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108話 大穴の底

 穴の底へは、まずアリーセと俺が降り立った。

 瓦礫で大分埋まっていたが、モンスターが出てくる気配は感じない。



「モンスターが居ないわけじゃなさそうね、むしろすぐには数えられないぐらい沢山いるわ」



「え、マジで!?」



 アリーセ言葉に慌てて武装をする。



「ああ、でもこの穴の所までは出て来ないみたいね、警戒はしているみたいだけど」



「そ、そうか、それなら良かった。 ってか焦らせないでくれよ」



 ひとまずの安全を確保をして、空中で待機していた皆を呼ぶ。

 エーリカは、飛んでいる最中に攻撃されたり、モンスターに襲われても対処できるように、周りを警戒してもらって居たので一番最後に降りてきた。



「エーリカ、パンツ丸見えだよー」



「え、ホントに、うっきゃあああああっ!」



 もうちょっとで着地という所で、ワトスンが、エーリカに向かって、ある意味での絶景について指摘したら、慌てて集中力が切れたエーリカが落ちてきた。



「おっと、大丈夫だったかな?」



「あ、も、申し訳ありません……」



 シークさんが、落ちてきたエーリカを無事にキャッチしたようで、怪我はなかったようだが、ものすごく出番を取られた気分である。

 別に絶景に見惚れていて出遅れたわけではない。

 ちなみに薄いピンクだったとだけ言っておく。



 各々そこそこ重量のあるジェットパックを外し装備を確認する。

 ジェットパックは、俺がアイテムボックスに回収しておく。

 事が一段落したら、コイツも改造しよう。



「流石にまだ修復は始まって居ないようだな」



「左様でございますな、これだけの規模となりますとすぐに修復されるというわけにも行かないのでございましょう」



 シークさんとヴァルターさんが周辺を見渡している。

 ヴァルターさんはシークさんが調査に向かうならばお供をすると言って着いてきたのだが、馬車や何かの手配など放っておいても良いのだろうか?

 そもそも、いつもの執事服で武装している様には全く見えないが大丈夫なのだろうか? ジェットパックは即効で使いこなしていたから、多分身体能力は高そうではあるのだが……。



「中途半端に修復が始まって、結局ダンジョンに閉じ込められたってなったらシャレにならないから、見えている一番下は避けて瓦礫から登れそうな下から3段目辺りからの調査が良いと思うわ」



「そうだな、充分な数の結界石があれば良かったのだが、仕方あるまい」



 結界石? 最高品質のものを山ほど持っているけど何かに必要なのだろうか?



「えーと、結界石があると何が良いのでしょうか?」



 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥と言うことで、聞いてみる。



「結界石で囲んだ範囲は、ダンジョンの魔力も弾くので、効果時間内という事にはなってしまいますが、修復を妨害したりモンスターから認識されなく出来るのですわ」



 エーリカがシークさんの代わりに説明をしてくれたが、聞く限り結界石便利だな。

 ドラゴンが釣れる魔晶石を隠せるんだから、不思議ではないとも言えるが、どういう原理で隠しているのかが気になるな。

 魔素と魔力の明確な違いもよくわからんが、考え出すとキリがないので、また今度家庭教師に行った時にでもエーリカ先生に聞いてみよう。



「申し訳ありません、休息や一時避難の為の結界石は用意してありますが、この規模の修復を妨げる程の数は、街に戻りましてもご用意は難しいか存じます」



 ご用意出来るのだが、どうしよう……。

 『注連縄しめなわ』は一応魔道具扱いになっているみたいだから、そういう魔道具だと言ってしれっと出しとくか。



「それでしたら、これが使えるかと思います。 燃費は少し悪いのですが、結界石と同じ効果を持つ魔道具です」



 調子に乗って作ったやつだから、実際は少しどころかめちゃくちゃ燃費が悪かったりするが、俺がチャージすれば問題ない。



「ほう、縄状にしてあるのか、もしやイオリが魔晶石を大量に持っていたにもかかわらず結界石を持っていなかったのは、これを使うという事だったのだな?」



「おそらくそうだったんだと思います」



 勝手にうまく解釈してくれるので、いつも非常に助かります。



「効果時間と範囲はどの程度でございましょう?」



「時間は品質の良い結界石と同程度です。効果範囲は、もう少し広いと思いますが、囲んで使うので、その長さ分という感じですね。 数があるので、繋げばもっと広い範囲で大丈夫です」



 テストのしようが無いので、どの位の範囲まで効果があるか等は正直分からないが、囲えれば多分問題ないだろう。



「では、あるだけお貸し頂いても宜しいでしょうか?」



 どの位必要か分からないが、出しすぎもおかしいので、20本分くらい渡しておいた。

 流石に全部を持つのは重かったので地面に置く形になったが、ヴァルターさんの眉が少し動いた気がする。

 街中の結界石を集めても足りないとか言ってたから、足りなかったのだろうか?



「ふむ、これもスキルで増やしていたということか、代償さえあれば魔道具を複製出来るというのは、誠に便利なものだな。 しかし、上質の結界石と同等の魔道具がそれほどあるならば重畳だ。 ヴァルター万事抜かりなきようたのむ」



「おまかせくださいませ。 アリーセ嬢、壁面で一番モンスターの気配が少ない方角はどちらですかな?」



 あいかわらずの非常に綺麗な礼を返し、餅は餅屋とばかりにアリーセにモンスターが少ない場所を聞いて、手早く陣のようなものを敷いている。

 『注連縄しめなわ』を繋いで長くして使っているようだ。



「あれってどういう仕組みので結界石のような力を出しているのかなー? 一本僕にくれない?」



「分解する気だろうからダメだ」



 筒状の金属メッシュに結界石が詰めてあるだけだが、今バレたらちょっと面倒くさい。 



「あれだけあるんだから一本くらいばらしても問題ないんじゃないのー?」



「携行水と同じだ。 企業秘密ってやつだな」



「携行水? あーそーかー、それじゃあ仕方がないねー」



 伝わったかどうかわからないが、すごく簡単なものだけど、製法を秘密にしているだけ。 という含みを持たせてワトスンにだけ伝わるような言い方をしてみた。

 一応納得はしたようで、それ以上何かを言ってくることはなかった。

 

 俺がワトスンに気を取られていいると、、ヴァルターさんが、ひょいひょいと壁面を上まで登ったり降りたりしているのが、視界の端に見えたような気がした。

 反射的にヴァルターさんをの方を向いたが、普通に瓦礫の山の上で何かの作業をしているだけだった。 見間違い、気のせい……か?



「あちらは、ヴァルターに任せておけば問題ない。 脱出経路の確保が出来次第ダンジョンに潜るぞ、各自装備の点検準備をせよ」



 シークさんが、号令をかけで皆一斉に装備品の点検等をを行う。

 とりあえず俺の初めてのダンジョン体験は、いきなり40階層超えからのスタートとなった。

 ん? 上にいる段階ですでにダンジョンだったから、40階層以上ショートカットしたってのが正しいか?


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