21話 解析ツールがおかしい
馴染みの無い解析ツールをマジマジと観察する。チートツールのシンプルすぎるインターフェースとは違い、シマシマの走査線が走っていたり、ほんのり発光していたりSF映画等で見るようなデザインだ。
画面に触れると、3つの小さなウインドウが浮かび上がり、中央のウインドウには、中央に十字が切られており、触れてから動かすと上下左右に動かせた。
ウインドウを動かすと、右のウインドウに目まぐるしく数字が流れて行くのが確認できた。
左のウインドウを見てると、こちらには文字が次々と流れていた。
中央に最初に出ていた画面に再び視線を戻す。
【対象を確定しますか?】
と、表示が少し変わっていた。
どう確定するのか分からず、ウインドウをダブルタップしてみたり、確定と呟いて見たりしたが何も起こらなかった。
浮かんでいるウインドウをそれぞれ見回すと、十字のあるウインドウの下にエンターキーの様なマークがあった。
触れている手を動かすと、十字の着いたウインドウも動いてしまうので、反対の手でエンターキーらしきものに触れる。
すると中央ウインドウの表示が切り替わり、この部屋の壁が映し出されており、そのすぐ下にはこう書かれてた。
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オーク材の壁
強度 426
耐久 257/375
品質 D
各コードアドレス
・……
・…
・
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「なんだこの、嘘くさいツールは?」
思わず口に出てしまった。どうやら十字の書かれているウインドウがターゲットスコープのようになっていて、中央に合わせた物の状態とチートコードのアドレスが表示される仕組みのようだ。
いや、確かに非常に便利ではあるのだが、操作感が既存のアプリケーションとは違った動きやデザインな事に加えて、解析ツールという名前の響きだけで想像したら、こんな感じのツールになるんじゃないかと推測が出来る。
要はゲームや映画の中で出てくる専門知識の無い人が想像しやすい、ありそうだけど存在しない空想上のアプリケーションだ。
チートツールがゲームで使っていたそのままだったのに対し、解析ツールの方はSFチックに改変されている。
なぜ、この様な違いがあるのかは不明だが、強いて言えばチートツールはこの世界に来るときに使用していて、解析ツールは使用していなかったと言うくらいか。
デスゲームの詰めの甘さや、このおかしな解析ツールといい、パラメータをいじっても体型が変わらない事といい、何らかの人為的、あるいは人では無いのかも知れないが、この知識も無いのに、とりあえずやってみました感は、俺がこの世界に来た何かのヒントになるかもしれない。
さしあたり、もし何かしらの意図を持った存在が俺をこの世界に送ったか呼んだとするなら、さして有能な奴では無いと言う事位は分かる。
ゲームならば、チート等のクラッキング対策は必須であるし、最近は学生作品だってもっとマシな演出やデザインをする。
解析ツールもSFっぽくはあるが走査線のエフェクトなど今時はパチンコの演出かスチームパンク系のオールドフューチャーな作品くらいでしか使わない。
何故なら昨今の液晶パネルでは走査線は出ないのである。走査線が出るのはプラズマテレビ以前のブラウン管のテレビで出る物だからだ。
「とりあえず俺がこの世界に来たのが人為的な物なら、仕掛けたのは無能な年寄りってとこか?」
とりあえず、口に出してディスっておく。
胡散臭いが使わない手は無いので、解析ツールでアイテムボックスから錆びた剣を取り出した剣を見てみる。
当初はアイテム変化で、別のアイテムに変更をしようと思っていたが、調べたアイテムその物のパラメータがわかり、そのコードがチートツールに適応して数値の変更が出来るならば試しておきたい。
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腐食したショートソード
攻撃力 5
強度 21
耐久 12/360
品質 F
各コードアドレス
・……
・…
・
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そして、出てきたコードアドレスをチートツールの方でコードを作成する。
「って、これコピペ出来ないのかよ! やたら長いのにアドレスが連続していないし、それを手打ちしないといけないとか不便だな! 連携機能が無いにしてもコピペ位させろよな!」
文句を言いながら、コードを打ち込んでいく。打ち込んだコードをベースとして一旦保存し、チートツールの機能でコピーをして追加する。
「耐久を回復させて、攻撃力を上げてみるか」
剣を床に置いて耐久100%のコードを実行すると、みるみる剣の錆が消え、見た目はやけに悪いが、新品の様な傷や刃こぼれの無いショートソードにはなった。
これは上手く行ったようだ。
手にとって見てみると、品質がFのままだからかカタカタいって立て付けが悪いし刀身も歪んでいる。
チートツールの結果としては問題が無かったので、続けて攻撃力を上げてみる。面倒くさいが一気に上げず少しずつ攻撃力を上げていくと剣にも変化が見られた。
徐々に長さや刃の形状が変わってきているのである。
「なるほど、確かに同じ形状で攻撃力が上がるってのは不自然か……」
剣と言うのは、刃の鋭さだけでなく、重さと長さによって振った際の遠心力で威力が決まる。同じ力で振るならば重く長い方が強いという訳だ。
更に少しずつ攻撃力を上げていくと、先端が幅広になり剣の形ではなくなって来たので一旦そこで止めておく。
多分だが耐久や強度が変わらないのでハンマーや斧のような重量バランスに変わって来たのだろう。
扱いやすさなんてパラメータは無いようだからな。
続いて耐久の数値の最大を徐々に上げていく。
予想どおり、剣がだんだんと太く厚くなって行く、それと同時に重量も増えているようだ。
数値を変更するたびに変形していくので、コレはコレで面白いが、何も考えずにおかしな桁の数値にしてしまうと、とんでもない大きさになってしまいそうだ。
「あ、そうだ鑑定があるんだから見ながらやってみるか」
《ブロードソード》
:威力を重視した幅広の片手剣
せっかくなので、鑑定のスキルレベルも2に上げて剣を鑑定してみる。
《質の悪いブロードソード》
:軟鉄製の威力を重視した幅広の片手剣、品質が悪く扱いにくい。
鑑定では攻撃力等の数値はわからないようだが、品質と材質が表示されるようになった。
ショートソードからブロードソードに変わっているのは、大きさや形が変わったせいだろう。
ただ、すこし目が痛い気がするので、これ以上鑑定のレベルを上げるのはしばらくやめておこう……。
そうして、いろいろと検証しつついじくりまわして最終的に実用性がありそうな剣に落ち着いた。
鑑定結果と解析結果はこうなった。
《とても品質の良いロングソード》
:ミスリルと鋼の合金製のバランスを重視した大きめの片手剣、品質がよく扱いやすい
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ミスリル合金のロングソード
攻撃力 650
強度 500
耐久 1200/1200
品質 A
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