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11話 首がくるりと

 痛いけど、多分死なないので目を瞑って攻撃される覚悟を決める。まだほのかに痛い股を押さえつつ。

 しかし、いつまで経っても、攻撃は来なかった。

 恐る恐る目を開けると、頭から矢を生やしうつ伏せに倒れているゴブリンが居た。


 その向こう側に、弓を構えるアリーセが見えた。

 そういえば、赤い線は出なかったな……。


「全部仕留めたと思うけど、一応まだ気を抜かないで」


 確か残心というのだったかな? まあ全部倒したみたいだし、赤い線も見えないから大丈夫だろう。また助けられたなーと、頭を掻きながら立ち上がる。


 アリーセはまだ、弓を構えたま首を巡らせて周囲を観察している……あれ?気のせいかな? 今、首が真後ろ向いていたような……。

 目を擦ると、普通に正面を向いていた。気のせいだったよう……ってまたアリーセの首が後ろ向いてる!? 気のせいじゃない! 何だあれ、何かのスキルかなんかなのか!?


「これ以上は居ないようね、大丈夫だった?」


「おかげ様で大丈夫だけど、い、いま首がくるーっと真後ろ向いてなかった?」


「ん? これのこと?」


と言って、首を右に回していき、ほぼ真後ろまで向いてしまった。


「お、おう。そ、それは何かのスキル? 何とも無いの?」


 ちょっと逃げ腰気味に聞く。もし、うっかり俺がそういうスキルを使ったら首の骨を折ってしまいそうである。何かスキルの効果なら聞いておかねば危険だ。

 うっかり使わないように……。


「これは私が鴟梟(しきょう)族だからよ。だから種族特性でスキルじゃないわ」


「しきょうぞく?」


「簡単に言えばふくろうの獣人って事よ。残念ながら空は飛べないけどね」


 獣人キター! この世界にはお約束通り獣人が居るようだ。なんの約束かは分からないが。

 アリーセの話では、実に多種多様な獣人が居て、少なくとも今向かっている街では差別的には扱われて居ないらしい。

 鳥の特徴を持った獣人も多いが、飛べるのは非常に稀であるらしい。

 まあ、鳥が飛べるのは骨が非常に軽く出来ているし、筋肉が非常に多く、またその代謝の効率も良い。まさにすべてが飛ぶための構造をしているわけだが、そこに人の特徴が入ったならば、確かに飛ぶのは難しいのだろう。夢が無いな……。


「取り敢えず、こいつらは素材として使える部分はほとんど無いし、討伐部位だけ取って出発ね、武器とかも売れるかもしれないけど、下手すると処分手数料取られるからね」


 アリーセは慣れた手つきでゴブリンの右耳をナイフで切って行く。


「要らないんなら、アイテムボックスに入れて持って行っても良いか?」


「良いけど、お金には困ってないのにそんなガラクタどうするの?」


 訝しげにアリーセが聞いてくる。


「ああ、ちゃんとアイテムボックス使えるのかの確認と練習をしようかと思って、落っことしたりぶっ壊れても惜しくないわけだしな」


「なるほどね、覚えてないんだったら、使い方を把握しておいた方が良いわね」


 そうは言ったが、実はチートツールでアイテムボックス内のアイテムの数を増やしたり、変化させて他のアイテムにしたり、パラメータを変えたり検証をする為に欲しかったのである。

 こういったチートは、アイテムボックスが空っぽだと出来ない場合が多い為、何でも良いから無くなっても良いアイテムが必要だったのだ。

 ショートソードはぶっ壊れて何処かに行ってしまったし、借りた剣でやる訳にも行かなかったからだ。何でも入るんだったらそこら辺の草とかでも良かったんだけどな。


「はい、剣。落とさないようにね」


 アリーセが血糊を拭ってさっき落とした剣を渡してくれる。


「あ、ああ、ありがとう」


「ゴブリンチーフを一撃なんて、やるじゃない」


「その後、無様に転がってたけどな……」


 その剣のおかげです。ってあれ普通のゴブリンじゃなかったのか。


「戦い方も忘れちゃってるだけでしょ」


 いや、それは無い。


「とにかく、酷い格好よ? 森を抜けたら小さな川があるからそこで洗うと良いわ」


 歩き辛い森の中を話しながら進んでいき、茂みを抜けたら、いきなり木々が途切れた。やっと森から抜けたようだ。

 森を抜けた先には見渡す限りの草原地帯が広がっていた。森に沿うように道があり、濃い森の緑と、草原の淡い緑、その間を走るワダチのある道で、その境界が非常にはっきりと分かれていた。

 少し離れた所にアリーセが言ってた小川が見える。


「おー、やっと森を抜けたか……」


「さ、ここまで来たら、街まではもうすぐよ」


ユニーク500オーバーありがとうございます!

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