表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鋼鉄破断のアンオブタニウム  作者: かじかじ
第一章:蒼生〈リ・クリエイション〉
4/12

間章:七戦姫の一席《翠星》

  ◯



  ―――『機人エクスマキナ』。


 現在から約四十三年前に、あるきっかけで謎のウイルスが世界中に蔓延まんえんした。要因は隕石によるものだと言われているが、明確な事実は…まだ見つける事ができていない。


 ともあれ、そのウイルスは凶悪きょうあくで、致死率ちしりつは90パーセント。しかも、そのウイルスがもたらす影響はそれだけではなかった。


 死亡した感染者は、おぞましい化物になり、人々(この場合、人類、竜人、獣人、精霊、魔人を含む)を襲おそった。そして、伝染し瞬く間に広がっていった。


 ――――人々はこの出来事を『大厄災だいやくさい』と呼んだ。


 結果、人々は一気に絶滅寸前へと追い込まれていった。ある人は、見つかるまいと必死ひっしに物陰に隠れ、おびえ、またある人は苦しみから逃れようと自らその命を絶った。


 だが、そんな世界でも光はあった。


 この理不尽な状況をひっくり返す希望が、人々の手にはあった。


 一つ目は、遥か昔の遺跡から、『超遺物オーパーツ』と呼ばれる今の技術では製造不可能な兵器を使用できる状態で所持していたこと。


 二つ目は、感染しても化物にならなかった一割の者が、脅威的な能力を宿したこと。


 人々は、この大厄災の元凶となったウイルスを『ラグナウイルス』、感染して化物になった者を『機屍ソルダード』、感染してもなおも生き残り、自我とともに人外の力を得た者を『機人エクスマキナ』と呼称した。


 不思議な事に機人は全員が女性であった。


 この事について今でも…はっきりとした理由がない。


 竜人、獣人、精霊、魔人は自身の持てる力を引き出して精魂尽くすまで戦うと誓い、人類は超遺物と機屍の死骸を利用して新たな兵器を作り、機人達は自分の中に宿った力を最大限に引き出し、共に機屍と相対あいたいした。


 これは余りにも世界の境界を越えている。まさに天かみがもたらした災い。ならば我らは、この大地に生きとし生ける者として抗い、かみを征さん。


 『大厄災』発生から7年。それは始まった。

 ───大いなる敵に対する大いなる反旗。

 待ち望んでいたともいえるその戦いは実に十二年にも渡った。


 歴史に残るそれは、『天征大戦てんせいたいせん』と名付けられた。

 その大戦が幕を閉じるまでは、とても長い道のりで熾烈な戦いを全世界で繰り広げられた。


 そして、人々と機人に多大な犠牲が出てしまった末にとうとうついに――――…



 マグナ歴七七七年。隕石の爆心地であり災厄の原点地でもある《北の大陸――北の大低地》を決戦の舞台とし、機屍の争いに終止符を打った。

 その上にラグナウイルスに対する治療薬が開発され、機屍の数も討伐隊により激減。世界に対する脅威は消滅した…筈はずだった。


 終戦から七年後。人々は新たに戦争を開始した。


 名は反抗戦争と命名。十年経った今でも未だ終わっていない。


 相手は機人。人々はかつての味方を、敵として戦いをしていた。


 ――背中合わせから、同志の背中に刃を向ける。その中に、情けは存在しない。



 今のが、この前読んだ本からざっと抜き出した内容だ。わたしはこの事実に抗うとする。

     



 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ