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237話 大艦巨砲主義といえば

 マルがせっせとスコップで魔晶石を炉に焚べ、魔力炉が唸りをあげる。

 溢れた魔力で魔力炉自体が発光し、膨大な魔力が発生する。

 その膨大な謎エネルギーの魔力が俺とアリーセの持つ魔導銃によって無属性魔法的な指向性を持つ謎の破壊エネルギーへと変換されて放たれる。

 放たれたエネルギーは、強く発光しながらグネグネと曲がった軌跡を描く。

 間違いなく直進している筈であるが、空気が急速膨張したせいなのか、空間自体が歪んでしまったのかグネグネと曲っている様に見えるようだ。

 それからほんの少し遅れてパールの光線の様なブレスが並ぶ。

 遅れて放たれたパールのブレスの方が若干速度が早いようで、ほぼ同時に邪神の小指に当たった。

 一箇所に集中して命中したエネルギーは、邪神の小指を押し上げると、いとも簡単に指先一部を吹き飛ばした。

 位置的に爪を引っ剥がした様に見え、小指も変な方に曲ったまま戻らず、手全体が大きく後退しぷるぷると震えて、まるで必死に痛みをこらえている様にも見えた。


「効果有り! 集中しなくても行けそうだ。 次弾アリーセ人差し指、パール中指をそれぞれ狙え! 俺は薬指をやる! へし折れるまで撃ち続けろ!」


「キシャーッ!」


 アリーセが奇声で返事をし、銃身が真っ赤に焼けている魔導銃を投げ捨てて、新しい魔導銃持ち替えた。

 俺もそれに習い、魔導バズーカ交換し、再びカウントダウンをする。


「3、2、1、発射!」


 ぷるぷると痛みこらえている様な邪神の残りの指先に光線がぶち当たる。

 イヤイヤをするように邪神の手が光線から逃れようと動くが、的がでかいお陰で追うのも楽だ。

 執拗に指先を追い続け、親指以外の指の爪を剥がし、歪な形にへし折っていく。

 サッサと諦めて何処かに行けば良いのに、変に耐えるから、邪神の手が物凄く痛々しい見た目なった。

 その痛々しい手が痛みに震えているのかと思ったら、なにやら黒い煙のようなものが滲み出してきた。


「なんだ流血でもしたか?」


「あれは、モンスターの群れだの、羽の生えたゴブリンのような奴が大量に出てきたようだの」


 つまり煙に見えるほど大量のモンスターを召喚でもしたようだ。

 邪神も黙ってサンドバッグになっているわけでは無いようだな。


「まだ、諦めないみたいだな。 とはいえまだまだ遠いな、ココに来るまでに時間がある。 よしある程度モンスターは無視して手の中央を狙え! のこのこ手だけとはいえ姿晒した事後悔させてやる!」


「コレだけやっておいて、指の先を曲げるのがやっとだというのにずいぶんと強気だの?」


 パールが、呆れた顔で言ってくる。


「効果がある事が解っただけでも上々だ。 後はコイツの出力を上げるだけで良いって事だからな! 勿体つけてチンタラ襲って来てくれているうちに手くらい貰ってやるさ」


「別に勿体つけてゆっくりなわけではないはずだぞ?」


 世界には神々の加護が皮膜のようにあって、突き破るのに時間がかかるとかなんとかパールが説明を始めたが、言葉を遮って攻撃を促す。


「この際理由はどうでもいい、現状ゆっくり来るってわかってるなら、一方的に攻撃が出来るってもんだ、ほらアリーセも早くしろって睨んでいるだろ? ガンガン行くぞ」 


「まったく、無茶をさせるご主人様だの……。 まあ、アレが降りてきたら、我々どころか、この辺一帯の見渡す限りの領域も無事では済まぬからの、せいぜい抗うとするかの」


 そうか、ここでなんとか撃退しないと、いろいろとヤバイんだな。


「じゃあダメ押しするか。 全員攻撃を維持しろ! 特攻部隊を投入する!」


 もはや俺が構えていなくても問題なさそうなので魔導バズーカを固定砲台にしてから、偵察に使ったドローン型のミニゴーレムに積めるだけの魔石爆弾とホーリーメタルの粉末を搭載した特攻仕様のものを用意した。

 飛行状態にして突撃命令をした瞬間にアイテムボックス収納をする。

 射撃の邪魔にならないように少し移動して、特攻仕様のミニゴーレムを一気に空中へと出し邪神の手に突撃させる。

 邪神の手の大きさで遠近感が狂って見えるせいで、思ったよりも到達に時間がかかったが、到達と同時に邪神の手や煙のように見えるモンスターの群れのアチコチで爆発が起き、極彩色の空間とモンスターの群れが削れていく。


「まだ諦めないか……」


 一方的な攻撃でモンスターの群れは個体が識別出来るよりも前に随分と数を減らし、邪神の手の進行はずいぶん遅くなった。 手の形も随分歪になったが、まだ諦めていないようで、ジリジリと近づいて来ているようだ。

 もう一押し欲しいな。


「パール、魔法を使う時に魔晶石の魔力を使うのって難しいのか?」


「触れた状態で魔力操作するだけだの。 自分の魔力の流れの途中に魔晶石を置くようなイメージだの。 なんだ、まだ悪巧みがあるのか?」


 ブレスの合間に律儀に答えてくれるパールだが、悪巧み余計だ。


「なに、せっかく魔法の練習をしたんだから、やらないと損かと思ってな。 マル! ゴーレムスーツを着て、魔晶石の供給速度を上げるんだ! 疲れてきたら早めにポーションで回復するんだぞ」


「も、もきゅ!(ら、らじゃなの!)」


 絶え間なく魔晶石を魔力炉に焚べていたマルを、マル用の操作型ゴーレムに乗せ、マル用の小さいスコップを雪かきサイズのでかいスコップと交換する。

 アリーセとパールには引き続き攻撃を続行してもらい、その間に魔法のイメージを固める。


「何も全部魔法にするとか、全部魔道具にするとかしなくても良いよな?」


 ワトスンの様な精密な造型は出来ないが単純な形ならば即座に作れる。

 作れない部分を魔法で補えば、物理法則喧嘩を売るような攻撃が可能なはずだ。

 ホーリーメタルと魔晶石で榴弾を作って、砲身と推進力を魔法で生成してやれば非常識なサイズでもぶっ放せるのではないか?

 ぶっつけ本番だが、イメージは固まった。

 まずは巨大なホーリーメタル製の弾頭を作り、詰め込めるだけ魔晶石を詰め込む。

 爆破自体は魔法で行うつもりだ。 この場から魔法をぶっ放すよりも減衰無く破壊力をお届けしようと思う。


「砲身用意、鋭角65度、砲身長32.48m 砲口径800mm、初速820m/s、5軸10輪台車x8、軌道レール4本240m、弾頭セット!」


 魔法で砲身を用意しアイテムボックスからその砲身内に800mmの弾頭をセットする。


「おまけだホーリークリスタルも持ってけ! 弾頭後方魔晶石x20ベクトルエクスプロージョン……行くぜみんな大好き800mm列車砲! シュベーレ・グスタフ!」

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