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209話 お目付け役です

 泉に意識が無い状態で浮かんでいたアリーセを岸に引き上げ、生きていることを確認。 アイテムボックスからポーションを取り出そうとしたところで、以前にシェイプシフターがアリーセに化け居た事を思い出し、まず解析ツールを使用する事にした。


------------------------------------------------------------

名前:アリーセ・ベルガー

性別:女性

種族:鴟梟族

年齢:16歳

身長:155cm

体重:48kg

B:85

W:57

H:88


ジョブ:アルティメットレンジャー(一酸化炭素中毒)

レベル:56


HP:1046

MP:432

スタミナ:1627


筋力:524

敏捷:687

知力:289

器用:446

体力:674

魔力:318

頑健:415

精神:206


物理攻撃力:816

魔法攻撃力:89

物理防御力:389

魔法防御力:112


称号:英雄の娘 フェルスホルストの英雄 小市民 イオリの保護者 かんせつマスター 古竜の加護(大) 調和神の加護(大) 神の使徒見習い


スキル

 パッシブ:警戒 LV5

     :危険感知 LV5

     :夜目 LV5

     :気配察知 LV8

     :アイテムボックス(x7)

     :空間把握 LV5

     :魔力感知 LV5

     :神域探知 LV5

 アクティブ:弓術 LV9

      :ファストドロウ LV8

      :ファストショット LV8

      :マルチショット LV6

      :エイムショット LV10

      :チャージショット LV5

      :ロングショット LV9

      :アクロバット LV7

      :登攀 LV5

      :忍び足 LV8

      :追跡 LVMAX

      :捜索 LVMAX

      :身体強化 LV9

      :身体制御 LV7

      :集中 LV2

      :徒手格闘 LV8

      :立体戦闘 LV7

       


各種コード〜

………

……

------------------------------------------------------------




 おうふ、コレ本物だろ……。 またジョブが変わってるし、いつの間にかレベルも上がってスキルも称号も増えているが、少なくともシェイプシフターではない。

 称号の「かんせつ」が平仮名なのは「間接」と「関節」をかけているのだろうかワロエナイ。

 放置するのも後が怖いので、サクッとポーションを使う。

 アリーセのHPも減らないようにしているが、一酸化炭素中毒はヤバそうだ、ポーションで治ると良いのだが……。


「うーん、パラレルワールドのアリーセ的なだったりするのだろうか?」


 ポーションは使ったがまだ意識の戻らないアリーセ(?)を見ながら腕を組んで考えていると、何処からか黒電話のベルが聞こえてきた。


「もきゅ!(もしもしあったの、はいご主人!)」


 近くに黒電話が埋まってたようで、ズボっとマルが引き抜いて持ってきてくれた。


「はい、こちら……」


「普通に話さんなら即座に連絡を断って、以後放置するからの!」


「すみません、何でございましょうかパールさん」


 パールは少しカルシウムが足りないのだろう、もしくは、便秘とかホルモンのバランスが崩れてお肌の調子が悪いとか……。


「……この連絡では、使い魔の繋がりを辿って魔法で強引に繋げている。 その為に念話に近い性質も持っておってな、こちらに向けた思考が「聞こえる」ことがあるのだがのぅ」


 え、ということは……。


「そうだ、今の貴様の心の声がまる聞こえというわけだの」


 受話器の向こうから聞こえてくる、低くなったパールの声が恐ろしく感じる。

 ご主人様から貴様に呼び方が変わってるし……。

 そーいえば確かに真っ黒空間のときの通話より、声がはっきりとクリアに聞こえるきがする。


「貴様の為に、ドラゴンの身体で針の穴に糸を通すような作業をしておるというのに、実に楽しそうだの! ホルモンバランスの崩れて鱗の艶が悪くなった我とは大違いだの!」


「いや、マジですまんかった」


 異世界に来てまで受話器を持ってペコペコと頭を下げるなんてことをするとは思わなかったが、どうやら頑張ってくれているらしいパールに誠心誠意謝る。


「もう良い、今更時間と魔力の無駄だから、我が大人気なかったと思うことにする。 それでな、どうせ何かやらかすであろうと思っての、本人の希望もあってお目付け役をそちらに転移させたからの」


「アリーセなら、いま俺の横で寝てるよ」


 意識不明状態でな。


「意識不明? 貴様自身が何かしておるようであったし、リーラ様と我からも加護も与えておいたから、滅多な事ではやられん筈であるが何があった?」


「しれっと心を読むなよ。 たぶん火事の煙にやられたのではないかと……」


「は? ……いや、言わんでも良い、何をしたか伝わって来たわ、はぁー」


 心底頭が痛いといった気持ちと大きなため息が受話器越しに聞こえてきた。


「とりあえずアリーセが無事ならそれで良い。 後でしっかり仕置を受けよ。 遅かったが、お目付け役を送って正解だったの、まったく」


「そんなに簡単にアリーセをこっちに送れるなら、俺を呼び戻せたんじゃないのか?」


「この世界の生物とイオリとかいう異質な謎の物体を扱うのと、どちらが簡単だと思うかの?  それに誰かさんが余計な事をしたせいで、その為の術式が壊れてしまっての。 ん、その誰かさんに心当たりはないかのー?」


「サーセンっしったあっ、お手数をお掛けします!」


 受話器を持って90度のパーフェクトな礼をする。


「アリーセとマルを追跡して場所はある程度掴んでおるが、そこは我らの世界とは位相の異なる世界のようだの」


 異世界から更に異世界に来てしまったというわけか。


「だいたい合っておるが、貴様居った世界ほど遠くはないぞ。 こちらの世界と同じ神々が管理する世界の一つだからの」


「へー」


「どうでも良い事は幾らでも考えるクセに、即座に考えるの放棄するでない! 一気に呼び戻すには問題があるのでな、こちらに呼び戻すのに幾つかの異なる世界を経由する必要があるという話だ」


「ステータスが問題なら、下げる事も出来んこともないぞ?」


「今となってはソレは関係がない。 貴様の身体を構築している物が邪神由来というのが問題での。 どうやら向こうも貴様を探しておるようなのでな、邪魔されないようにせねばならん」


 おおう、あのサイケデリック空間もやっぱりそれ関係だったのだろうか?


「何か因果関係があるのか、貴様の好きなようにさせては、向こうの思う壺になりそうだからの、それ故にお目付け役を側におく必要があったのだ。 マルでは抑止力が足らぬからの」


「俺の意志は俺だけのものだぞ!」


「たぶん、ってその後に言うのであろう? 欲望を制限されているとは言え、思考が誘導されたり、考え方を植え付けられたということは無かったとリーラ様から聞いておる。 もともと思考がそうであるから邪神に選ばれたのであろうな」


 そいつは難儀だな。

 そんなのに好かれたくはなかった……。


「それで、俺は何もしないよにおとなしくしてれば良いのか?」


「いや、じっと同じ場所に居るのは危険だの。 それに各世界を跨ぐのに都合の良い場所があるので、そこに向かって貰う必要があるのだ。 場所はアリーセがわかるはずだ」


 つまりゲームでありがちなワープポイントを探すクエストってやつだな。


「それじゃあ、拠点作って留まってるってわけにはいかんのか。 ここでも魔晶石は使わん方が良いのか?」


「こちらに戻ってくる事に影響は無いようにしておくから何をやっても構わぬがの、抑えすぎて邪神に捕まっては本末転倒になるゆえアリーセやマルを護る目的で自重する必要はないの。 ただ、そこも神々が管理する世界であることは変わらぬからの、無意味に調和を乱す破壊活動は貴様が楽しいということと、邪神を喜ばす事以外は良い事はなにもないと心得よ。 まあ、その為のお目付け役だ、次の連絡までに五体満足で居れるとよいな」


 俺が何かしてアリーセに制裁を食らうことが決定事項みたいになってないか!?

 幾ら俺でも結果がわかってて爆破とか破壊とか粉砕とかはしないぞ。 海外番組じゃあるまいし……。


「それで、そっちは大丈夫だったのか? 邪神の使徒とかいっぱいいたろ?」


「こっちであったことはアリーセにでも聞け、そろそろ安定させるのが厳しくなってきよった」


「わかった、そうする」


「では、アリーセの言う事を良く聞いて、良い子にしておるんだぞ?」


 おいおい俺は子供かよ……。

 まるで保育園に子供を預ける親が言うようなセリフだぞ。


「子供の方がまだ言う事を聞くから子供だったまだ良かったの。 大きなお友達とやらは厄介この上ないと思い知ったわ。 こちらで何か進展があったらまた連絡をする。 ではの」


 俺がパールに反論しようとしたら、電話を切られてしまった。

 目的地があるなら拠点を作らなくても良かったわけだから、もっと早く言ってくれれば、この惨事も無かっただろうに、とか思わんでもない。


「もきゅ(ご主人ここに着いて間もなく、いっぱい木を焼払ったの)」


「ソーダネ、ソーダッタネ」


 とりあえずアリーセをこのままにも出来ないから、他の浮島にでも移動しよう。


「もきゅ(この浮島は犠牲になったのだー)」


 いや、ちょっとした手違いだから、火を使うつもりなんか無かったから。

 きっと俺が気が付かないように邪神が俺になにかしてきたんだ、そうに違いない!

 おのれ邪神め、なんてことしやがるんだ!


「もきゅ(お守りの腕輪あるから、ご主人はなにもされてないから大丈夫ー)」


「ところでマル。 さっきから、なんで心を読んでるんだ?」


「もきゅ?(普通に声に出てたよ?)」


 どうやら、つい気持ちが口から漏れていたようだ。


「邪神?」


 アリーセが起き上がってこちらを見ていた。

 つい今しがた気がついたようだ。


「あ、アリーセ、気がついたのか! ……あ!

あの、何処から聞いてました?」


「え、誰?」


 む、俺がわからないとか、まさか何かのショックで記憶が!?


「……もきゅ(……ご主人、兜取らないと駄目なの)」


 あ、ああそうか、フル装備のままだったな。

 フルフェイスだし、声もこもって聞こえているから、誰だかわからなかっただけか。


「俺だよ俺俺! 久しぶりだな!」


「もきゅ……(ご主人それじゃ詐欺みたいなの……)」

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