こんなに幸せでいいですか?
若干流れが強引かもです。
でも書いていて楽しかった!
なんて幸せなんだろう。
アメリアが窓に視線をやると、乳母や侍女たちに見守られながら庭で走り回る子ども達の姿が目に入った。
「お母様!」
「おかっ!」
今年で5歳になる娘のメアリと1歳2か月の息子のレオンがアメリアの視線に気づいて手を振る。そんな彼らに手を振りかえし、視線を再び手元の資料に向けた。
ブロンドのウェーブのかかった髪が可愛らしい顔によく似合うアメリアは、オーベル侯爵家の次女であった。3歳の時にガーナー公爵家の長男である2歳年上のユーゴの婚約者となり、18歳で結婚。翌年にメアリを身ごもった。
夫であるユーゴは文句の付け所がない男性だった。見た目も良く、金銭面での心配もない。頭の回転も速く、武術の心得もあった。
何もかもが順調だった。ユーゴの仕事は軌道に乗っており、子ども達も健やかに育っている。
アメリアの両親も健在で、孫達をとてもかわいがってくれていた。
「本当に可愛いな」
「ええ。アメリアもいつもお疲れ様」
メアリとレオンをそれぞれ抱き上げながら両親から言われた言葉に、アメリアは幸せそうに頷く。
「お父様、お母様、ありがとうございます」
「こちらこそ、可愛い孫に会わせてくれてありがとう。ところで、あちらのご両親ともうまくやれているかしら」
「もちろんですわ。義理父も義理母もとてもよくしてくださいます」
「まあ、幼い頃からの付き合いだからね。俺たちにとってもユーゴ君は息子の様な存在だ。きっと同じように思ってくれているのだろうな」
「ユーゴ君と結婚できて本当に幸せね」
母の言葉にアメリは大きく頷いた。
ユーゴは絵に描いた様ないい夫だ。貴族同士の政略結婚では、外に愛人を囲ったり、暴力を振るわれたりする、なんて噂も聞くが、ユーゴにはそんなことは想像すらできない。
子ども達の話をよく聞いてくれ、いつも優しくしてくれる。けれど、言わなければならないことは厳しく注意してくれる理想の父親だ。
そして子ども達だけではなく、アメリアのことも大切にしてくれる。女主人として家のことは全てアメリアに任せてくれる。ユーゴの言葉の節々から信頼を感じた。きっとそれもあってだろう。屋敷の執事や侍女たちもアメリアによく従ってくれた。
それだけではなく、ユーゴは何気ない日の花束やアクセサリーのプレゼントも欠かさない。
「幸せ、なんだけどな…」
「アメリア様?」
小さなつぶやきを拾った侍女のマノンにアメリアは口角を上げ、首を横に振った。
不満を持つなんて、罰が当たってしまう。
「マノン、この前おすすめしてくれた恋愛小説だけど、昨夜読み終わったわ」
「いかがでしたでしょうか?」
「とっても良かったわ!胸が締め付けられる時もあったけど、最後は幸せに終わって本当によかった」
アメリアの言葉にマノンは嬉しそうに頷いた。
マノンはアメリアの一つ年上の侍女であり、侯爵家の頃から自分に仕えてくれている。そんな彼女をアメリアは友達のようにも思っていた。
アメリアの最近の趣味は恋愛小説だ。マノンが持っていた恋愛小説に興味を持ったのがはまったきっかけだった。
「新しい本を読みたいのだけど、おすすめはあるかしら?」
「もちろんございます。どのようなものがよろしいでしょうか?」
「迷うわね…」
◇◇◇
忙しいユーゴは帰りが遅くなることが多い。
ユーゴがいれば日中の子ども達の様子を聞いてもらったりするのだが、大抵帰りは深夜だ。帰ってくるまで待っていることもあったが、「先に寝ていてほしい」と言われてしまったので待つのは辞めることにした。
けれど早い時間に眠るのは気が引ける。乳母たちと一緒に子どもの寝かしつけをした後、アメリは寝るまでの間、ベッドに横になりながら本を読むようになった。
初めのうちは領地経営に必要な経済の本や語学の本を読んでいたが、頭が冴えて眠れなくなることが多かった。
「待っていなくていいって言ったよね?」
「…申し訳…ありません」
「謝って欲しいわけじゃなくて…」
「…」
ユーゴの帰りを待っていた訳ではない。けれど、朝も早く出て行ったしまうユーゴと少しでも言葉を交わせたらいいと思っていたことも事実だった。無意識に待ってしまっていた自分を否定できず、アメリアは黙った。
「ほら、早く寝ないと疲れてしまうよ」
手に持っていた本を取り上げられ、布団を肩まで掛けられた。
「おやすみなさい、あなた」
「ああ、おやすみ」
そう言葉を交わし、ユーゴは部屋を出た。食事か、湯浴みか、それとも居心地が悪かったのか。
その次の日からアメリアは読む本を小説に変えた。小説を読むのが好きだったマノンにいくつか紹介してもらった中で、恋愛小説が特に気に入った。
◇◇◇
「この前はお互い想い合うけどすれ違ってしまうお話だったから、今回は幸せな話が読みたいわ」
「承知しました。いくつか見繕ってきます」
「よろしくね」
「承知いたしました」
「あ、そうだ。ラザールを呼んできてくれないかしら。メアリの家庭教師の件で少し相談したくて」
ラザールはガーナー公爵家の執事だ。白髪交じりの黒髪は年相応で、昔からユーゴに仕えている重鎮。
「かしこまりました」
マノンは一礼すると部屋から出て行った。
一人だけの空間にアメリアは無意識に息を吐く。一人だけと言っても、部屋の外には護衛が複数人いるのだが。
ユーゴと結婚してすぐに護衛が付けられた。侯爵家ではなかった護衛という存在に、公爵家というのは大変なのだなと思ったのが、素直な感想だった。一つ爵位があがるだけで狙われる可能性が格段に上がる。
それに加えて現在のこの国の情勢も影響していた。
この国は今、時期王を決める過渡期にある。王位継承権を誰が持つかで第一王子派と第二王子派が水面下で熾烈な争いをしている最中だ。そんな中、歴史ある公爵家の立場でありながら中立の立場を崩さないガーナー家は脅威なのだろう。
だからこそ現当主であるユーゴの弱点になり得るアメリアや子ども達には護衛がついている。
「ずっと立っているのも大変でしょう?中に来て座ったらいかが?」
少しだけ張り上げて声を出す。
「……ご心配には及びません」
少しの沈黙の後、低い声がそう答えた。何回、いや何十回目かのやりとりだった。返ってくる答えはいつも一緒。けれど、こちらもずっと外で立っていられては気になってしまうのだ。
アメリアはため息をつくと立ち上がり、部屋の外に出た。
「何度も言うようで申し訳ないけれど、私が気になるの」
3人の護衛のうち、一番近くにいたディオンにそう声をかける。ディオンは黒髪で黒い瞳を持つ男性だ。鍛えられた肉体を目立たない服で隠す彼は、きっと夜なら闇に紛れるのだろう。
年齢はアメリアと同じくらいか、少しだけ上くらいだ。整った顔立ちをしている彼はまっすぐ見つめてくるアメリアからそっと視線を外した。
「…こちらも何度も言うようで申し訳ありませんが、部屋の中に入ることはできかねます」
「どうして?」
「……そういうご命令ですので」
「…?」
言葉の意味がわからず、首を傾げる。
「ご理解ください」
「…」
「…」
続く沈黙に先に折れたのはアメリアだった。
「わかったわ。その代わり、聞きたいことがあるの」
「なんでしょうか?」
「ディオン、あなた結婚はしている?」
「しておりません」
「恋人は?」
「………おりません」
「いたことは?」
「……ありますが…」
「そうなのね!」
「あの、奥様。その…何が聞きたいのでしょうか?」
「恋について教えて欲しくて」
「……はい?」
どこか気の抜けたような反応は彼らしくなかった。初めて崩れた表情になぜか少しだけ優越感を覚える。
「だから、好きな人に好かれるってどういうこと?」
「……それは、旦那様…」
「ちがうわ」
ディオンの言葉に被せるようにアメリアは言った。どこか泣きそうなその表情にディオンはどうしたらいいのかわからなくなる。
「私が知りたいのは恋よ。家族愛ではないわ」
「…」
「私だって愛されたいの」
唯一の不満はそれだった。
アメリアとユーゴの結婚は紛れもなく政略結婚だ。愛がないとは言わない。けれどそれは家族愛であり、燃え上がる様な恋とは別物だった。
子どもだって2人もいる。だからもちろん、身体の関係はある。けれどそれは義務感から来るもので、月に数回あればいい方だった。
子宝にも恵まれ、信頼して家のことを任せてもらっている。貴族の妻としてこれ以上の幸福はない。忙しくも楽しい日々。
けれど、思ってしまった。「愛されたい」と。
現実は恋愛小説とは違う。あれは作られたものだ。けれど恋愛小説のヒロインのように一人の女性として愛されたい。アメリアがユーゴを一人の男性として愛しているように。
「あの、…奥…様…?」
急に黙ったアメリアの肩にディオンが手を伸ばす。
「奥様」
突然の声にディオンの手が止まった。アメリアとディオンが声のする方向に視線を向ける。ディオンの手は腰の剣に触れていた。
「ラザール」
「はい、奥様。お呼びになったとのことでしたが…いかがされましたか?」
「いいえ、何でもないわ」
「メアリ様の家庭教師の件でしたね。奥様、もしよろしければ詳しいお話を部屋の中でお聞かせ願いますか」
「ええ、もちろん」
頷くアメリアにラザールは微笑みを浮かべた。
視線を少しだけディオンに向ける。その視線に反応するようにディオンは会釈すると少しだけ後退した。
◆◆◆
カーテンが風に吹かれて少しだけ揺れる。空を見上げれば綺麗なオレンジが見えた。
「…それでは、そのように手配いたします」
「ええ。よろしくお願いしますね」
「お任せください」
頷くラザールにアメリアは笑みを浮かべた。
「奥様、本日、旦那様はお早めにお戻りになるそうです」
「…そう」
「夕食をご一緒なさるとのことです」
「そんなに早く帰って来られるのね。メアリとレオンが喜ぶわ」
「…奥様」
「何かしら?」
「素直になったら気づけることもありますよ」
「え?」
「年長者からのちょっとしたアドバイスです」
それ以上の言葉は続かなかった。ラザールは深いお辞儀をすると部屋を出る。言葉の意味がわからずアメリアはマノンの方を見た。
「今のどういう意味かしら?」
首を傾げるアメリアにマノンは小さく微笑む。
「さあ?…そういえば、アメリア様、おすすめの小説をお持ちいたしました」
「え?そう。ありがとう。どんなお話かしら」
「溺愛されるヒロインのお話です」
「それは、羨ましいわね」
「…本当に、そうですね」
そう言いながらマノンはアメリアに小説を渡した。美男美女が互いに見つめあう絵が表紙に書かれている。
「素直に、ね」
◆◆◆
「お父様!お母様!今日は…」
「ねっ!」
久しぶりの家族団らんに子ども達は嬉しそうにはしゃいでいた。静かに食べることを教えた方がいいのかもしれない。それでもこの笑顔の前には何も言えないのだ。
「そっか。メアリ、レオン、楽しかった?」
「はい!」
「んっ!」
頷くメアリに右手を挙げるレオン。そんな2人の姿にアメリアもユーゴもほころぶような笑みを浮かべた。
「アメリアはどうだった?」
ユーゴの問いにメアリもレオンの視線も自然とアメリアに向けられた。
「私、ですか?」
「そうだよ」
「…今日も充実した一日でしたわ」
「そっか」
「お父様は?」
「俺かい?」
「はい!お父様はどんな一日でしたか?」
「そうだな…。今、流通を安定させるために橋を架けようとしているんだけど、それの下見に行っていたよ」
「りゅう…つう…?」
「ああ、ごめん。少し難しかったかな」
「お父様はお仕事をいっぱい頑張られたそうよ」
「お父様すごいです!」
「しゅごっ!」
「ありがとう。メアリ、レオン。それから、アメリアも」
ユーゴの言葉にアメリアは頷き小さく頭を下げた。
「さあ、メアリ、レオン。いっぱい食べた子はそろそろ寝る時間ですよ」
「はい」
「あい」
元気な返事を受け、乳母が2人を寝室へ連れて行いった。アメリアとユーゴだけが残された食卓はさきほどまでの騒がしさが嘘のように静まりかえる。
「アメリア」
名前を呼ばれた。テーブルの上に乗っていたアメリアの右手に、ユーゴの左手が重なった。どこか甘いその声に、夜を一緒に過ごすのだとわかった。
「…」
2人の子どもがいるにもかかわらず、アメリアの頬に少しだけ赤みが増す。
「あの、その…準備を、して、まいります」
「ああ。待っている」
ユーゴは笑みを浮かべてそう言った。
◆◆◆
湯浴みを済ませたアメリアに、侍女達がいい香りがするオイルでマッサージをする。少しだけ大胆な夜着に着替え、その上からガウンを羽織った。
自分の部屋だが、入る前にノックを三回する。
「どうぞ」
「失礼します」
入室の許可の言葉にアメリアはそっと扉を開いた。
ユーゴも湯浴みを済ませたのだろう。髪が少しだけ濡れている。夜に見るユーゴは昼の彼より大人びて見えた。心臓の音が響いてしまうのではないかと心配するほど大きい。
「おいで」
それなのに、彼はいつもと変わらない調子でアメリアを呼ぶ。やっぱり自分だけが好きなのだなと思ってしまう。
幼い頃から婚約者であるので、お互いがお互いしか知らないはずだ。それなのにどうして彼ばかり余裕なのだろう。
「……はい」
ゆっくり彼に近づく。
「そ、そういえば、ディオンには以前、恋人がいたんですって」
「………それがどうしたの?」
場違いなことはわかっていた。空気を壊したことも。
けれど、ずるいと思ってしまった。
いつもと変わらないのは彼ばかりだ。だから自分もいつもと変わらないことを証明したくてそんな話を振った。
「わ、私、最近、恋愛小説にはまっておりまして、その、恋愛っていいなと」
最後の方は声が小さくなった。文句を言っているみたいになっていないだろうか。
「…それで?」
声のトーンが一つ低くなった気がした。目の前に立つユーゴに視線を向ける。どこか怒っているようにも見えた。
「あなた?」
「それで、アメリアはどうしたいの?」
「…」
「その、何か、怒っていらっしゃいますか?」
「怒らせるようなことをした自覚があるってこと?」
「え?いや、その…」
「…」
「あの…、あなた?」
「ユーゴ」
「え?」
「ユーゴ、だろう?」
夜の時間は名前で呼ぶように言われていたことを思い出す。いつも余裕がなくあまり呼んだことはないが。
一瞬脳内で浮かんだ映像に、アメリアは慌てて首を横に振る。
「えっと、その…ユーゴ、様」
「ユーゴ」
「…ユーゴ」
「何?アメリア」
名前を呼んだアメリアに満足そうにユーゴは笑った。そっと手を伸ばし、アメリアの頭を撫でる。
「どうして怒ったのか教えて欲しいわ。私が悪かったのなら謝りたいから」
「…」
「…」
「…」
「…お願い、ユーゴ」
アメリアの懇願にユーゴは深く息を吐く。
「愛されたい、って何?あげく、ディオンに恋を教えて欲しいって?」
「ど、どうして?」
「君のことは俺に報告が入るようになっている」
「…え?」
「ねぇ、アメリア」
そう言いながらユーゴはアメリアの肩に掛かっていたガウンを脱がせた。少しだけ体制を変えると、アメリアをそっと押す。
アメリアは背中から、弾力があるベッド倒された。すぐにユーゴは、アメリアの顔を挟むように両手をつく。のぞき込むように彼女を見つめた。
「俺の愛じゃ、足りないの?」
突然のことに戸惑う彼女に構うことなくユーゴは髪に顔に首に小さく音を立てながらキスをする。
「あ、あ、あの!」
「なあに?」
「か、家族愛…じゃ、ない、…のですか?」
「時々、言うよね、それ。家族愛と君の言う愛は何が違うの?」
「違いますわ。私のいう愛は…っ…」
不意にユーゴの手がアメリアの腿に触れる。服をゆっくりとまくっていき、素肌に触れた。
「…こういう愛?」
「そ、それだけでは…っ…!」
きわどいところまで上がって、下がって、を繰り返される。じらさせるその動きに甘い声が漏れた。
「ねぇ、アメリア、ちゃんと教えて?」
「じゃ、じゃあ、触らないでくださいまし」
「嫌だよ。一緒にいるんだからずっと触れていたい」
「…」
「でも、君がちゃんとわかるまで直接は触れないよ」
その言葉どおり、ユーゴの手はアメリアを好き勝手触った。けれどアメリアが触れて欲しいところは避けるか、服の上から触れるのみだった。
「……ユーゴ」
耐えきれずアメリアの口から甘えるような声が出る。
ユーゴの右手を両手でつかみ、その手にキスを送った。
「…ずるいな」
「お願い、ユーゴ」
「……なんで、愛されていないなんて勘違いするかな、本当に」
ため息交じりの言葉とともに、ユーゴはアメリアの唇に自身のそれを重ね合わせる。
「こんな風に求めるのは、好きだからに決まってるじゃないか」
「ユーゴ…」
「溺愛が羨ましい?溺愛されていてよく言うよ」
「愛して、います」
熱にうなされたようにアメリアはそう呟くように言った。とろけるような瞳のアメリアを見つめながらユーゴの頭の中には、「惚れた方が負け」という言葉が浮かんだ。
「ああ、もう!本当に、ずるい!」
「大好き、ですわ、ユーゴ」
「俺も愛しているよ、アメリア。大好き」
ユーゴの言葉にアメリアは幸せそうに微笑んだ。
◆◆◆
「じゃあ、どうして、その、回数が、少ないのですか?」
ユーゴの腕に頭を乗せながらアメリアはそう尋ねた。
「結婚してすぐは女主人の仕事を覚えるのに大変そうだった君を休ませてあげたいと思ったから。それに、慣れてきた頃にメアリが生まれて、出産と子育てに疲れているから無理をさせたくなかった。そう思っていたらレオンが生まれて…といった感じさ」
「…」
「アメリアといると理性が吹っ飛んでしまうから夜遅くまで仕事をするようになったんだよ」
「その、寝ているように言ったのは?」
「…休んで欲しいというのもある。けど、…ベッドの中にいる君に何もしない自信がなかったんだよ。寝ていてくれたらさすがに起こしたりはしないさ。キスくらいはしたけどね」
「…その、もしかして…」
「俺はアメリアを溺愛しているんだよ」
「…」
「ちなみに君以外、全員知っている」
「……そう、なのですね」
少しだけ目を伏せる彼女の額にユーゴはキスを送った。
「愛されるってどんなことかわかった?」
「ええ。痛いほどに」
「ならもう心配しないでね」
「でも、…その…仕事も要領よくできるようになりましたし、子ども達も大きくなってきましたから、その…」
頬を赤く染め、言葉を濁す。そんなアメリアにユーゴは口角を持ち上げた。
「もっと、愛してもいいの?」
「…はい」
頷くアメリアをユーゴは両手で抱きしめた。そんなユーゴの背中に両腕を回し、アメリアも彼を抱きしめる。
「家族愛だけでも、幸せだったのに、こんな風に愛してもらって。…こんなに幸せでいいのでしょうか?」
「いいに決まってるよ。ねぇ、アメリア」
「はい」
「これからも一緒にいて、もっと幸せになろうね」
「もちろんですわ」
アメリアとユーゴは、目を合わせて笑い合う。
そして再び引き寄せられるようにキスをした。
「幸せだね」
「ええ、本当に」
読んでいただき、ありがとうございました!!




