223話 神の使徒
俺を神の使徒に、とかなんの冗談だろうか?
天界ギャグ的ななにかで、神とか使徒の間では凄くウケるネタなのかもしれないな。
「現実逃避は終わったかの?」
パールが覗き込むような姿勢で、ニヤニヤとしながら俺を見ている。
「あ、いや、マジで意味がわからんのだが……」
「気負う必要は無いぞ、ダークの奴が居ない間の繋ぎだ。 使徒が直々に行う仕事など数百年に1度あるかどうかといったところだしの、人の子なれば何かある前に寿命が先にくるであろう」
「そういうの俺の世界じゃフラグっていうんだぞ!?」
つばを飛ばしながらパールに抗議をする。
リーラ様に会っただけで大騒ぎになったのに、使徒なんかになったらどうなるのかわかったもんじゃない。
それに、どうせなった瞬間に事件が起こったり、なんか酷い目にあったりする未来しか見えないぞ。
「拒否感があるのも無理は無い、何しろイオリ自身は何らかの邪神影響を受けておるわけだからの」
いや、そういうわけじゃ無いと思うんだけども……。
ただの経験上というか、なんというか、パターン的に碌な事がなさそうだと思っただけだ。
「神の使徒となってしまえば、邪神に捕まったとしても眷族化されることは無くなるし、自身で他の者に加護を与える事も出来るようになるぞ」
それ普通に邪神にぬっ殺されるだけなのでは?
それにチートツールが邪神由来なら、使えなくなってしまうんじゃなかろうか?
「邪神由来のスキルが使えなくなると心配しておるのなら安心せよ。 人の子の改宗などよくある事だからの。 由来がどうあれ多少属性が変わる事があっても、スキル自体が使えなくなるということは無い」
「それは、どういう理屈なんだ?」
「よろしい、ではスキルについてその成り立ちから説明をしてやろうかの。 良いかこの世界のすべての生命が宿すスキルというのは……」
「おーまいぶっだ……」
日が暮れ夜が来て、さらに夜が明けてもパールのスキルについての説明は続いた。
まとめてしまえば、チートツールが特殊なだけで、神でもスキルを作って与える事は出来ても、加護などによって使えるようになる特殊なスキルを除けば奪い去ったり使えなくするというのは難しいという話だが、脱線が多く説明も回りくどかった。
要は微生物の遺伝子を器具なしで殺さずに書き換えろと言われるのと同じような感覚らしい。
そこまでしてスキルを剥奪したり改変する必要があるなら、始末してしまった方が早いとか物騒な事も言っていた。
「俺に利用価値があるから邪神に狙われてるんだろ? 利用価値が無くなったら、やっぱりぬっ殺されるんじゃねーの?」
「その可能性は否定せぬが、その場合でも神々とて何もしないわけではないからの。 使徒同士が相対するだけで邪神が直々に手を下す事は無い。 であれば今と対して変わらぬであろう?」
うーん、変わらんというのならそれでも良いのかな?
パールの長話から来る眠気で、あまり頭が働かないな……。
ぐう……。
「寝るでない。 どうしても嫌なら無理にとは言わぬ。 代替え案としては、イオリのスキルで自身の種族を変え、誤認させてやり過ごすとかかの。 そうさのぅ、スライムあたりにでもなって、ついでに性別も変えてしまえば良いのではないかの?」
「使徒でお願いします!」
ステータス上げただけで中から身体が作り変えられる苦痛がとんでもないのに、種族なんか変えたらどんな目にあうかわかったもんじゃない。
性別を変えるだけでも確実にマイサンあたり喪失する苦痛や骨格が変わる痛みが、麻酔無し手術的に襲ってくるに決まっている。
考えただけで背筋が凍り、マイサンがヒュンとする。
「よろしい、我、リーラ様の使徒として祝福を賜わる。 我、リーラ様を代行し汝を新たな使徒として承認する。 多様性を認め、相反する物事は、また一つの真理、浮世は流れる水が如く……」
パールが俺の顔面を鷲づかみにして、祈りを捧げるような事を始めた。
魔力が乗っているのか、パールの言葉から息苦しい程のプレッシャーを感じる。
「ちょ、ま! まだ心の準備が!」
慌てて、パールの手から逃れようとするが、いくらジタバタしても俺の顔面をガッチリ捉えた手は、締め付けて居るわけでもないのに外すどころか微動だにしない。
やがて足元から光と風が俺とパールを中心に渦巻き、パール手を通して暖かい何かが頭に入って来る感覚を覚えた。
やがてその暖かさは全身に巡り、まるで疲れ切った後に入る温泉のような心地良さに抵抗することを辞めて脱力する。
チートツールでのステータス変更もこんな感じだったら良かったのに。
「ぶぁー……。 これはなかなか良いな、眠くなって来るわー……って、なんかだんだん熱くなってきたぞ?」
「ふむ、邪神由来の何かが抵抗になっているようだの。 まあ安心せい、この程度の抵抗ならば我の魔力で容易に押し通せる」
「いや待て、電気なんかだと抵抗がある所って熱が発生したりするんだが、この熱いのもそれが原因なら一旦止めて……」
「祝福を途中で辞めると、廃人になるぞ。 何、生命に別状は無い、しばしの辛抱ゆえ我慢せよ」
「廃人!? 世間一般ではそう言うの呪いって言うんだぞ! って、熱っつ、マジ熱っつ! 生命に別状あるだろこれ!」
熱すぎるお茶をぬるいと思って一気に飲んでしまった時のように、体の中がカッと熱くなり、続けてさらに熱くて辛い物でも飲み込んだかのような熱が断続的に襲ってくる。
というか、このまま続くと命の危険しか感じない。
「やめて止めて、やめて止めて、やめ止めやめぇぇぇっ!」
「大人しくせぬか、あとひと押しだ」
「ひと押しって、絶対トドメじゃないですかヤダー!」
掴まれている頭から焼けた鉄の棒を突っ込まれたような感覚が走り、尻から何やら淀みのような物が押し出されるような気がした。
意識を手放してしまいたいが、押し出される感覚がある場所が場所だけに、思わず漏れないように抵抗をしてしまう。
「む、なんぞ引っかかっておるの? ついでだ、我の加護も追加して一気に押し出してやろうかのふんぬ!」
「ついでで足さないでっ!? ぎゃあああああっなんかでるうぅぅっ!」
気合を入れたパールの手が神々しく輝き、その光が俺の中に押し込まれると、ブワッっと俺の下半身全てから黒い煙のような物が吹き出した。
よ、良かった、人としての尊厳を失いそうなものは出なかった……ぞ……。
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名前:イオリ・コスイ
種族:たぶんヒューマン
年齢:18歳
ジョブ:ノービス
レベル:120
HP:10000
MP:10000
スタミナ:20000
筋力:5000
敏捷:5000
知力:5000
器用:5000
体力:5000
魔力:5000
頑健:5000
精神:5000
物理攻撃力:5000
魔法攻撃力:5000
物理防御力:5000
魔法防御力:5000
称号:異世界人、露出狂、偽記憶喪失者、ドラゴンバスター、ウンチク魔人、簒奪者、魔道具使い、都市の守護者、鑑定名人、ジャイアントキリング、お大臣、歩く錬金術師ギルド、存在が都市伝説、追込みマスター、名付け下手、ドラゴンマスター、嫌がらせの達人、目の上のたんこぶ、5歳児並、神を憂鬱にさせし者、不能者、迂闊者、神の使徒、古龍の加護(極)
スキル
パッシブ:言語翻訳
:アイテムボックス(x9999)
:装備制限解除クリアボーナス
:チートツール LV MAX
:解析ツール LV MAX
:全耐性 LV MAX
:魔法障壁 LV MAX
:物理障壁 LV MAX
:HP自動回復 LV MAX
:MP自動回復 LV MAX
アクティブ:身体強化 LV MAX
身体制御 LV MAX
身体変化 LV MAX
剣術 LV MAX
→スマッシュ LV MAX
カウンター LV MAX
ダブルアタック LV MAX
カウンタースマッシュ LV MAX
ウェポンガード LV MAX
ソニックスラッシュ LV MAX
:体術 LV MAX
→アクロバット LV MAX
登攀 LV MAX
受け身 LV MAX
忍び足 LV MAX
潜伏 LV MAX
投擲 LV MAX
:射撃 LV MAX
集中 LV MAX
命中 LV MAX
装填 LV MAX
クイックショット LV MAX
:格闘 LV MAX
→コンビネーションアタック LV MAX
バックアタック LV MAX
サイレントアタック LV MAX
:魔法 LV MAX
→龍言語魔法LV MAX
究極魔法 LV MAX
上級魔法 LV MAX
中級魔法 LV MAX
初級魔法 LV MAX
錬金術 LV MAX
:知覚 LV MAX
→暗視 LV MAX
聞き耳 LV MAX
危険感知 LV MAX
オートマッピング LV MAX
:クラフト LV MAX
→ポーション作成 LV MAX
武具メンテナンス LV MAX
鑑定 LV MAX
魔道具作成 LV MAX
料理 LV MAX
罠設置/解除 LV MAX
解錠 LV MAX
所持金:999963520GP (+直接所持3GP)
魔晶石:999765個
ファミリア:マルモア(クレバーファーラット)
:パール(エンシェントパールドラゴン)
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