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栗鼠と狐と狼の物語  作者: Neight
序章 ~過去~
5/9

4.謎の人物

遅くなってすみません…;;


こちらは本編じゃないんでどうしても遅くなっちゃうんです…

〜♪〜〜♪〜♪


馬車の中、リィアレースはソファーに座り、足を揺らつかせながら歌っている。



「こらこら、リィア、御行儀が悪いよ」



ウィリアムが注意をするが、彼の表情や口調はとても和やかで、全くもって説得力が無い。


アルティレオはウィリアムが妹に対してかなり甘い事はもう知っているので別に気にはしないのだが…



「殿下、何故姫様を御膝の上に…?」


「何故って、長時間座っていてはリィアの御尻が痛くなってしまうし、揺れるだろう?」



アルティレオが問うと、ウィリアムは性別関係無く見ているものを魅了してしまう様な柔和な微笑みを浮かべ、返事を返した。


リィアレースの踵が彼の脚にバシバシ当たっており、彼が履いているブーツは薄い革を加工してあるもので当然強度なんてものは無く、彼女の靴がいくら固く無いとしても、長時間勢いよく同じ箇所に当たっていては青痣になるだろう。


正直痛いだろうに、それを注意せず、にこにこ笑っているウィリアムの精神に呆れてしまったアルティレオであった。


はぁ…と溜息を一つ吐き、木製の枠に縁取られた窓越しに外を眺める。


先程ウィリアムは“長時間かかる”や、“揺れる”と言っていたが、そんなことは無いのは知っているだろう。


それは窓の外の景色を見ればわかる。


何も(・・)無いのだ。


いや、正確には街や森があるのだか遥か下降に存在する。


決して、外がおかしいのでは無く、馬車が空中を駆けている為である。


普通の馬であれば下道の街道を通るのだろうが、今回はユニコーンである。


彼は【飛行】の能力を持っており、空を駆ける事を可能としている。


空を飛ぶ方法はあることにはあるのだが、ユニコーン程速く飛行出来るものは未だ無く、道中賊に襲われる心配は皆無であり、業々道を通る必要性も無く、高速で移動が出来る。


揺れに至ってはアルティレオが馬車に魔法で衝撃を和らげる様にしてあるので出発時と到着時のちょっとした揺れのみである。


何故車輪では無いのかは、これから向かうウィオーネ湖の辺はこの時期長い葉を持つ草木が生い茂り車輪に絡まる可能性がある為橇の方が便利なのだ。


4人という少人数でも直ぐにウィオーネ湖への外出許可が降りた理由は先程上げた様に道中安全というのもあるのだが、もし賊が襲ってきたとしても、この面子では逆に襲撃してきた者が返り討ちに合う事は確実であろう。


武術、魔法共に大陸トップクラスのアルティレオに、帝国に侵略しようと企んでいる敵国へ潜り込む、言わば間諜(スパイ)であり策士でもあるクィルレンス、そんな2人の先頭能力と頭脳を足して割る2をした様なウィリアム。


ここにレイルも合わされば大きな街一つを一日もかけず滅ぼせるほどである。


むしろ過剰な程だ。



―――もう間もなく到着する。



頭の中に念話が響いた。


どうやらユニコーンが知らせてくれたようだ。



「やったー! 湖ぃ湖ぃ~」


「リィア、良かったなー」


「うん! 皆で遊ぼうねっ!」



リィアレースが3人の顔を見回しながら言う。


端からそのつもりだった為頷くと彼女は顔一杯に笑顔を浮かべた。



―☆―★―☆―★―☆―★―☆―★―☆―



「こっちこっち〜」


「はいはい」



湖について直ぐは取りあえず別荘に行き、使用人達に食事を頼み、馬車内の荷物を運んでもらえるように頼んでおいた。


それが終わると直ぐにリィアレースは、アルティレオとウィリアムの手を引っ張り、湖の辺まで引っ張った。


その光景をクィルレンスは眺め、愉快そうに笑いながら後についてくる。



「わっ、きれいなお花ー」



彼女は辺に着いた後暫く草花や水に触れ、時には3人に悪戯をしたりして遊んでいたが、ふと湖の脇に斜めに咲いている大木を見上げ、眼を輝かせた。


どうやら水面に写っていたのを見てその存在に気がついたらしい。



「その木の名前は知っていますか?」


「うん、リーラだよね?」


「そうですよ」



アルティレオは答えると彼女に目線を合わせる為、しゃがみ込んだ。



「どうして我が帝国では紫色が神聖だと言われているのでしょうか?」


「うーんと……わかんない」


「ふふっ…ちょっと意地悪でしたかね。 理由は2つあるのですよ」


「ふたつ?」


「ええ、1つは紫色の眼を持つ方が我が国の皇族にしか存在しない事と…」



アルティレオは、リーラの木を見上げ、指を指した。



「リーラの木です」


「えっ? このきれいなお花が関係あるの?」


「この御花は紫色でしょう? 大陸中探してもこの国の此処にしか無い貴重な木なのです」



リーラの花びらはリィアレースの瞳を写したかの様に綺麗な紫色をしていた。



「ウィオーネ湖は山脈から流れる栄養素が豊富で綺麗な地下水が地上に湧き出て出来た湖です。 なので条件が整った綺麗な環境にしか生息することが出来ないリーラにはここが打ってつけなのですよ」


「そうなんだ…」



リーラの花びらは幻想的に舞い降り、リィアレースの肩にふわりと乗った。


それを後ろにいた人が取り…食べた。


アルティレオはてっきり伸びてきた手がクィルレンスかウィリアムだと思っていた為全く警戒していなかった。


他人が近付いて来ているのならば魔力で感知出来るはずなのだか、何故か見慣れた魔力である。



「久方振りにリーラを食べたが…やはり美味いな…」(むしゃむしゃ)


「………貴方誰ですか?」


「…む?」



やや緊迫気味になってしまってもしょうがない。


地面に着いて擦るほど恐ろしく長い白髪に美しい翡翠(エメラルド)の眼を持つ無表情の男、しかも花びらを(無表情で)美味しそうに食べる人なんて知人に居ないのだから。


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