5.見破り
やっぱり少ないですね…
でも、キリが良いので許してください;;
何故料理が…!?って思う人がいるかもしれませんが一応理由が…有るかもしれない…大体しか考えてませんが(オイ
まあ、どの道下らないオチだと思います。
「………貴方誰ですか?」
「…む?」
男は、口の中の物をマイペースに咀嚼し、飲み下すと、先程響いた低く心地好い美声を出そうと口を開きかけ…
「わぁ! ユニだぁ!!」
「…ぐほっ」
リィアレースが体当たりをした為呻き声に変化した。
「姫様、何してるんですかっ! …って、ユニ…?」
リィアレースの突然の行動に、軽く驚愕したアルティレオだったが、聞き慣れた単語にいつも冷静を保っている表情を崩し、一瞬狼狽した。
「そう…我、だ」
ユニコーンはリィアレースに体当たりされた腹部を手で押さえながら苦しそうに言う。
「…ユニって、人型になれるのか…」
「ああ…今まで、忘れていた」
「忘れていたって…なったことはあるのです?」
「いや…神殿で人型に、ならなくとも支障は無、いからな」
緊張により身構えた身体を解くと左手を額に当て、溜息を吐く。
緊張したのはアルティレオだけではなかった様で、ウィリアムとクィルレンスも半ば呆れ顔で同じく溜息をついていた。
「アル…いや、クィルでもウィルでも良いのだが…」
「何でしょうか?」
「何です?」
「如何したんだい?」
三人は安堵感に浸っているとユニコーンに声をかけられた。
珍しく口ごもっており、何事かと顔を上げると、困ったようにこちらを見据える目と合う。
ユニコーンは無言のまま一度下を見て、もう一度こちらを見、懇願するような視線を送る。
「ユニって凄いんだね! 髪の毛長ーい…編んであげるね!」
「………」
ユニコーンはリィアレースが髪を引っ張るのに如何対応つければ良いのか判らず戸惑っている様子だった。
「……ぶっ」
情けなく目尻と眉を下げているユニコーンを見てアルティレオは思わず吹き出してしまう。
「…くくっ」
「ユニ…フフッ、貴方何て、表情をしているんです…フフフッ」
アルティレオが吹き出したのを見て二人も堪え切れず笑い出す。
三人は初め、抑えた様な笑いだったが、更にユニが顔を歪めたのをきっかけに声を上げて爆笑しだした。
「…ほぇ? 如何したの?」
「………」
………この後暫く少女と髪の長い青年を除く笑声が湖畔に響き渡る事となった。
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「これ、美味しいねー」
「姫様、それ程焦らずともまだ沢山あるのですから、ゆっくり召し上がってください」
「うん」(こくり)
夕餉の準備が整い、美しい装飾が施された白い長テーブルを囲み、食事をする。
人型になったユニコーンもついでに…という事で席についていた。
肉類は食べられない、という事で、先程食べていたリーラの花びらをメインに使用した物を食べている。
「アルティー、あれは何?」
「ベーコンとチーズのカルツォーネです。 簡単に言えば、ピザの生地に食材を挟んで焼きあげた物です」
「それ、食べてみたい!」
「畏まりました」
基本的にローゼンブルグ帝国の食事はバイキング形式となっており、皇族も例外では無い。
アルティレオはすっと立ち上がると取り皿に一つ取った。
「どうぞ」
「ありがとう!」
皿を受け取り熱いのに必死に食べようと格闘しているリィアレースに注意を促しながら、アルティレオは思わず微笑んだ。
「「「…ロリコン」」」(ボソッ)
「…何か言いましたか」
「気のせいじゃないかな」
「空耳ですよ、兄さん」
「我もそうだと思う」
思わず三人は思った事を漏らしてしまい、顔に出さないようにしながらも内心慌ててそっぽを向いた。
「…ねぇねぇ、アルティ」
「何でしょうか?」
「ろりこんって何?」
「「「……!」」」(ギクッ)
上手くごまかせるとほっとしていた三人はリィアレースが投下した爆弾に明かに動揺してしまった。
アルティレオはギギギ…と効果音が付きそうな程ゆっくりと振り返り…
「………」(ニッコリ)
「リ、リィア、何処で覚えたのかな、そんな言葉…噂好きの使用人達からかな…?」(汗)
「え? お兄様がいつも言ってるよ?」
「…どーゆーことでしょうか、殿下」
「あ…えーと、うん…その…ね?」
ウィリアムが苦し紛れに逃げようとした結果…更に悪循環になり、深みにはまった。
アルティレオはニコニコと微笑んではいるが、額に青筋が浮かび上がりどす黒いオーラが立ち込め、リィアレース以外は蛇に睨まれた蛙の如く動けなくなってしまった。
「…一歩譲って僕がシスコンなのは許しましょう。 しかし…姫様が変な言葉を覚えたら如何するのですか!!!」
激怒したアルティレオは誰も止める事が出来ない気迫があり、三人は突っ込む事すら忘れ震えるばかりだった…。
端から見ると父親が悪事をした息子に怒鳴っている様にしか見えない。
「…? アルティ、何で怒ってるの?」
「いえ、姫様はお気になさらず。 宜しかったら、殿下が良く使う単語や言葉を教えて頂いても?」
「うん? いいよ? あのね…」
「………!?」
ウィリアムはそれを聞いて、瞬時に姿消しと音消しと気配消しの魔法を重ね掛けし、逃げようと試みたが…
「殿下、何処に行かれるんですか?」
姿は見えないはずなのにしっかりとウィリアムがいる方向を見ているアルティレオ。
完璧な魔法をかけているはずだから有り得ないと自分を落ち着かせ、冷や汗が流れた頬を拭い、ウィリアムは音消し魔法をかけているのにも関わらず、そろそろと音を立てずに外に出ようとして…肩をガシッと掴まれた。
瞬間、全ての魔法の効果が切れ、ウィリアムの姿が現れる。
「まだ話しは終っていませんよ?」
恐怖に引き攣るウィリアムに死刑宣告を出した。
「あ…あ、あ、アルティレオさん、な…何で気がついたのでしょうか?」
「殿下、残念でしたね? 僕は鼻が効くんですよ」
ウィリアムは引きずられながら思わず敬語で聞くと更に笑みを浮かべたアルティレオが答えた。
ウィリアムはそれを見て…自分の失態に意気消沈し、肩を落とすのだった。