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202話 ステータスを上げてしまおう

『そんな怪しげなところには連絡しておらぬぞ。 なんじゃ、急に存在が消えたから心配してなんとか連絡を取ってみたら、随分と元気そうだの。 ご主人様よ』


「はい、質問の内容は、如何に元気に過ごすか? ですね!? そーですねぇ、やっぱりストレスを溜めない事が一番で……」


『我は、今ご主人様のお陰でストレスがこの上ない程溜まりそうであるがの! 切るぞ!?』


「すみません、ごめんなさい、切らないでください」


「もきゅ」


 初っ端の軽いジョークじゃないか……。

 とりあえず電話のヌシはパールだったようだ。 思ったより早かったな。

 一応成りすましを警戒して、魔道具は起動したままにしておく。


『まあよい……。で、今どこに居るのだ?』


「わからん! 異相結界とやらに閉じ込められている状態だ。 そっちで特定出来たから連絡してきたんじゃないのか?」


『ほう異相結界か、こちらは使い魔の繋がりを利用して強引に連絡を取っているだけで、場所までは特定が出来ておらんのだ。 そもそも異相結界というものは……』


 電話口でパールの異相結界について、脱線を多分に交えながら延々と説明を受けた。

 こっちが相談される側のハズだったのに……。


『……であるが故、対象を空間座標上の起点[0、0、0]として定義して、これに異相の空間座標を加算……』


「すみません! 耳が蒸れて来たので3行で説明してください!」


 このまま聞いていると、1日コースで中耳炎にでもかかってしまいそうだ。

 マルなんか、出しっぱなしコタツの布団部分をフミフミして凹みを作り、そこにハマって寝る準備をしている。


『なんじゃ話の腰を折りよってからに……。 そうだの、1時間もあればご主人様とマルの二つの繋がりから我との相対関係から特定が出来るであろう。 しかし、問題があっての、どうやらそちらの時間の流れが異なっておるようでな、こちらでの数分がそちらの1日くらいになっておるようなのだ』


 それなんて、精神と時の部屋?

 拠点作っておいて良かった。


「つまり、その一時間ちょっとの時間で、こっちでは一ヶ月から一ヶ月半程度の時間が進むって事か? それにしては普通に喋ってる様に聞こえるな」


『我は今、人の言葉は喋っておらん。 1音節で多様な意味をもつ龍言語を用いておる。 普通に話している様に聞こえるのは、ご主人様のスキルの恩恵であろうの。 ご主人様の言葉も我には龍言語に聞こえておるぞ』


 ああ、なるほど翻訳されてるのか。

 龍言語は、語彙が非常に多く、人には発音出来ない音や発音も含まれている。

 ドラゴン達が高速で飛行中にも、すれ違いざまの僅かな時間でも、十分な会話が可能な様になっているらしい。

 気にしていなかったが、どういう仕組みで、翻訳されてんだろうなコレ?


「それはともかく、そんなに時間があるなら、こっちでも脱出出来ないか試してみようと思っているんだが」


『……何をしようとしていたか、言うてみよ』


 今なんか、妙な間が空いたな?


「えーと、触れるものが地面しか無いから、かる~く穴を空けてみようかと思っ……」


『駄目だ。 おとなしく待っておれ』


「断る!」


『脊髄反射で断るでない! どうせ魔晶石を使って、大穴を空けるつもりであったのだろう!?』


 正解! 流石パールだな、俺がしようとしている事をよくわかっている。

 本物認定をしてやろう。


「だいたいあってるが、なんで駄目なんだ?」


『卵を割って食う為に、攻城兵器を使うようなものだからだ。 食えなくなるだけならともかく、周りの被害の方が深刻なことになってしまうであろう!』


 なんだ、異相結界とやらも大した事ないな。

 そんなにあっさり破れるのか。


「って、それじゃあ、せっかくこんなに広くて何も無い空間なのに、何も実験出来ないじゃないか!」


『ブレぬ奴だのぅ……。 下手に壊して、次元の狭間を一生彷徨っても知らんぞ? そーなったらリーラ様でも助けられんからな』


「スミマセンでした。 救助宜しくお願いします」


 ソレを最後にパールとの電話を終えた。

 しかし意外と厄介な結界だったようだ。

 くっころのカーミラからの攻撃といい、今回の異相結界といい、抜けこそあるが、俺の隙をよく突いてくるな。

 もしパールが居なかったら、このまま力技で結界をぶっ壊して、次元の狭間に落ちていたというわけか……。

 邪神嫌がらせ魔道具に、触った手で目を擦ったら、結膜炎になってしまう機能もつけといてやろうか。

 元の世界の色んな神話で、神も結構病気にかかってるから、たぶん神にも害のある細菌とかウイルスとかが居るだろう、ここから出たらパール経由でリーラ様に聞いてみよう。

 矮小な存在だと侮って取り返しの付かないことになると良いな。

 ついでに邪神にとってのアレルゲンになりそうなホーリーメタルとかの聖なるモノっぽいヤツの微細粉末を片っ端から詰めとくか。


「しかし暇だな」


「もきゅ!」


「マルもそう思うか、よーしよし」

 

 目覚めたマルが同意を示してくれたので撫で回す。

 邪神バイオハザード作戦1号君の開発構想は出来たが、邪神に有効な感染元はわからないし、ここを出るまでは使いようもない。

 せっかくこんな障害物も何も無い広い空間があるのに、魔晶石を使った実験が出来ないというのはストレスが溜まるな。


「何か作るにしても、ワトスンも王都の錬金術師達も居ないから大掛かりな物は作れないしなあ」


「もきゅー」


 こういう状況になると、意外と一人の限界が見えてくる。

 仲間の大切さが良く分かると言うやつだな。


「気は進まんが、暇よりはマシだな。 今後の為にも久々に自分のステータスをいじるか……。 マル、もしぶっ倒れたらよろしくな」


「もきゅーん?」


 俺が気絶とかした場合に備えて、マル用の食料を形だけの冷蔵庫に入れておく。

 ワトスン製の大型の給湯器に水を満タンにして、マル用の吸い口と両サイドに取っ手がついたマグカップを設置。

 冷水も温水も出るタイプだし、マルなら問題なく使えるだろう。


「どうせ辛いなら、一気に行っとくか……。 気絶したら一緒だし……。 いや、しかしやり過ぎて変な後遺症とか出ても嫌だな」


 やると決めても、なかなか踏ん切りが付かない。

 ぶっちゃけ無理してやる必要性は全く無いのだから、心境としては、命がかかっているわけでもないのに、麻酔無しで手術を受けるくらいの覚悟がいる感じだろうか?

 とは言え、今まで手伝ってもらっていたり、助けて貰っていた事を、自分でやるためには、どの道苦痛覚悟でステータスをイジる必要がある。

 そして、どうせそれで意識を失う程の苦痛を味わうなら、他のステータスも一緒にやって置いた方が良いのでは無いか? と、コード上のステータスの数値を上げ、いざとなると実行する勇気が出ず、少し数値を下げる。 という感じで、消極的にコードを打ち込んでいく。


「気絶しちゃえば一緒、気絶しちゃえば一緒……。 あ、そうだ、アリーセやパールの持ってるスキルも追加しとこうか、全耐性、障壁系、心話、身体強化系……」


「もきゅー……」


 ブツブツ言っている俺の顔を、心配そうに覗き込んでくるマル。


「ん? 自分が代わりにステータスアップするから無理しないで、だって?」


 使い魔の繋がりから、ステータスを変更した際の苦痛を知っているのか、プルプルと震えながら、そう言ってくるマル。


「だ、大丈夫だマル! コレは俺がやらねばならないコトなんだ! おおお、俺はやるぜ! やってやるともさ!」


 小さなマルに勇気を貰い、覚悟を決めてコードを実行する。

 あ、でもちょっと控えめな方にしとこう。 


「ん? なんともな……。 ごっはああっ!! 後からきたぁぁっ!?」


 時間差でダメージがやってきた。

 体が内側から外側に裏返るんじゃないかという感覚と圧迫感、頭痛、目眩、耳鳴り、吐き気、全身を襲う成長痛を物凄く酷くしたような激痛、知識が無理やり流し込まれ、脳が沸騰するんじゃないかと思う程の熱などを感じながら、俺の意識は闇へと……。


「沈んで行かねぇ!? おっぱああああ、なんで!? ぐふう、ぐろあああああ!」


「もっきゅーーーーーっ!?(ご主人ーーーーーー!?)」


 マルの声が心話スキルをつけたせいかはっきりと分かるようになったが、それどころでは無い状態だ。

 最近すっかり気絶癖がついてるから、これ程の状態になったら、あっという間に落ちるはずなのに、一向に意識を失う様子がない。

 びったんびったんとのたうち回り、床にガンガンと頭を打ち付ける。

 気が触れそうだが、それも許されず、非常にクリアな状態で全身の苦痛情報がダイレクトに脳に届けられてくる。

 その脳は流し込まれた膨大な知識ですでにキャパシティオーバー状態で、破裂するんじゃないかと錯覚する。

 いや、HPを上げていなかったら即死だっただろう。


「ぐぬるるるっ、あっ、そうか全耐性のせいか!? うがあー!」


 気絶出来ないのは辛いだろうと、以前ゲットした気絶耐性のスキルは未使用のままにしていたが、全耐性ってことは、このスキルに気絶耐性の特性も含まれているってことか!?

 だったら苦痛耐性とかもあって、こんなに辛い状態を緩和されてもいいじゃないかと思う!

 それとも何か、効いててコレなのか!?

 確かに、漏らしたり吐いたりしてないから、一応全耐性が効いていて、なおこの辛さって事かよ!


「ずおおおおお、そ、そうだ耐性だけ無くせばっ」


 小一時間くらい、転げ回ったり、奇声を発したり、捕れたてのカツオのようにビチビチとのたうち回って、今更その事に気が付いた。

 体の内側から聞こえるミチミチといった破壊音を聞きながら、必死に全耐性のレベルを0にして、ようやく意識が闇へと沈んでいったのだった。


「もっきゅー!(ご主人ー気をしっかりー!)」


 いや、ある意味気をしっかり持った結果がのたうち回る状態だったのだぞマルよ……。






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名前:イオリ・コスイ

種族:たぶんヒューマン

年齢:18歳

ジョブ:ノービス

レベル:81


HP:10000

MP:10000

スタミナ:20000


筋力:5000

敏捷:5000

知力:5000

器用:5000

体力:5000

魔力:5000

頑健:5000

精神:5000


物理攻撃力:5000

魔法攻撃力:5000

物理防御力:5000

魔法防御力:5000


称号:異世界人、露出狂、偽記憶喪失者、ドラゴンバスター、ウンチク魔人、簒奪者、魔道具使い、都市の守護者、鑑定名人、ジャイアントキリング、お大臣、歩く錬金術師ギルド、存在が都市伝説、追込みマスター、名付け下手、ドラゴンマスター、嫌がらせの達人、目の上のたんこぶ、5歳児並、神を憂鬱にさせし者、不能者、迂闊者


スキル

 パッシブ:言語翻訳

     :アイテムボックス(x9999)

     :装備制限解除クリアボーナス

     :チートツール LV MAX

     :解析ツール LV MAX

     :全耐性   LV 0

     :魔法障壁  LV MAX

     :物理障壁  LV MAX

     :HP自動回復 LV MAX

     :MP自動回復 LV MAX

 アクティブ:身体強化 LV MAX

       身体制御 LV MAX

       身体変化 LV MAX

      剣術 LV MAX

       →スマッシュ LV MAX

        カウンター LV MAX

        ダブルアタック LV MAX

        カウンタースマッシュ LV MAX

        ウェポンガード LV MAX

        ソニックスラッシュ LV MAX

      :体術 LV MAX

       →アクロバット LV MAX

        登攀 LV MAX

        受け身 LV MAX

        忍び足 LV MAX

        潜伏 LV MAX

        投擲 LV MAX

      :射撃 LV MAX

        集中 LV MAX

        命中 LV MAX

        装填 LV MAX

        クイックショット LV MAX

      :格闘 LV MAX

       →コンビネーションアタック LV MAX

        バックアタック LV MAX

        サイレントアタック LV MAX

      :魔法 LV MAX

       →龍言語魔法LV MAX

        究極魔法 LV MAX

        上級魔法 LV MAX

        中級魔法 LV MAX

        初級魔法 LV MAX

        錬金術  LV MAX

      :知覚 LV MAX

       →暗視 LV MAX

        聞き耳 LV MAX

        危険感知 LV MAX

        オートマッピング LV MAX

      :クラフト LV MAX

       →ポーション作成 LV MAX

        武具メンテナンス LV MAX

        鑑定 LV MAX

        魔道具作成 LV MAX

        料理 LV MAX

        罠設置/解除 LV MAX

        解錠 LV MAX

        


所持金:999963520GP (+直接所持0GP)

魔晶石:999765個


ファミリア:マルモア(クレバーファーラット)

     :パール(エンシェントパールドラゴン)

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