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78話 コードゲット

 都市とつくだけあって随分と大型の魔道具のようだ、名前長くて覚えたれないけど……。

 確かにこれだけ大きくて、しかも一部しか見れないとなれば複製しろと言われても難しいだろう。

 コードを使わないのならば!

 興味本位以外の何物でもないが、なんとかバレずに解析ツールを使えないだろうか?



 隙を伺っているうちに、起動のためのの準備が終わったようだ。

 まあ、準備と言っても魔晶石を中央のパネルの横にあるシリンダーのような場所に入れるだけだったのだが。

 その途端に、ある程度の明かりはあったが、けっこう薄暗い感じであった室内が深夜のコンビニ並の明るさになり、あちこちから機械が動く独特の音が聞こえてきた。



「おお! これが完全に起動したところは初めて見たぞ!」



「逆立ちしても魔晶石を購入するような資金を捻出できませんでしたから、この魔道具を完全稼働させる日が来るとは夢にも思いませんでした。 このヴァルター感無量でございます」



 ヴァルターさんが目頭を押さえている。

 って、それほどの物なのか?



「あの、どのような魔道具なのか伺っても構いませんか?」



 防衛と言ってはいるがどのように防衛するのだろうか?



「おお、そうだなイオリの協力無くしては、これを動かす事は叶わなかったわけだしな」



「ジークフリード様、それでは僭越ながら私がご説明させていただきます」



「そうか、これについては先代の父上の頃より仕えているお前の方が詳しいからな、任せよう」



「はい、この都市防衛用の魔道具『ニートリガーバギアーゲナーラートアー』は、モンスターや敵対勢力などが侵入出来ない結界を空を含め街全体を覆う形で展開する魔道具です」



 ヴァルターさんの話によると、ただ結界を張るだけでは無く、強度や侵入の可不可をある程度自由に設定が出来るようになっているということだ。

 ただし、強度の強さや侵入の可不可の設定数に比例して燃費も悪くなって行くらしく、常にすべてのモンスターから守ると言うような設定は、それこそスタンピードのような有事にしか使わないそうだ。



「結界に関しましては目の大きさの変わる網を想像して頂けるとわかりやすいかと」



 なるほど、網の目が荒ければ網の材料は少なくても済むが網の目よりも小さな物は通してしまう。

 網の繊維を細くすれば弱くなるが材料は少なくて済むと言うイメージか。

 最低限の運用ならば魔晶石1個で100年は運用できるが、最大出力で運用すると数日で力を使い果たすということだった。



 強度を上げて網の目を荒くすることで消費を抑え、ゴブリン等の守衛でも対処出来る範囲のモンスターは素通しにする代わりに、トロール等の大型のモンスターは通さない、であるとか、弱いモンスターでも数が多い場合は目を細かく強度を弱めに設定して大型のモンスター出たときに強度を強くする、などなど地方によって状況に合わせて設定をしていくようだ。

 魔晶石がない場合は、魔石や術者を集め魔力を注ぐことでも運用出来るようだが、申し訳程度でモンスターの侵入を防げる程では無く、使う魔力でファイヤーボールでもぶっ放したほうが効率は良いらしい。

 王都や主要都市にある物だと、結界に攻撃機能を付加したり異なる設定で二重に張る等の芸当ができるそうだ。



「我が領で完全に起動したのは、私が産まれるよりも以前だと聞いている」



「ええ、私も先代様もまだ成人する前でございました」



 ヴァルターさんが遠い目をしているが、未成年の頃って前々回のスタンピードの時か?

 そうなるとこれ随分と骨董品なわけだけど、大丈夫なのだろうか?

 王都の奴の廉価版なんじゃなくて、旧式のお下がりとかなんだろうか?



「随分古い物に感じますが、問題は無いのですか?」



「完全起動こそしておりませんでしたが、整備は流石に定期的に行っておりましたので、ご覧の通りしっかりと起動しております」



 確かにホコリ1つ無く磨き上げられているが、そういう事を聞きたかったわけでは無い。

 まあ新しいのに交換となったら相当な金が必要だろうから、どのみち無理な話か。



「ふむ、納得がいっていないご様子ですな。 これに使われている技術的なご不安ですかな?」



「あ、そうです。 すみません」



「当然の疑問ですので、お気になさらずに。 こちらの魔道具は非常に古いダンジョンから産出された旧王国時代の技術で作られた魔道具なのでございます。 今日では失われた技術ですので研究や解析等は進められておりますが、成果は上がっていないようでございます」



 発掘品なのか、それは浪漫を感じるな。



「すでにご存知かもしれませんが、私は少し特殊な鑑定スキルが使えます。 近づいて鑑定してみても構いませんか?」



「構わぬぞ、王都などでは少しでもこの技術を解明しようと盛んに行われているようだからな」



「そうなのですね、ありがとうございます」



 許可が出たので、自分の背で隠すように解析ツールを起動した。





《下級の都市結界発生魔道具》

:旧王国時代に作られた都市防衛魔道具をベースに操作盤と血筋による認証機能をとりつけたもの。

 魔晶石を使用して運用する。

設定可能項目 【反撃】【範囲】【密度】【強度】【感知】



---------------------------------------

ニートリガーバギアーゲナーラートアー

結界最大攻撃力 126

結界最大防御力 4532

結界最大強度 3621

結界効果範囲 C

耐久 2489/3217

魔力量 99999/100000

最大使用魔晶石 1

品質 C

登録者 ジークフリード・ローデンヴァルト



各コードアドレス

・……

・…

---------------------------------------





 ほほう、これは複製を作るとか攻撃機能を持たすとか改造のしがいがあるな。

コードを打ち込む時間が欲しいところだが、流石に難しいか?

 コピペ無いなら、せめてキャプチャーが撮りたい。



「防御だけかとお思いましたか、攻撃機能も一応あるんですねコレ」



「ああ、実際に使ったことが無いので、どの程度かはわからないが、極わずかな攻撃力だと聞いている」



「見る限り見習いの冒険者が数打ちの剣で叩く程度というところですかね」



「なに? そこまで解ったのか!?」



「これは朗報ですな。それだけでもあれば、さほど強くないモンスターにであれば十分通用いたします」



「まあ、攻撃力を上げることも出来るけど……」



「今、なんと言った!?」



 あ、いかんつい口走ってしまった。



「聞き間違いでなければ、攻撃力を上げることが出来るとおっしゃいましたか」



「あ、いや、壊してしまうと大変ですので……」



「可能なんだな?」



「え、あ、はい」



 すみません肩掴んでガックンガックンしないでください。吐きそうです。



「えーと、あー、攻撃力に限りますが制限装置のような物があるようですので、それを調整してやれば多少上げられる可能性はあります」



 よし、とっさにしては、それっぽく誤魔化せたのではないだろうか?



「ヴァルター、私は試して見る価値があると思うが、どう思う?」



「制限装置がついているということは、それが無いと壊れる可能性があるからついているのだと愚考します」



 ヴァルターさんナイス! その設定を頂こう。



「ヴァルターさんと同意見です。 好奇心でもっと詳しく調べてみたくはありますが……」



「そうか、残念だが仕方あるまい。 もう少し調べたいと言うのであれば、調べてもらっても構わぬぞ、何か判明したら教えてくれ」



「ありがとうございます。 ではちょっと奥の方も見させて頂きます」



 これ幸いと、奥の死角部分に行って、急いでコードをチートツールに打ち込んでいく。

 これで結界装置を手に入れられると思うと、ワクワクが止まらない。

 大きいとは言えアイテムボックスに入りそうだし、使い道はいろいろあるだろう。

 調べた結果として最大防御力はトロールの攻撃にはギリギリ耐えられそうなくらいだということを伝えてお茶を濁し、さんざん礼を言われながら領主の館を後にした。

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