第8話 騎士たちとの訓練で
さらにさらに2年が経って、俺は8歳になったよ!
俺! マジ幸せ!!
すべてが順調だよ。
眼鏡メイドさんにも魔法を教えてもらい始めたし、社交界では女の子達の一番に人気だし、城中の美人のお姉さんにも好かれているからね
マジで順調!!
「トール様。本日からは城の訓練場にて剣術を習ってもらいます」
勉強担当の眼鏡メイドさんが、子供用の鎧を持って俺を呼びに来た。
すぐに鎧を着せられ、眼鏡メイドさんの後ろについて訓練場に向う。
訓練場はとても広く地面は緑色の芝生が植えてあった。
そこには、鎧を着たムサイ男達がいて素振りをしたり、試合をしたりと鍛錬をしていた。
俺が、眼鏡メイドさんに連れられて入ってくると、隊長格だろう男が「やめっ!!」と号令をかけ、気をつけをさせる。
隊長格である男が俺の前に肩膝を着き話し始める。
「私は、アーサー・ウエルドと申します! 本日から王子の剣術の訓練を担当します!」
男はハキハキと話し、最後に頭を下げた。
「僕は、トール・ウェリス・アルアドネ。これからよろしくおねがいします」
教師がムサイ男なのは嫌だったが、顔にも声にも出さずに笑顔で挨拶をかわす。
「さっそくですが、模擬戦を行い王子がどの程度動けるのか見たいと思います。よろしいでしょうか?」
「うんっ!」
くそっ! 返事はしたが、なんでいきなり模擬戦なんだよ!?
俺は剣を持つのも初めてで、しかもまだお子様なんだぞ!?
コイツ俺になんか恨みでもあんのか!?
「これを、お使いください」
ムサ男は小さな木剣を俺に渡してきた・・・・・はぁ!?
何であいつ普通のサイズの木剣を使おうとしてんの!?
「では、始めましょうか?」
「・・・・・・うん・・・」
仕方が無いか・・・まあ、当然手加減してくれるよね!?
審判を努める騎士が開始の合図を叫び模擬戦が始まる。
ムサ男は、木剣を真横に振りかぶり、俺の木剣に思いっきり叩きつけた。
「いったーーーい・・・!!」
腕が弾かれ、後に下がらされる。
「うわっ!? うわわっ!!」
ムサ男は痛がる俺に怒涛の攻めで向ってくるっ!! こいつマジで俺に恨み持ってるんじゃねえのか!?
俺は、剣筋を完璧に見切り大げさに避ける。
眼鏡メイドさんが心配そうオロオロとしているのが見えた。
うーん・・・チートで身体能力が上がっているから、倒そうと思えば簡単に倒せるが・・・倒したらマズイよな?
俺は、泣きながら木剣を放り出し、眼鏡メイドさんの元へ駆け寄り、胸にダイブした。
ああー・・・気持ちいい・・・っと、泣きまねしないと。
「ウエルド様っ!! これはいくらなんでもやりすぎではありませんか!!?」
眼鏡メイドさんが俺を抱きしめて、ムサ男に抗議する。
「いやぁ・・・その・・・」
チラリとムサ男の顔を覗くと、バツの悪そうな顔をしながら動揺している。
「トール様っ!? どうされたんですか!!」
丁度その時、訓練場の入り口から女騎士達が入ってきて、俺が泣いているのに気づき、駆け寄ってくる。
女騎士達は騒ぎ出し、前に護衛してくれたポニーテールの女騎士がムサ男に詰め寄り、怒り出す。
会話の内容を聞くところから、親子だったみたいだ。
ムサ男の顔から察するに、娘を惑わす俺に釘を打つつもりだったようだ。
さっきの、虐待まがいの訓練は俺に対する警告か・・・。
よっぽど娘が可愛いのだろうが・・・・俺が普通の王子だったら、お前の首を刎ねていたところだぞ?
「トール様。申し訳ありません・・・あまりに私の剣が当たらないものでついっ・・・」
ついっ、じゃねえよ!
俺は、しばらく眼鏡メイドの胸を味わった後。
泣きながらムサ男に話し出す。
「いっ・・いいよっ・・・逃げた僕がっ・・・悪いんだから・・・ごめんなさい・・・」
ムサ男が全面的に悪いのに俺は、自分に非があるように謝る。
「うっ・・・」
ムサ男が眼鏡メイドと女騎士達から殺気を含んだ視線で見られ、青い顔をしている・・・ざまぁみろ。
「父が迷惑をかけてしまいました・・・トール様・・・申し訳ありません」
ポニーテールの女騎士まで謝ってきた。
俺は、ポニーテールの女騎士に笑顔を向けて「大丈夫だよ」と健気な子供を演じる。
それからは、ムサ男達に代わり、女騎士達が優しく教えてくれることになった。
今日は、眼鏡メイドさんの胸も味わえたしムサ男から、美人の女騎士達から教えられることになって、いい事ずくめだな。
ポニーテールの女騎士も今回のことで完全に俺サイドに堕ちたから、結果的にムサ男は自分で自分の首を絞めた形になったな。
さてと・・・次は魔法の訓練かな
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