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68話 強すぎる武器の弊害

 木漏れ日が心地よい穏やかな森の昼下がり、天然のカーペットの上に座る俺の頬を緑の風が撫でる。


 はい、というわけで、正座させられて絶賛お説教中です。

 吹き飛んできた砂利なんかで非常に足が痛いです。


「一体なんなのよあれ!?」


「魔導銃?」


「なんで疑問系なのよ、あんな危ない武器がそこらで売ってたっていうの?」


「あ、いや、面白半分で改造をしてですね……」


 アリーセが大きなため息を吐く。


「どういう改造したら、トロールが跡形も無くなるような爆発が起こるのよ!?」


「えーと、もともと質のあまり良くない魔石を使う仕様だったのを、最高品質の魔石に交換して、全体的に精度を上げたんだ。 爆発したのはおそらく、圧縮された空気が一気に解放された事で急速に空気が膨張したせいだと思う。 推測だが2MPaメガパスカルくらいの圧力はあったのではないかと」


 正確に計測をしたわけではないが、トラック等の大型車両のタイヤの空気圧がこれの半分以下の圧力である。

 詳細は避けるが、この大型車両のタイヤの破裂事故で軽く人が死んでしまう程の威力がある。

 2MPaメガパスカルといえば蒸気機関車の内圧位の圧力になる。

 そんな空気の塊が0距離で爆発したら、その威力は推して知るべしである。


 昨日の火柱も高温のガスのような状態になっていて、目標に接触したと同時に燃え上がったのではないだろうか?


 魔導銃は何らかの不思議パワー、おそらく魔力だろうが、それでタンクのようなものを作り出し魔石の力を一時的封じ込めて飛ばしているのだと思われる。


 そうであると仮定すると、他の属性の場合に何が起こるのか推測出来る。

 水は圧力をかけても空気のようには縮まないので、消火栓の超強化版のようになると推測ができ、土は下手をすると鉱物のような硬い物質が大量に飛ぶ可能性が高い。

 炎や空気と比べて水や鉱物は質量も高いので、同じ程度の質量分しか物質が作り出されないならば意外としょぼい可能性はある。 しかし質量が高いという事はそれを一方向に飛ばした場合の反動も馬鹿にならないかもしれないので、今までの経験上注意が必要そうだ。


「この状況で私を無視して考察を始めるとか、なかなかいい度胸してるわね」


 アリーセが笑顔で思考の海に沈んだ俺を引き上げる。

 あ、目が笑ってないしコメカミがピクピクしている。


「申し訳ありませんでしたー!」


 俺の完璧な土下座が決まる。


「討伐部位も素材も採れないし、トロールが居たってどうやって証明したら良いのよ……」


「え、肉片を集めるとか?」


「何の肉片か分かればね」


 ギルドなら鑑定持ちくらい居るだろう。

 そういうわけで鑑定をしてみよう。



《土にまみれた肉の破片》

:なんの肉かは不明 食用には適さない。



 駄目だった。

 成分とかからわかったりしないのか、それとも鑑定のレベルが足りないのか……。


「な、なにか残ってないか探そうぜ?」


 アリーセは再び大きなため息をついて、しょうがないわねと、なにか残っていないか探し始めた。


 ここでサボっていると後が怖いので、俺も一緒になって何かトロールと分かる物が無いか探すことにした。


「しかし、魔法に弱いとはいえ、発動してしまえば物理現象になっているはずなのに、あれだけデカイトロールがこんなにもアッサリと跡形も無くなってしまうのも変だな」


 頭とか骨とか残ってても良さそうなものだがここまで何も無いというのもおかしい。

 爆発の規模が俺の推測よりも遥かに大きかったと考えるのが無難かもしれないが、そうであったならば離れていたとはいえ俺やアリーセが無事というのもおかしい。

 まあ、運が良かっただけかもしれないが、アリーセに何か被害があったかもしれない可能性に気が付き少し背筋が寒くなった。

 アリーセが怒るのも無理はない。

 アリーセのHPも減らないようにしたままではあるが……。

 次からはもっと慎重にやらないと駄目だな。


「イオリ、ちょっとこれ鑑定してみてくれるー?」


 アリーセが何か見つけたようだ。


「何を見つけたんだ?」


「これ、木にめり込んでたからトロールの魔石だと思う」


「わかった鑑定してみる」



《高品質な大きな魔石》

:闇属性の魔石、純度が高く使いみちが多い。


---------------------------------------

闇属性の魔石 天然

属性 闇

品質 A


各種コード

………

---------------------------------------



「何から採れた魔石かは分からなかったけど、かなり品質の良い闇属性魔石みたいだ」


「この辺じゃあ、こんな魔石の採れるモンスターなんか居ないから、これで大丈夫そうね」


 残ってて良かったーと、アリーセが胸を撫で下ろした。


「それじゃあ、どうする? 一旦街に戻るか?」


「イオリが居れば、大抵のモンスターが怖く無いから調査を続けても良いかとも思ったんだけど…… さっきの爆発を考えるとこっちへの被害がありそうなのよね」


「すみませんっしたーっ!」


 アリーセに頭を下げる。

 もちろん90度のパーフェクト謝罪であることは言うまでもない。


 一人の時は良いけど、もうちょっと一般向けの武器が必要かもしれない。

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