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110話 出番が無いのだが

 一戦した後から、調査の為の探索を続ける事一時間。

 あれからすでに2戦ほどこなしてはいる。

 8体のリビングナイトアーマーと一戦、アイアンゴーレムと一戦だ。

 ただし、初っ端の戦闘で敵を察知出来なかったアリーセが、名誉挽回とばかりに斥候に出まくって向こうがこちらを察知するよりも先に発見し、見通しの良い辺りで一方的にアウトレンジから攻撃を叩き込んで、蹴散らしてしまったのである。

特筆すべき内容がないとはこの事か。

 今現在も4体程のガーゴイルという悪魔っぽい形状をした石像のモンスターと絶賛3戦目の戦闘中ではあるが、ぶっちゃけ手持ち無沙汰になっている。

 すぐに外に出れる事がわかっているので、魔力の温存を考えなくても良くなったエーリカが楽しそうに上級魔法をばかすか打ち込んでいるし、アリーセも俺が渡した属性矢を、弱点属性がわからないなら、全部試せば良いじゃない、とばかりに、これまたばかすか打ち込んでいる。



「この分ならば、このあとの調査も捗るであろう」



 シークさんはヴァルターさんが用意したテーブルセットでお茶を楽しんでいる。

 ダンジョンの中だというのに余裕っすね。

 あのテーブルセット木製っぽいからアイテムボックスには入らないはずなのだが、どっから出したんだろう?



「僕達出番無いねー」



「いや、ワトスンは魔道具でトラップを発見したりしているからまだマシだろ? 俺なんかただの荷物持ちだぞ」



 ワトスンはダンジョン探知機とよく似たL型の棒で毒の矢が飛んでくるトラップや落とし穴等を発見している。

 

「私の回復魔法は出番が無いのが1番です」



「イーリスもあの二人に補助魔法みたいなの使ってるじゃないか」



 イーリスは、二人に感覚が鋭くなる補助魔法をかけたりしていた。

 この魔法のお陰でアリーセの索敵能力が底上げされているのである。

 感覚の底上げって、どういう原理なんだろう? と考えてしまう俺には使えない魔法でもある。

 神経の伝達物質が増えるのか、一時的に集中力が増すとかなのか……。



 シークさんは、優雅にお茶を楽しんではいるが、きっちり指示を出しながら進んできているし、ヴァルターさんは調査内容をその場で記録している。



 あれ? 俺要らなくね?

 いや、待て落ちつこう。 荷物持ちだって立派に役に立っているはずだ。

 無機物しか持てないけど……。



「どうやら、この階層は、物質系統や魔法生物系統のモンスターばかり出てくる階層なのだな」



「見た範囲ではトラップは物理系ばかりのようですな、採取出来る素材はモンスター由来の金属が主で、採掘等は出来ないようです」



 シークさんとヴァルターさんが、今のところのデータを纏めている。



「宝箱を見つけたんだけど、たぶん何か罠がかかっていると思うわ。 どうする?」



 ガーゴイルを蹴散らしてきたアリーセがそう報告を入れてきた。

 今のパーティだと、盗賊系のジョブやスキルを持った仲間が居ないので、こういう時に困るな。

 『罠設置/解除』『解錠』のスキルを持ってはいるのだが圧倒的に知識は足りていない。

 ゲームでは何度も経験しているが、実体験では、初めてダンジョンであるし、初めてダンジョンの宝箱を目にしたわけだからな。



「一応、レベルは1だが、罠解除と解錠のスキルを持っているぞ、ただ、ここのフロアのモンスターの傾向を考えると、ミミックとかいう宝箱に擬態したモンスターって可能性もあるんじゃないか?」



 罠にかかるのも嫌だが、触れた瞬間にガブリとやられるのは勘弁願いたい。



「その可能性は十分考えられますわね、判別するのに手っ取り早いのは攻撃を仕掛けることですけど、半端な攻撃では宝箱のふりを続けてしまいますので、壊す勢いで攻撃しないと駄目なのですわ。 ただミミックじゃなかった時に中に入っているものも壊れることが多いので、あまりお薦めはしませんわ。 まあ、そんな面倒くさいことをしなくとも、鑑定のスキルをお持ちなのでしょう? それを使えば一発ですわよ」



 ああ、なるほど、言われてみればそうだった。

 仕事があって良かったと、やけに安心してしまうのは、社畜根性なのだろうか?

 早速宝箱が見えるとこまで案内してもらって鑑定をしてみることにした。

 宝箱は台座だけ並ぶ小部屋の奥に置かれていた。

 アリーセの話では並んでいる台座の上にガーゴイルの像があったらしいが、今は残骸しか残っていない。



 初めて発見したということと、深い階層にある宝箱ということで、なんだかんだで期待度が高いのか、皆興味津々でついてきた。



「じゃあ、ミミックじゃなくてもガスとか爆発とかの罠ってこともあるから、下がっててくれ」



 鑑定だけでなく、解析ツールも使ってやろうと思い一人で宝箱に近づく。



《シェイドウッドミミック》

:亜種 宝箱に擬態をする魔法生物系モンスター。

宝箱と間違えて蓋を開けた生き物をを捕食する。

非常に硬い外殻を持ち、攻撃力も高いく、精神に作用する魔法を使用するため最新の注意が必要。

攻撃範囲に侵入するまでは、攻撃を加えたとしても擬態を続ける。

魔法による攻撃か、打撃による攻撃が有効。

蓋を開けた時点で攻撃をしてくるため、擬態としての意味は無いのだが体内に宝となるものを集める習性がある。



------------------------------------------------------------

名前:-

種族:シェイドウッドミミック

年齢:7歳

レベル:82



HP:12731

MP:3560

スタミナ:68874



筋力:2361

敏捷:1264

知力:163

器用:59

体力:2567

魔力:1320

頑健:6243

精神:326

物理攻撃力:2768

魔法攻撃力:1382

物理防御力:6240

魔法防御力:2304



称号:コレクター



スキル

 パッシブ:擬態   LV3

     :HP自動回復 LV1

     :状態異常耐性 LV8

     :気絶耐性 LV1



 アクティブ:防御姿勢 LV3

      :初級魔法 LV3

      :キラーチャンク LV3



所持アイテム:秘石のセプター、魔石x7、守りのバングル、不渇の瓶



各種コード     

 ・

 ・

 ・

------------------------------------------------------------



  うわ、出ちゃったよ気絶耐性……。 気絶できないとかえって辛いことがあると気がついてはいるが、いざあると、どうしようか悩んでしまうな。

 戦闘中とか、ヤバイ場面で気絶しないというのはものすごい利点ではあるが、なんか苦痛を受けて気絶できないというのは辛い。

 何かの折に使うかもしれないから、コードだけとっておくか……。



「とりあえず、シェイドウッドミミックとかいう、ミミックの亜種みたいだな」



「なんだー、残念だねー、じゃあ、ほっといて先に行くー?」



「いや、一応、腹の中に魔石とマジックアイテムかなにかの宝を幾つか持っているみたいだぞ」



 うちらに必要なアイテムであるかは別として、字面から高価そうなアイテムではある。



「それじゃあ、跡形もなく吹き飛ばすというわけには参りませんわね、かと言ってミミックには生半可な攻撃は効きませんわよ?」



 ステータスをいじって、HPを0にしてやれば解決なんだが、ここでそれをやるわけにはいかないな。

 ワレモノっぽいアイテムもあるから、下手に叩くとせっかくのアイテムを壊してしまうかもしれない。



「アイテム類を無事に手に入れようと思ったら、普通のトラップよりも厄介だな」



「ふむ、ダンジョンで手に入るアイテムというのは、階層によって武器なら武器、防具なら防具と、大まかな種類が似てくる傾向があると聞く。 それらの判別をする為にも、出来れば無傷で入手したいところだな」



「わかりました、なんとかやってみます」

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