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栗鼠と狐と狼の物語  作者: Neight
序章 ~過去~
8/9

7.異国へ

久しぶり更新になってしまい、申し訳ありません><;;


三人称難しい…


誤字があるかもしれませんlllorz

「これより、成人の儀を行う…リィアレースよ、前へ」


「はい」



リィアレースはゆっくりと一歩を踏み出した。


優雅に且つ堂々としたその動作に、その場にいる総ての人が引き込まれる様に視線を向ける。



あれから7年。


アルティレオの死は大陸中を悲しみの渦に巻き込んだ。


大陸にある各国は互いに条約を結んでから200年もの間一度も戦争が起こっていない。


各国の代表が“敵は人ではなく魔物である”と全会一致で認めた為である。


魔物とは、生物が瘴気…魔力が循環不足により負のエネルギーが溜まった物に当てられ、自我を無くした物が徐々に強大になってきており、同じ人類同士が争いをしている場合では無かったのである。


そんな条約後に生を受けたアルティレオは大型魔物討伐の初陣で多大なる活躍を見せ、その後も巧みな剣捌き、魔法の行使能力により瞬く間に“大陸の英雄”とまで言われる存在となっていた。


故にその若くして命を落とした彼を残念がり、哀れんだ人は少なくなかった。



そんな彼がこの世から去って7年。


リィアレースは今日、17になり、“成人の儀”を受けていた。


本来は16の誕生日に行うのが通例なのだが、魔物の活発化により行えなかった。


行えるのは決まって誕生日の日のみという決まりの為、一年先送りとなったのである。


リィアレースは彼が去ってから騎士契約を回りに薦められたが、断固として拒否をした。


彼女にとって、騎士は彼以外有り得なかったのである。


本来、契約者のどちらかが死亡すると契約の紋章は消滅する。


しかし、彼が死んだのにも関わらず、消えかかってはいるが、微かに残っていた。


その事があり、“彼が死んだ”とは思い切れなかったのである。


例え、回りがいくら否定しようとも、実際に亡きがらを見たとしてもその思いは変わらなかった。



彼女が一歩、また一歩と踏み出し、王座に近づく。


自分の父である皇帝までの距離が残り5mといった所だろうか、突如それ(・・)は現れた。


空間が無理矢理捩曲がり、直径が人一人程の黒い円形の物…極小規模のダークホールと言わんばかりのモノが目の前に現れたのだ。



「……え?」



目の前に突如と現れた不気味なそれ(・・)に当然いち早く気が付いたリィアレースであったが、あまりの唐突さに間の抜けた声を上げてしまった。


直ぐに我に返り、後に下がって離れようとしたが、如何せんそれ(・・)と距離が1mと近すぎた。



「リィア様っ!?」


「リィア!!」


「ちょっ、まっ……きゃぁぁ!?」



物凄い引力でリィアレースのみを引き寄せ、その闇の中に吸い込んでしまったのである。


ウィリアムとクィルレンスが手を伸ばすも、既に遅く、虚しく手が空を切る。



「…っ! あれ(・・)は召喚魔法かっ!


リィアの気配が周囲に感じられない…最悪大陸外の可能性がある…クィル、ウィル、今すぐ捜索班を結成し、捜索にあたって!!」


「「はっ!!」」



余りの唐突さに、皇帝は唖然としていたが、直ぐにテキパキと指示を出した。


皇帝は動揺し、後半は全く威厳の無い口調で指示をだしていたが騒然とするこの場に、誰一人それを指摘する者は居なかった…。



―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―



漆黒に聳える暗黒城の幅の広い回廊に二つの影が駆ける。


一つは少女と見誤る、銀色の長い髪に深紅の色の瞳を持った、そんな美しい美貌の少年。


もう一つは紅い髪に濃い翠色の少々荒々しい印象の青年。


その二つの影は迷いも無く進み、行き止まりの…他の扉と比べ、少々華美な扉をバンッと勢い良く押し開けた。



「兄上っ!!」


「陛下!」



窓際の重厚な造りの机の上、山積みにされた大量の書類に目を向けていた部屋の主が顔を上げる。


癖の無い美しい濡羽色の漆黒の髪に長い睫毛。


スッと形の良い高い鼻に薄い唇。


贅肉が少なく程よい筋肉が付いている身体にスラリと伸びた手足。


この国の初代皇帝、現皇帝である彼は、建国から既に一万年もの月日が過ぎているのにも関わらず未だ二十代前半という見た目の若さを保っている。


見るものを引き寄せるような美しさに、長年一緒にいる兄上と呼んだ少年でさえ息を呑む程であった。


実際、第三者から見ると入って来たかなり顔の整っていると言える二人の印象が薄れる程漆黒の青年を見入ってしまう事だろう。


そんな国の最高権力を持つ彼の部屋に殴り込むように扉を開けた二人は他国なら罰則が下るであろうが、この部屋の持ち主が何も言わないのは彼の懐の広さ故か。



「…如何した」



彼は眼を合わせない様に注意を払いながら問い掛ける。


二人は言いずらそうに互いに視線を交じらせ、銀色の少年が先に口を開いた。



「兄上…他国に先越されました」


「……!!」



漆黒の青年は驚きに目を見開き、思わず少年を凝視してしまう。



「何処の国か解るか!?」


「っ!?  …如何やらウェスタリアの様です」



一瞬ふらついた少年は何かを堪えるように拳を握り床を踏み締めると、言葉を続けた。


「厄介な所に…! 予定日より前倒しにしたという事は、計画が何処からか漏れているという事か…!」



普段から冷静な彼からは全く想像が付かないほど気が動転していた。


その為、少年が何かを堪えている事に気がつかない。



「陛下っ、眼を逸らせっ!!」


「…! …すまない」



眼を向けられてない紅色の青年に言われて初めて気が付いたのか、眼を綴じる。


その瞬間、少年は何かに解放されたかの様にその場にへたり込んだ。



「…ったく、気持ちは判るけどよ〜、陛下の眼は常人…いや超人とか関係なく危険だぜ? 良い意味でも悪い意味でも」



紅色の青年は手を額に宛てると天井を仰ぎながら嘆息を漏らした。


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