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106話 穴あきダンジョンと浪漫装備

「とりあえず、大雑把に数えてみたけど、見える範囲で40階層以上あるわね、10階層毎に通路や壁の質感が変わっているみたいだから、最低でも50階層はあるんじゃないかしら?」


 アリーセは穴の縁から下を覗き込んで、階層を数えていたらしい。


「それって、規模的にはどの位?」


「最低50階層ならば、相当大規模なダンジョンですわ。 判明している限りという前提はつきますけど、この規模のダンジョンとなりますと世界中を見ても10も無かったはずですわ」


 エーリカ先生が教えてくれたが、それは凄いな。

 ダンジョンが世界中にどのくらいあるのか知らないけど……。


「ダンジョンって世界中にどのくらいあるんだろうねー」


 ワトスンが俺の代わりに疑問を口にする。


「大小合わせて数百はあると言われていますわね。 ごく小さなダンジョン等はすでに攻略されているものも少なくありませんが、不思議と、一つ攻略されると1年以内に新たにダンジョンが発見されるという事が多く、ダンジョンも、世界での数を保つのではないかと言われておりますわ」


 それはますますゲームっぽくもあるな。

 入るたびに形が変わるダンジョンとかもあったりするのだろうか?

 数百のあるうちの10番以内とか、相当大規模なダンジョンじゃないか。


「普段生活している所の近くに、このように大規模なダンジョンがあったなんて……。 我々の教会ではダンジョンは、数々の宝で人々の欲望を刺激しておびき寄せ、その命を食らい成長するという女神様に仇なす邪悪な魔法生物の一種だと教えられています。 しかしなぜ、隠すようにされていたのでしょうか?」


 教会的にはダンジョンは女神の敵って扱いなのか。

 領主的には油田でも見つけたかのような感じみたいだが。


「攻略されるって事は、ダンジョンマスターが倒されて、ダンジョンコアも持ち去られるって事なんだろ? 要はダンジョンの死って事だから、ダンジョンマスターにそれなりの知性があって、ソイツが慎重なヤツだったら攻略されないぐらい大きくなるまでは見つからないように隠しておいても不思議は無いんじゃないか?」


 もし俺がダンジョンマスターに転生とかしてたら、そうするだろうしな。

 街からほど近いわけだし、しれっと街に遊びに行ったりとかもしそうだ。

 ……なんかのフラグじゃないだろうなコレ? まあ、スタンピード起こしちゃってバレたわけだから、臆病なだけで、そこまで頭のいいダンジョンマスターじゃない可能性も高いけど。



「────というわけだ、ヴァルターこれから忙しくなるぞ、各所に手配をしてくれ」


「かしこまりました」


 うおっ、ビックリした。 いつの間にか馬車で待機していたはずのヴァルターさんが居て、シークさんから指示を受けていた。

 いつ来たのか全く気が付かなかった。

 シークさんがヴァルターさんと話し終わった所で、皆に集まるように指示を出してきた。

 はいはい、なんでしょう?


「皆、聞いてくれ。 私はココのダンジョンの修復が始まる前に、可能な限り初動の調査を行いたいと思う。 普通であればダンジョンがどこまでの階層であるのかはわからないうえに、各フロアを順に攻略せねば先に進むことが出来ないというのが一般的だが、この状況であれば階層をを飛ばし、一気に下層のフロアへとアプローチが出来る。 いずれは修復され埋まってしまうであろうが、未踏のダンジョンの下層の情報が手に入るまたとないチャンスであると考えている」


 シークさんが、このままダンジョンに乗り込もうという提案をしてくる。

 気持ちはわからんでもないが、定番で考えれば下層に行くほどモンスターが手強くなっていくはずだ。

 入口に入って、ちょこっと戦って半日もしないうちに戻ってくる。 と言うようなものとは随分と話が違ってくる。


「流石にダンジョンの下層に挑むような準備はしてきておりません、下層まで調査するというのは危険が大きすぎると思いますわ」


 エーリカが反対の声をあげる。

 まあ、エーリカは護衛みたいなものだからな、当然護衛対象が危険に近づくことを良しとするはずがない。


「それは、通常通りに下層に向かう場合であろう。 冒険者ギルドへの依頼、並びに兵士等を揃え追加で調査及び攻略は当然行うが、今の状態であればどの階層からでも抜け出すことが出来るではないか。 それに、もともと依頼にはダンジョンの調査も含まれているのだ、調査せずに帰るという手はあるまい」


 シークさんがニヤリと笑うが、いやその依頼、あなた本人が出してますからね?


「女神様に仇なす存在のダンジョンを攻略のために調査するのでしたら、協力は惜しみませんが、下までどうやって降りるのでしょう? 壁などを登ったり降りたりはあまり得意ではないのですが……」


 立派な胸部装甲が邪魔なんですね? わかります。

 見えるところまででもかなりの深さがある。 縁から降りてすぐの所までならばともかく、イーリスでなくてもこれを下層まで降りるとなると、なかなか大変だ。

 用意されているロープでもせいぜい20m程度までが限界だし、どうやって下に降りようかとシークさん思案を巡らせている。 ぶっちゃけ、俺が用意すれば事足りてしまいそうではあるのだが、万が一が起こる可能性が桁違いに増えるてしまうだろう。

 流石に一旦帰って再度準備を整えてから来たいところだ。

 主にシークさんを置いてくるという意味合いでだが。

 それに塞がっても穴ならまた空けようと思えば空けられるわけだし……。


「下に降りるなら良いものがあるよー」


 そんな事を考えていたら、ワトスンがそんな余計な一言を放つ。

 ワトスンが取り出したのは、ランドセルのような魔道具だった。


「これを使うと、短時間だけど空が飛べるんだよー」


「ジェットパックだとう!?」


 そう、ワトスンがとりだしたのは、浪漫装備であるジェットパックだったのだ。

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