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124話 魔法の発動体を作ろう

「魔法の発動体を作るのー?」


 コリンナ様を伴って、ワトスンの船室を訪ねた。

 船室の中は、バラしたジェットパックだとか、給湯器だとか給湯器とか給湯器がところ狭しと置かれていた。


「って、給湯器多すぎだろ!?」


「給湯器はすべての魔道具の基本だからねー」


 もっともらしい事を言っているが、そう言っているのはワトスンだけである。


「コリンナ様が今持っている発動体は、魔法を一番最初に覚える際に使用する練習用の発動体なので、僅かな魔力しか込められないようになっているのですわ。 ですから、突発的な思い付きですが、この機会にしっかりとした発動体を持っていただこうかと思ったわけですわ」


「そういう事なら、このアンドレア・ワトスン・マンマミーア・ストラトスにおまかせだよー」


 後半の名前には突っ込まないぞ?


「よ、よろしくお願いします」


 コリンナ様がペコリとワトスンに頭を下げる。


「どんな感じの物が良いのですかなー?」


「えーと、イオリ先生が使ってるようなやつが良いです!」


 いやいや俺が使ってる発動体っていえば、ゲームのアイテムだから確かに強力ではあるが、とてもオススメ出来ない代物だ。

 ライトで目が大変なことになったし。 その後も暴発とか怖くて使ってないし。


「うーん、流石に大人のサイズじゃ合わないだろうし重くて扱えないと思うから、見た目と使い方が似てるだけって感じになるけど良いですかー?」


 形だけ真似るってことなら大丈夫かな?

 形状で威力が爆上げされるとか無いと良いけど……。


「はい、それで構いません」


「わかったですよー、それじゃあちょっと手の大きさをとかを調べさせてくださいませー」


 ワトスンは粘土のようなものを使ってコリンナ様の握った時の手の型を取ったり、身長や立った時の手から地面までの高さ等を計測してはメモを取っていく。


「素材はどうしようかなー、一通りもって来てはいるけど、流石にココにあるだけじゃ足りないから、王都に着いてから調達って形になると思うけど大丈夫ですかー?」


「入学試験に間に合うなら、それに越したことは無いのですが、初等部なら今の発動体で十分事足りるはずですから、急がずとも大丈夫ですわ」


「ミスリルとか魔石で良ければ提供できるぞ」


 俺のアイテムボックスには各種素材がすでに入っているし、いくらでも増やせるのだから使ってもらうのもやぶさかでは無い。

 流石に伝説級の素材を提供したりはしないが。


「そんなにいっぱい貴重な素材を持ってる事がビックリだけど、素材が十分あるなら明日には仮組みまで行けるよー」


「おー仕事が早いな。 それじゃあ出すぞ」


 余裕で出来るようなので、必要と言われた素材をゴトゴトとワトスンの前に積み上げる。


「なんだこの異常なほどの品質は、アーティファクトでも作らせる気かー」


「ええ!? そんなに凄い素材頂いてしまって良いんですか!?」


 ワトスンが虫眼鏡に小さなモニターがついたみたいな魔道具で俺が出したミスリルのインゴットを調べて驚きの声をあげると、コリンナ様がものすごく恐縮してしまった。 一応王族なんだから、品質くらいで恐縮しなくても良いと思うのだが……。


「ダンジョン産ってやつだ。 アイテムボックスの肥やしにしてもしょうがないから使ってやってくれると嬉しい」


 ダンジョン産は嘘だが、鉱物素材ならいくらでもあるからな。


「魔石といいミスリルといい、君の持ってる素材の品質はおかしいものばかりだね。 もうこれは、一生使えるようなの作るしかないなー」


「対抗するわけでは無いのですが、私からも素材を提供させていただきますわ」


 そう言ってエーリカも何か宝石のようなものをワトスンに渡した。


「これは『精霊石』だね、これもまた品質が良いねー」


『精霊石』というのは、ゲームにも存在した魔法の杖素材の一つだ、同じものかは解らないが……。


「エーリカ先生まで、良いのですか?」


 想像以上にすごいものが揃っていく状況にコリンナ様がちょっと引き気味だ。


「前に使っていた発動体に使っていたものですわ、滅多にない物なのでそれだけ取っておいたのですが、使わないでいる方が勿体無いですから、遠慮なく使ってほしいですわ」


「滅多にお目にかかれない素材を扱えるとか、錬金術師冥利に尽きるねー。 腕によりを掛けて作らせてもらいますよー」


 と言う事でコリンナ様の魔法の発動体の制作が始まった。




「そーいや金属加工をする炉とか無いみたいだけど、金属加工出来るのか?」


 興味本位でワトスンに制作現場をコリンナ様と一緒に見学させて貰っていて、ふと疑問に思ったので聞いてみた。

 しかも揺れる船の船室で炉を使うとかは非常に危険なのではなかろうか?


「錬金術師は金属加工に炉は必要ないんだよ。 こうやるのだー、マテリアライズ・ディフォーム!」


 ワトスンがシュビっと変なポーズを取ったと思ったら、ミスリルのインゴットが、うにょーんっと変形しだした。


「きめぇ!?」


「酷いな君はー」 


 スムーズにモーフィングしていくのなら良かったのだが、うにょうにょ、みったんみったんと謎の不定形生物のように動いているので、気色が悪い。


「まあ、こんなに動かす必用はまったく無いんだけどねー」


「なんでやったし!?」


「サービス?」


「そんなサービスいらんわ!」


 まったく、疲れさせてくれるが、鉱物の形を自由に変えられるというのは非常に便利だ。

 教えてもらうか、ステータスからスキルをコピらせてもらおう。


 一悶着あったが、ミスリルのインゴットは棒状に伸ばされ杖っぽい形になっていく。


「というわけで、ベースがあっという間に出来るのですよー。 じゃあ調整していくので、これを持って構えてみてくださいー」


「あ、はいわかりました」


ワトスンがコリンナ様にベースとなるミスリルの棒を渡す。


「えーと、確かこんな感じで構えるんでしたよね?」


「あ、そうです、肩に背負うのではなく押し付けてると安定します……って、んー!?」


 コリンナ様が構えたポーズは、魔法を使う時のポーズではなくて、どう見てもライフルの構え方だった。

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