでさえ現状の自分の体のスペックに感覚がついていっていない状態でそれをやってしまうと、例え僅かな変化でも違和感が出てしまうのでしばらくやっていなかった。
例えるならば、毎日全然違う種類の自転車やバイクに乗る感じだろうか?
そのせいで、階段を踏み外しそうになったり、目測を誤って壁に激突したりと、それはそれで酷い目にあったのである。
これが乗り物なら下りれば良いだけだが、自分の体となると、思うように動けないというストレスがもの凄いし、階段踏み外したり、家具の角に足の小指ぶつけたりすると、ステータス高くても結構痛いのだ。
それ故に、一度ステータスを上げたら、自分の体の慣らし運転をするようにしているのだが、正直今のステータスに慣れたとは言い難い。
というのも、スタンピード大量のモンスターとベヒーモスを倒した事でレベルが上がり、ステータスも上がってしまったからだ。
レベルアップによるステータスの変化の違和感や痛みなどは、この世界の住人達も感じるらしく、一度に多くレベルが上がった場合に、レベルアップ休暇をとる冒険者も少なくないという事だった。
チートのよるステータスアップもレベルアップによるステータスアップも両方経験している俺としては、レベルアップの時の方が大分優しくて楽だと言える。
チートの不自然な数値の変化はそれだけ体に負担がかかっているということなのだろう。
楽とは言え、違和感は出ているので、どうせ出てるならチートで上乗せして慣らしの回数を減らそうとしているわけだ。
多分後悔するんだろうけど、こういう時の勢いが無いと、ステータスアップに踏み切れないのだから仕方がない。
「さて、ステータスを上げる前に、スキルを吟味しておこう。 気絶するかもしれないし……」
ダンジョンを探す方は、まあ良いとして、ダンジョンで使えそうなスキルを登録済みのチートコードのタイトルを見ながら、どんなスキルだったかを思い出す。
「『暗視』『聞き耳』『オートマッピング』『罠解除』『解錠』あたりが無難かな? あと、『危険感知』のレベルも上げておこう」
いっぺんにやって大丈夫だろうか?
経験上、目と耳と頭と手首が痛くなるような気がする……。
「レベル1でもスキル無しと比べれば天地の差があるから、とりあえずレベル1でとって様子見だな」
料理スキルですらレベルを上げたら不調が出たから、どうも慎重になりすぎている気もするが、死なないとはいえ、気絶レベルの苦痛を進んで食らいたくはない。
まあ、そもそも無理にやる事もないっちゃ無いんだけど、出来る事をしないで即死とか、そのせいで目の前で誰か死んだとかになるのは嫌だからな。
覚悟を決めてスキルを取る。
「……ちょっと、気持ち悪いがなんとか耐えられるな、まあレベル1なら大丈夫そうだな」
今の状態を例えるなら、エコノミークラスで長時間未動き取れない状態で座っていて、さらに酔った。 という状態だろうか?
ちょっと辛いが、気合いを入れれば耐えられる。
でもレベルを上げるのは後日にしよう、このあとステータスもいじるし……。
苦痛耐性とか誰か持ってたら、いただきたいものだ。
ステータスのパラメーターで上げやすいのはHPだろう。
HPが減らなくとも一撃死の危険は常にあるから、HPの最大値を上げるのは大切だ。
MPも、他のパラメーターに比べると上げたときの苦痛は少ないから多めに上げておこう。
魔法はまだうまく加減が出来てないが、ゲームでは特にペナルティ的なモノは無かったが、MPが無くなると昏睡状態になってしまうので、そのリスクも回避したい。
他のパラメーターは、正直上げすぎるとろくなことがないので、端数を繰り上げる程度にとどめておこう。
それでも十分、人としては強い筈だ。……たぶん。
問題は、様子を見ながらパラメーターを1つずつ上げていくので、時間が意外と掛かることくらいか。
1個ずつ様子を見ながらパラメーターを上昇させていたら、そこまでキツくもなかったので、めんどくさくなって一気に適用したらぶっ倒れそうになって後悔した。
なんというか、成長痛とぎっくり腰と乗り物酔いと偏頭痛がいっぺんに来て、そこに高温多湿の不快感を足して、さらに逆さに吊られているような感じだ。
何を言っているかわからねーだろうが俺にもわからねえ! とにかくひどい目にあった。
僅かだからってまとめてやるもんじゃいな、気絶出来ない程度だったせいでかえって辛かった。
HPを上げていなかったら即死だったと思う。
「苦痛耐性とか気絶耐性みたいなスキルもってるやつが居たら、絶対取ろうとか思ってたけど、気絶できないとなると、かえってきついなこれ……」
気絶というのは、一種の防衛機能だと聞いたことがある。 何でもかんでも耐えられればいいというものではないのだろう。
あーとかうーとか唸りながら、ベッドに横になって休む。
この後、リハビリ的な慣らしも必要なので、ステータスなんていじらなければ良かったとも思ってしまう。
まあ、毎回後悔してるけど懲りずにやってるけどな!
スキルは軒並みLV1が並んでいて器用貧乏感が漂うが、ノービスなのでそこは許して貰おう。
ん? 最初と言ってる事が矛盾している?
キニシナイ、キニシナイ……。
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名前:イオリ・コスイ
種族:ヒューマン
年齢:18歳
ジョブ:ノービス
レベル:81
HP:8900
MP:5500
スタミナ:12000
筋力:600
敏捷:700
知力:500
器用:600
体力:1000
魔力:700
頑健:1000
精神:700
物理攻撃力:500
魔法攻撃力:400
物理防御力:500
魔法防御力:400
称号:異世界人、露出狂、偽記憶喪失者、ドラゴンバスター、ウンチク魔人、簒奪者、魔道具使い、都市の守護者、鑑定名人、ジャイアントキリング
スキル
パッシブ:言語翻訳
:アイテムボックス(x9999)
:装備制限解除クリアボーナス
:チートツール LV MAX
:解析ツール LV MAX
アクティブ:剣術 LV2
→スマッシュ LV1
カウンター LV1
ダブルアタック LV1
カウンタースマッシュ LV1
ウェポンガード LV1
ソニックスラッシュ LV1
:体術 LV1
→アクロバット LV1
登攀 LV1
受け身 LV1
忍び足 LV1
:射撃 LV1
集中 LV1
命中 LV1
装填 LV1
クイックショット LV1
:格闘 LV1
→コンビネーションアタック LV1
バックアタック LV1
:魔法 LV1
→龍言語魔法LV1
究極魔法 LV1
上級魔法 LV1
中級魔法 LV1
初級魔法 LV2
:知覚 LV1
→暗視 LV1
聞き耳 LV1
危険感知 LV1
オートマッピング LV1
:クラフト LV1
→ポーション作成 LV1
武具メンテナンス LV1
鑑定 LV3
魔道具作成 LV1
料理 LV3
罠設置/解除 LV1
解錠 LV1
所持金:999999412GP (+直接所持186GP)
魔晶石:999987個
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